見出し画像

梅をとる

 淀川河川のいつもの場所に夫と行く、3週間前くらいに行ったときよりも梅の実が大きくなってる!「ハナヤのやおや」とか源流での田植えの準備とかでなんやかんや忙しくなってきてるので、次はいつ来れるかわからんと思い、枝から青梅をとりまくる。
 めちゃくちゃきれいな梅!
 リュック背負ったまま、もう夢中でとりまくる。
 梅の木は一本だけあって、河川の葦のいっぱい生えてる迷路の中に隠されているみたいになって生えている。ここはほぼ誰も立ち入らない場所なので、たぶんほぼ誰も知らない。でもこの奥に住んでるか、別荘にしてる人がいてるみたいなので、その人は知ってると思う。その人たちはたぶんあんまり梅には興味なさそうな気がする。たぶん。
 
 ほんの少数の人の出入りを感じ取ることができるそのけものみちの入り口は枯れた木が置かれていて人が入らないように隠されている。私たち夫婦はその木の枝をまたいでそっと入る。草の踏み跡や新しい倒木があるからその誰かは私たちが前に来たときより後に数回は入ってるのが分かる。倒木は不自然にこれまでの道をふさいでいる。そこは草イチゴの密集地であった。木を倒した誰かの意図を頭の中でぐるぐる想像してみるけど真意はわからない。その草イチゴを独り占めしたいのかもしれない。草イチゴの奥にある梅の木を隠したいのかもしれない。だけど私たちは3年くらい通っているけれど、それほど草イチゴはその人たちはそんな採っていない気がするし、梅の実も採っていないように思われる。
 
 梅の木を取り囲んで、それ以上に侵食して梅の木エリアに食い込んできている葦がぐんぐんと育って梅の枝を押し上げている。梅採りの手を止めて、今度はしゃがんでのこぎりで葦をどんどん切って倒していく。すかすかの葦を切るのは全然力いらんくて簡単に切れる。ざっざっ切っては長ーい葦を引っ張って倒す。見上げたら押し上げられていた梅の枝が解放されて、枝につくたわわな実の重みで枝が、わあー、たれさがってるうー、とまた実をもぎ始める。その繰り返し。永遠の時間突入。とってもとっても梅はなくならないくらいいっぱいなってる。自然界はすごいなあ!って感激して言うた次の瞬間にでっかい毛虫をがふゎさ!って感触を手に受けて、ぎゃあーってなる。それでちょっとひるんでしまったが、梅は10キロ以上はとれた。

 その梅は酵素シロップとカリカリ梅と梅干にいま漬けている。

 後日談だけどその後夫がもう一度梅の木のところに行ったのだがそこには「梅とるな」と書かれていたそうだ。
しまった。梅は誰かが楽しみにしていたものだったようだ。
 でも、じゃあなぜ葦をあれだけはやしたままお手入れしてなかったやん?まだ半分以上は実は残してるよ。それどうつかうん?とかいろいろ聞いてみたいことはある。
 梅酵素シロップやカリカリ梅や梅干をおわけしましょうか?
 どんな人やろ。

 いつかばったり会う時が来るかもしれない。
 

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?