2020年冬アニメを

 見終わった。リアルタイムでアニメを追っかけるのは多分Aチャンネルだから9年?ぶりくらいだと思う。

 例の社会情勢もあって正社員にも関わらず仕事が無くなって自宅待機を半年ほど命じられたわけなのだけど、その間無職や暇人たちとdiscordでアニメを一緒に見るということをやっていた。
 その流れで「安達としまむらがアニメ化されるし毎週実況しようぜ」と盛り上がったのがキッカケとなり、せっかくアニメ見るんなら他にも幾つか見たいよねってことで色々増やした結果、毎週土曜日に5本ほどアニメを見ることになった。
 アニメを追っかけなくなった理由は、単に決まった時間に30分時間を取られることのストレスが高かったからなのだが、オタクたちとワイワイしながらアニメを見て感想戦や来週への期待とか、そういうことを踏まえながら雑談するのは存外に楽しかった。というか今期アニメが異常に面白かった。いやおれが見てないだけで世間の大体のアニメが面白いのかもしれないけど。

 というわけで備忘録がてら、見た五本のアニメの感想を書き連ねることにする。先に言っておくと、今回挙げたアニメはどれも面白く、しかしおれの性分故に少し辛口気味な言葉が出てきてしまった。あんまり気にせず、「めんどいオタクが喚いとるな~」くらいに考えながら読んで欲しい。もっと言えばこんなもん読まずに挙げたアニメ全部見て欲しい。

注意:ネタバレガッツリやってます。

魔女の旅々


 実は原作をアニメ化の前にセールで買ってた。「面白いんだが日本語が弱いな…」みたいな感想で、アニメなら多分そのへんの弱い部分が補強されるのかなと思って結構期待しながら見た。
 一話がイレイナの旅立ちになってたりと話の構成はガラッと変わってて、でもその割には原作をなぞろうとして中途半端になった部分も見受けられたのが結構残念だったかな…(花の国とかね)。
 そうでなくてもご都合主義的にトントンと進んでいく話が多く、キノフォロワーとして見るにはやっぱ弱いなというのが通話勢の総評だった。

 多分だけど「ファンタジー版キノっぽくやりたい原作勢」と「百合で売りたいアニメスタッフ」で上手いこと折衷しようとして失敗したのかなとは。完全に邪推だけどね。

 かなり辛口にはなったけど、光る話は結構多かったし、イレイナさんはめちゃくちゃ可愛いし、作画も良好だったので清涼剤的な楽しみ方にはなった。イレイナさんはめちゃくちゃ可愛いし。
 あとOPが今期で一番好き。上田麗奈ファンボになりかけました。一枚目のepめっちゃ良い。
 でも「魔女の旅々はいいぞ」ってハッシュタグだけは流石に終わってるのでやめてほしかった。世に存在する公式ハッシュタグの中で最も恥ずべきものの一つでしょ。誰も止めなかったのか?

総評:ベストOPテーマ賞ベスト主人公賞。あずーる先生は神。


アサルトリリィ


 舞台だの小説だので展開してるものは一切目にせず、「なんかゴッドイーターみてえなやつらしい」「閃乱カグラの人がキャラデザをやってるっぽい」という情報だけで見始めた。
結論から言うとソシャゲアニメから一歩踏み出る面白さだった。ただ、2クールだったら更に評価が高かったと思う。

 1クール作品ではあるものの、この手の作品にはありがちなキャラの掘り下げの薄さが少なくて、メインキャラ9人は当然ながら、ちょい役でたまに出てくるアールヴヘイム勢とかにもある程度見せ場をもたせてて、「キャラいっぱいいて何がなんだかわからない」感じにならなくてよかった。百由様めっちゃすき。

 個人的にこのアニメの評価はそこまで高くなくて、というのもおれの「アサルトリリィ」のイメージが「女の子がでっけえ変形武器を持ってでっけえ敵をぶっ倒す」アニメだと思ってたので、そこで結構裏切られたと言うか。
 キャラの掘り下げに尺を大きく割いてるので、戦闘描写はそこまで多くない上に武器の変形ギミックもそこまで作中では活かされなくてちょい残念だった、という印象が強かった。
 あとヒュージの全体像がそこまで映らなかったのが気になったかな。一話からそうだけど、映像の中心が大体キャラクターなので、できればヒュージが映るカットがもっとあれば更に気に入ってたと思う。
 それと結梨ちゃんが割と唐突に出てきて唐突に消えたのが惜しい。もっと尺があれば感情が挟まる余地があったと思うんだけど、ぶっちゃけ3話くらいの付き合いだったからあんまり気持ちが入らなかった。

 ただし最終回だけは本当に最高で、通話勢が「これを最初からやってくれたら!」と声を上げてしまったくらいには最高級のクオリティの25分だった。
 満を持して再登場したノインヴェルト戦術でリリィたちが動き回り、ヒュージの身体の上を走り回りながら喧嘩する二人のシーケンスはヒュージとリリィのサイズ比が強調されててかなり迫力があったし、掛け合いも凄くグッと来たしで、何も言うことがない。
 直近だと「ヘボット!」の最後らへんくらいには盛り上がった。「ヘボット!」の最後の方、本当にビックリするくらい面白かったよね。
 最終回だけで言えば今期アニメで一番面白かったという通話勢の総評も頷けると思う。最終回のためだけに全話見る価値あるよ。

総評:ベストおもしれー女賞(楓・J・ヌーベルさん)、ベスト最終回賞。ソシャゲの方には多分手が回らんかな…。

安達としまむら


 原作をガッツリ読み込んだ状態で見たけどほぼ完璧なアニメ化だったんじゃないかな?とは思う。
 色彩が淡めだったり妙にアニメ的な演出が多かったり、あとモノローグがやたら多かったりとか、見る人が見れば少し眉をひそめそうな映像化ではあったけど、個人的にはこういうのでいいんだこういうので!と楽しめた。
 特にモノローグがかなり好きで、しまむら役の伊藤美来氏が結構湿気た声色でわかるようなわからないような事を淡々と語っていく様が正しく原作とアニメの媒体の好いとこ取りで満足。アニメ化にあたってモノローグどうなるのかなって思ってたけど、100点満点でしたね。

 安達視点をバッサリ切って作品全体をしまむらに寄せた構成はちょい賛否ありそうで、原作からして着地点が見えないまま安達にハラハラさせられるタイプの話が中心なので、作品の魅力自体が少しぼやけてしまった感じは否めん。
 結構予算はかけてそうな気配はするのでキャッチーな方向性に行くことにしたんだとは思うけど、なんだかんだ成功ではあると思う。安達のねっとりしたモノローグも好きだけど、アクがちょっとね…。
 通話勢も最初は拭いきれん意識高めのアニメ映画感に困惑していたものの、途中からは安達の奇行にキャッキャしててよかったっぽい。

 なんとかして5巻の内容までやってほしいというか、5巻で爆発する安達ありきの3~4巻だと思ってるので、そこまでやらないと「よくわからないまま話が終わった…」感はどうしてもある。劇場版、なんとかやってくれねえか?マジで。
 あとミニアニメをtwitterアカウントだけで公開するのやめてくれんか?メディア辿るの地味に面倒なのよ…。

 とりあえず日野と永藤がやっていく様をあと6時間くらい放送していて欲しい。幼馴染百合、完全に特攻です。ありがとうございます。

総評:ベスト劇場版やってくれ賞。全体的に手堅くまとまってて本当によかったけど、今期はちょいライバルが尖ってたので俯瞰してみてみるとなんとなく地味に終わってしまった感は否めない。

呪術廻戦


 ここまで百合アニメの話しかしてなかったのにここで呪術ぶっこむの!?となるけど、まあ人生には色々ありますので…。一応百合っぽい展開も後にちょいちょいあるし…。
 アニメのクオリティ的には今期で一番だとは思う、思うけど原作を大体読み込んでたので後述する「ニジガク」より一つ順位を下げた。単純な映像としての面白さとしては頭一つ抜けてたって言えちゃうかも。

 とにかく戦闘描写のダイナミックさが群を抜いてた。原作からして荒い線で伸び伸びと描かれてる戦闘シーンを完璧に映像化してて、長めに尺を取ってバチバチに動いてたのが最高。
 原作の呪霊がものっそい荒い輪郭だったのをアニメ化するとここまで異質感出るんだな~って想像以上に感心した。領域展開とかも迫力マシマシでよかったね。MAPPA、「ドロヘドロ」でもかなり気合入ってたし一番信頼できるアニメ制作会社かもしれん。
 ただしアバンが異常に長いのはちょっと…という印象。別にいいんだけどなんか気になる。

 あと音楽面もとにかく最高で、OPはそうでもないけどEDと劇伴はマジで狂う。急にヒップホップ入りだしたりなんかビリー・アイリッシュっぽい空間系のサウンド入ったりしてきてなんつーセンスなんだ。

「呪術廻戦」は来期も続くので「今期アニメ」って括りは少し不適切かもしれないけど、それでも語っておきたかったので入れた。通話勢はほぼ全員原作知ってたのでアレだったけど、このクオリティを鑑みると見ないのはかなり嘘っぽい。じゅじゅさんぽもあるし。
 ネクスト「鬼滅の刃」って感じにはならなさそうだと思ってて、どちらかといえば「オタクが老人ホームに入れられても無量空処の真似をする」類の作品ではあると思う。「ブリーチ」とか「HUNTER×HUNTER」みたいな。
 流石に子供が見るには過激かなあ。「鬼滅の刃」もそれなりに過激だとは思うけどなんであんな流行ったんだろうね。煉獄さんは実際すげえんだけど。

「チェンソーマン」のネタバレを嫌う余り30程度のミュートワードをぶちこんでtwitterをやるくらいには「チェンソーマン」好きなんだけど、それでも本誌は別に買わんでもええかな…って思ってて、そんなおれが本誌追うか!?ってなったくらいにはハマった。
「ワールドトリガー」も一緒に週刊ジャンプに載ってたらノータイムで購読してたと思う。芥見先生は身体に気をつけて欲しいと切に願います。

総評:ベストEDテーマ賞ベスト劇伴賞ベストオタクの人生を末永く狂わせる作品賞。中学生の時に見てたら完全にオワってた。


ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会


 なっげえ。タイピングが嫌だったのでコピペしました。タイピングが嫌なだけで正式タイトルは言えるから安心して欲しい(何に?)けど、長いので以下「ニジガク」表記にします。

 実を言うと「ラブライブ!」シリーズに対してそこまで思い入れがなくて、初代もサンシャインも見てたしスクフェスもやってたけどあんまのめり込まなかったんだよな。アニメは友達付き合いでなんとなく見てたくらいで、スクフェスは当時のスマホ音ゲーで一番面白かったので。
「ニジガク」の情報自体は知ってて、鬼頭明里がいたりイガラシが作曲で携わってたりと魅力的な要素が多かったんだけど、「ラブライブ!」は流石にもういいかな…と思ってたので最初は全く見る予定になかったんだわ。

 しかしtwitterの百合オタクたちが口々に「ニジガク、やりおる」と言ってたのを見てもしや…?と一話を見たらこれは期待できそうだな、という内容で、追ってみたらまさかの今期で一番楽しめる作品だったね、というとんでもないダークホースだったわけです。
 スクスタもインストールしました。かすみんは出ませんでした。おわり。

 初代とサンシャインの好きくない所って根底にあるのがスポ根だからで、「全国大会に向けてみんなで頑張るぞ!」というノリをアイドルものでやられてもなあ…って冷めちゃうんだよね。初代はまだ良かったけどサンシャインはかなり焼き増し感あったから尚更。
 でも「ニジガク」はそうしたスポ根ものに付き合わされたスクールアイドル概念が一転、「ファンありきのスクールアイドル」というテーマを一貫していたのがよかった。
ラブライブなんか出なくていい!」って言っちゃっていいんだ!?ってびっくりしちゃったけど、そこまで思い切ったからこそ「ニジガク」が輝けたと思うんだよな。
 ファン目線である高咲侑が主人公に据えられてるというのもあるけど、今までの「ラブライブ!」でおざなりになってた「スクールアイドルを受容するファンたち」がかなり可視化されたと思ってて、だからこそ彼女たちのライブシーンがただのミュージカル的演出にとどまらないものになっていたように映った。
 ストーリーラインも、キャラ単位で「なりたい自分」と「なりたいアイドル像」を提示した上で一人一人のアイデンティティの創出をかなり丁寧に描けていて、かなり練られている構成だったと思う。その辺を通話で一時間くらいずっと語っちゃったくらいには感心させられた。

 全員がソロアイドルとして活動する、という設定を最大限まで活かせていたのがとにかく好印象で、それと言うまでもなく10話以降の展開が完璧だった。というか11話を見てからの一週間はずっと上原歩夢さんのことしか考えてなかったし、上原歩夢さんの話しかまともにできなかった。
 ちなみにおれはかすみんが、もっというと、しずかすが、この話はいいや(ねばっこくなりそうだし)。

 兎にも角にも、オリジナル作品であって誰も先の読めないアニメだからこそ「ニジガク」は毎週楽しみにできた作品だった。言いたいことは山ほどあるけど中々言葉になっちゃくれないので感想はこのくらいで。
 通話勢はライブシーンの演出を「領域展開か!?」とか「かすみんと釘崎野薔薇って同い年なんだよな…」とかと何故か「呪術廻戦」と比較して茶化すことが多かったけど、後半はそんなこと言ってられなくなってたくらいには上原歩夢さんの技量に圧倒されていた。
 でも12話の上原歩夢さんのライブシーン、完全に真人の領域展開だよね…。こういうノリはよくないのかな。いや一生おれはこういうノリでやっていく。

総評:ベスト幼馴染賞ベストかわいいかすみん賞。とにかく来週の放送を今期一番で楽しみにできた作品。二期でかわいいかすみんをまたやってくれ頼むぞ。


 駆け足になったけど以上です。
 他にも通話外で1,2個アニメ見てたけど、あんま言うこともなかったので…。とにかくどれも楽しめました。

 付き合ってくれた通話勢ありがとう。来期も「裏世界ピクニック」とか「ゆるキャン」とかあるのでよろしく。

 そして、このようなご時世でも素晴らしい作品を作ってくださったアニメスタッフの皆さんに、本当に感謝します。

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