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八丈富士の火口へ。

前回の続きから数日経ち、その間に2回八丈富士エコツアーが開催されましたが、
その2回は眺望への期待は全く望めない、雲と強風を彷徨うツアーとなりました。

多分、それが本当の八丈富士の姿です。
伊豆諸島の高い山は大抵山頂付近は雲で覆われる「雲霧林」なのです。
とは言え3月にこの雲はあまりないのですが・・・。

強風体験してる参加者たち

強風時は山頂まで行かないのですが、この台風みたいな風はぜひ体験してもらいたいので、スリルあるけど安全な場所を選んで毎回強風を楽しんで?もらっています。
参加者達は怖かった!!と言いますが、結構楽しんでいる様子です(多分)。
まぁ、ジェットコースターに乗る感覚に近いですかね。怖い楽しいみたいな。

風体験の後は火口の中を散策。
少しでも中に入ると今までの恐ろしい風がなくなり静かなシダとコケのジャングルに紛れ込みます。

浅間神社へ続く火口内の散策路

これこそが雲霧林なのです。
雲に覆われやすいことで湿度が高く、さらに火口の中なので強風にさらされない。雲霧林の樹木は樹高が低く、亜熱帯ジャングルのような森が形成されます。
雲がかかる日の火口内は森が生き生きしていますのでおすすめです。

コケの朔につく水滴

この瑞々しい水滴やシダの裏に付いてる胞子をルーペで観察し、
「綺麗!」「キモ!」と各々勝手な感想を言い合いながら楽しんでいます。
皆んなの反応が良いので必ず紹介する「ヌカボシクリハラン」
嫌がらせではないですよ笑

ヌカボシクリハランの胞子嚢群(ソーラス)

ピントが合ってませんが、不規則に並ぶソーラスに大体ゾワッとしてくれます笑

そんな感じで森を楽しみながら浅間神社へ到着。
空港の標高付近から八丈富士登山道〜火口内へ続く道は「富士参り」の参道です。
昔は7歳の男子が元服の時に三原山の海岸にある玉石を持って浅間神社に奉納していた由緒ある神聖な道なのです。
現代はお願い事がある島民が玉石を持って納めています。
いつまでもこの優しい文化が優しいまま続いてほしいですね。

奉納されている玉石

ちなみに八丈島の殆どの海岸は「第一種特別地域」ですので、
海岸(第一種特別地域)から移動させ火口(特別保護地区)へ持ち込むのは本来は厳しく規制される行為です。
文化として目を瞑っていただいてるのです。
だから国立公園に住む者として、誇りを持って優しく大切にしていきたいですね。

火口内にある小穴を覗く

八丈富士はダイナミックな景観とジャングルのような火口を持ち、そのギャップに感動するし、島ゆえ昔は本家富士山にお参りに行くことができないので、八丈富士で富士参りをする文化があります。

八丈富士に登る時は、無理に山頂へ行ったりしなくても、
昔に思いを馳せながら季節の植物観察や風と雲と水平線を楽しめる素敵な山です。

八丈島自然ガイドサービスしいのきでは、ゴール達成することを目的としない、
よそ見と寄り道ツアーを提供しています。

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