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連載「休眠預金活用レポート」VOL.1 空き家を活用して九州初のコミュニティフリッジを開設。空き家解消から困窮家庭の食事支援まで
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新型コロナウイルス感染症やコロナワクチンについては、必ず1次情報として厚生労働省首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。
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連載「休眠預金活用レポート」VOL.1 空き家を活用して九州初のコミュニティフリッジを開設。空き家解消から困窮家庭の食事支援まで

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 公共冷蔵庫を意味するコミュニティフリッジ。一般家庭や企業などが寄付した食料品や日用品をストックし、支援を必要とする人に提供するこの仕組みと空き家を結びつけ、5月14日「佐賀コミュニティフリッジ」をオープンしたのがNPO法人「空家・空地活用サポートSAGA」です。専門家や地域の団体と連携しながら、佐賀県内の空き家・空き地問題に取り組む「空家・空地活用サポートSAGA」が目指す地域社会のあり方とは?
休眠預金事業を活用してどんな取り組みが進んでいるのか、レポートします。

「佐賀コミュニティフリッジ」オープニングイベントに集まった支援団体の皆さん


「空家・空地活用サポートSAGA」の活動

 長期間手つかずの空き家は、放火や不法侵入、ごみの不法投棄など、犯罪の温床、まちの景観悪化、倒壊被害など、地域として見過ごすことのできない問題をはらんでいます。「空家・空地活用サポートSAGA」(以下:「そらそら」)は相談窓口などを開設し、佐賀県内の空き家と空き地の問題解消に取り組むNPO法人です。代表理事を務める塚原功さんは、退職後ふるさと佐賀へUターン。大手ハウスメーカー勤務の経験を活かして「そらそら」を立ち上げました。
 空き家を改修するなどして再利用し、必要とする方たちに提供していく。特に「そらそら」では、高齢者や外国人、ひとり親家庭など、住居を得ることが難しい社会的弱者の方への居住支援を行ってきました。空き家問題の解消と支援を必要とする人の住居の確保という課題の2つを結びつけることで、「解決できる社会課題は2倍になる」と塚原さんは考えたのです。

空き家活用を通して支援を必要とする人達をサポート

 そしてその先に見えてきたのが、社会的に支援を必要とする方々へのサポートは「住宅をお世話するだけでは十分ではない」という現実でした。
 ひとり親家庭へ食事支援ができないか。あるいは困窮家庭へ就労先を紹介できないか。「そらそら」だけでは解決することが難しい社会課題も、地域のさまざまな組織と連携・協力することで、食事支援・居住支援・就労支援の3つを同時に解決することのできるエコシステムを築けるのではないか。こうして始まった取り組みの一つが、5月、食事支援を行うコミュニティフリッジ開設という形で実現しました。
 佐賀県の未来を担う子どもたちが生き生きと生活し、誰もが幸せに住み続けることのできる地域をつくる。「そらそら」が描く未来図は、地域に暮らすさまざまな人・団体・組織を巻き込んで大きな渦を作り始めています。

SIIF専務理事の青柳は「地域でお互い支え合う拠点になることを期待しています」と 祝辞を送りました

佐賀県の貧困世帯と空き家の現状

 では実際に、佐賀県の空き家と生活支援を必要としている人の現状は、どのようになっているのでしょうか。
県内の空き家の状況をみると、2013年には4.3万戸だったものが、2018年には5万戸に増加しており、人口減少や高齢化の進展により今後も増加していくことが予想されています。
 一方、生活が困窮しているとされるのは、7人に1人の子どもが貧困状態にあるとも、ひとり親家庭の48%が貧困状態にあるともいわれ、新型コロナウイルス感染症の影響もあり支援を必要とする家庭は増加しています。佐賀県が2021年に実施した「子どもの生活実態調査」では、所得が低い世帯の子どもの3割は朝食を毎日食べていないという状況も浮かびあがりました。

九州初のコミュニティフリッジをオープン

 こうした背景のもと、「佐賀コミュニティフリッジ」は佐賀市内に開設されました。食料品や日用品が保管されるスペースは空き家を活用し、24時間無人運営。支援が必要な人は事前に登録を行い、専用アプリを操作すると電子ロックが解除され中に入ることができるというシステムです。

支援が必要な方や寄付の問い合わせは事務局(090-9482-4434)にご連絡ください。

 オープン初期は市内・市周辺に住む児童扶養手当等の受給家庭を対象とし、利用者は時間や周囲の目を気にすることなく、必要なものを無料で持ち帰ることができます。また、人目を気にして必要な支援を受けることができないケースが多いことから、所在地は公表していません。

空き家活用を核とした地域のつながり

 運営は、「そらそら」と、子どもの居場所づくりを進める「さが・こども未来応援プロジェクト実行委員会」が担っていますが、その他にもさまざまな組織や団体が連携・協力することで成り立っています。例えば、物資の確保はフードバンクなどの食支援活動を行う団体が協力する。あるいは、ひとり親家庭への告知は行政の子育て支援担当や、民間の子育て支援団体を通じて行う。また市内14の郵便局には「フードボックス」が設置され、家庭などで余っている食べ物を持ち寄り、それらを取りまとめて寄付するフードドライブを受け付けています。
 空き家活用を核として複数の組織、団体が結集し、それぞれが得意としている分野で力を発揮して作り上げている点に「佐賀コミュニティフリッジ」の特徴があります。こうしたコレクティブアプローチ(より高い社会的インパクト創出のため、複数の組織が共同して社会課題解決に取り組むこと)によるコミュニティフリッジの運営は、必要としている家庭に食品や日用品などの物資を提供するだけでなく、さまざまな交流や結びつきを生み出し、さらなる地域課題に取り組む大きな力となっていくことでしょう。

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2013年頃より調査研究に着手し、GSG国内諮問委員会設立や賛同メンバーの招集を皮切りに、インパクト投資における提言書や現状を記した報告書の発行。金融庁共催のインパクト投資における勉強会の開催などインパクト投資の推進のための活動をしています。