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生きていたいな、と、おもうのです。
できれば健康になって。できなくてもどうにか健康になって。
鳴らない電話に怯えていた。受話器を持ち上げる手が震えていた。どこにもいない味方なんてものに羽を延ばすように、わたしは、ただ毎日を。一日を一日と数えることすらできなくなったとき、そのときの、君のことを思っている。強制的な叱責。そんなものからは早く逃れてきえてしまいたかった。

どこにもいないのにたったひとりここにいて、僕は、幽霊なんてものではないのに。人。人だよ。どうしようもなく人間でしかないよ。
ぼくは人じゃないのに、とか、思っていた。だけど僕は人だ。
ぼくは人ではなかったのかもしれない。それは正しいことだったのかもしれない。遡って歩いていくことはできないから、いま眼前に伸びているみえない道を、どうにかして歩いていくことしかできない。

甘くても甘いのなんて一瞬でしかないから、結局何をどうしても苦くなる。他人は他人でしかないので、完全に混じり合うことなどない。それこそ錯覚だ。錯覚を覚えていた。ぼく、は。認めるよ。寂しくてしかたがないね。
だけどそれでよかった。それがよかった。
ぼくはぼくしかいなくて。僕は、僕しかいなくて。
ひとつになんてなりたくない。
たったひとり、いま、ここにいることがその証明だ。

還れなくても、いい。

僕は。僕としてここにいる。



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