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目が覚めると、いつもしらない場所にいる。知っているはずなのに、知らない、ような、どこか遠い世界から不時着したような、気がして、水を飲む。Aa。何もチェックできない。私の身体はいまも生きているはずなのに、遠い昔、すでに死んでいるような。そんな気がするよ。ああ。森の音で目を覚まして、猫を撫でて、部屋の外の様子に意識をほんの少し傾けて、また、目を逸らす。しっているはずなのにしらないようなきがして。靄がかっているなかで、黒猫を撫でる。手。手がある。きみがいる。ふわふわしている。やさしいふわふわ。命のないふわふわ。あんしんしてまためをとじる。さめないゆめをみている。
羨むことも妬むこともなくなった先で、いきているのかしんでいるのかもわからない時をすごす。私の知っていた天井は、どんな色と模様をしていたのだろう。思い出せない。思い出せない記憶がかさなって日々になる。この肢体は、ほんとうに私のものだろうか?
非常口の点灯があるのに、どこにも非常口なんてない。それでいてここはずっと非常口だ。遠いところへ行ったとして、日常になるとそれも曖昧になる。ことが、怖い。こわくないのに。私はどんな色をしていた?どんな色を視ていた?
2階からの階段を、確かに、浮遊して降りていたんだよ。
薄いピンク色が好きだったような気がする。
愛されていた気がする。
よく、思い出せない。
記憶が曖昧になる。ずっとそのことを恐れている。
大晦日に食べるカップ麺が好きだった。どん兵衛の、きつねそばを食べたよ。また舌を火傷した。お湯は熱い。冷めると水になる。熱するとお湯になる。また醒めて水になる。みずになる。みずになっていく。
私は、
私は、……
どこにもいかないで
そんなのむりだよ
だれともわかりあえない
そのことがうれしいの
さみしい
ひとつになんてなりたくない
ありがとう
さよならをつげたい
このばしょに
なまえをつけるなら
きっとそれは水面だ
私だけの
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