おやすみの声

一人になりたい
私はただ一人になりたい
私はずっとひとりだ
だから一つにはなれない
私はずっと一人で
だけどひとりだから
一つではない
ひとつだ
ずっと

麻酔に縋るのはもうやめた
やめたかったのでやめた
後悔はしていない
離脱症状が抜けない
抜けきらない
だから怖い　おそろしい
私は
私は平気だけれど
ぼくたちにとっては
そうではないらしく
私の
手で抱きとめて　いる
います

水のなかに還りたい
私の、意識は
失ってしまえる間だけ
僕として存在していられる
だけど、私はずっと一人で
ここに
ここに、いる

閉じていたい
目も水平線も
縫い目も引き出しも破れた鏡面も
みえなくなってしまってからでは
もう遅いから
遅いからだ

けど

ああ

誰も知らないで
だれもしらないでいてくれ

溺れ、ないで
いきをするために　　｜