豊田市足助「重伝建地区選定10周年事業」第6回 実行委員会議 メモ
2021年9月12日、9月13日、9月17日の3日間にかけて、「重伝建地区選定10周年事業」の第6回目の実行委員会議が足助の町並み内にて開催されました。
▼実行委員会のこれまでの活動実績や、これからの活動スケジュールについては、コチラ
6回目となる今回の会議は、これまでの会議で話し合ったことや学んだことをふまえながら、実行委員会メンバーと一緒に、足助の町並みを実際に歩いてみました。
まち歩きの最後には、配布した書面にコメントを書いてもらい、意見集約をはかることにしました。
【Let's walk around the streets of ASUKE together / みんなで足助の町並みを歩いてみよう】
今回のまち歩きは、実行委員会メンバーのお仕事の都合上、日程を3グループに分けて開催することになりました。
各回の所要時間は約2時間程度。足助の町並み内の足助交流館をスタート地点として、ゴール地点の足助中馬館へ向かって、旧街道をメインルートに東へと歩いていきます。
足助小学校での町並み学習の講師なども手がけている堀部篤樹支援員による足助の町並みについての解説を加えつつ、適宜参加者間での雑談を交えてのまち歩き。
各回の参加メンバーの構成によって、若干歩くルートを変えたり、説明を割く場所や時間を調整しました。
▼まち歩きルート(第6回会議)
まち歩きをするうえでは、これまでの実行委員会議にて話し合った、「足助の町並みの良いところ」や「歴史や思い出のある場所」についても思い出しながら、歩いていくことを意識しました。
▼(再掲)「ローカルツアー アイデア・ストーリーマップ」(第3回会議)
また、平成23年度の重伝建選定からこれまでの10年間の間に、重伝建地区の補助金制度(修理・修景事業)を使ってなおしてきた30件の建物についても、まち歩きで通りすがったところについては、適宜紹介を加えていきました。
▼「豊田市足助伝統的建造物群保存地区 修理・修景事業 実施箇所図(平成23年度〜令和2年度 10年間実績)」
▼グループ①: 2021年9月12日(日)
日曜日のグループは、Uターンで足助に戻って定住されている実行委員メンバー2人の参加があったため、それぞれのご自宅の前で、お話しを聞くことができました。
2人とも重伝建の補助金制度を使ってなおされたお家に住われており、住み心地については満足しているとのこと。Uターンにいたった経緯については、2人とも子育て環境を考えた結果、足助に戻ることを決めたそうです。
やはりこどもの頃からの地元への愛着が、引き続き地元へ住み続けるかどうかの鍵になってくるのかなと、あらためて感じました。
そして重伝建の補助金制度は、再び地元へ戻ってくる際のサポートにも少なからずなっているんだなと、確認することができました。
▼グループ②: 2021年9月13日(月)
月曜日のグループは、女性の実行委員メンバーを中心に、実行委員会最年長の田口会長も交えながら、みんなで和気あいあいと、まち歩きをすることができました。
足助の町並みでは、少し上を見上げてみると、今まで気づかなかった、建物やまちを彩るちょっとした装飾が発見できます。
また、年長者のこどもの頃の話を聞きながらまちを眺めると、より一層足助の町並みが魅力的に思えてきます。
長年生活しているまちであっても、まちを眺める視点を少し変えてみたり、まちにまつわるエピソードを知ることが大切なんだなと、あらためて感じました。
▼グループ③: 2021年9月17日(金)
金曜日のグループは、現役の子育て世帯などの若手実行委員メンバーとともに、途中メンバーのご自宅である足助両口屋さんにも寄り道をしつつ、少人数でじっくりと時間をかけたまち歩きをすることができました。
「授業で学んでいる今の小学生の方が、詳しいかもしれない」「結婚などで外から移住してきた人にも、こうしたまちを知るきっかけがあると良い」など、
今後の活動に向けてのヒントとなるような、前向きな意見を沢山もらえるまち歩きとなりました。
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各回の参加メンバー構成や人数規模などによっても、それぞれに違った雰囲気が生まれてくるのが学びでもあった、今回のまち歩き。
まち歩きの最後には、みんなで足助の町並みを歩いてみて、「はじめて知ったこと」や感じたこと、また「これからの足助の町並みに必要なこと」について、伺う時間を設けました。
特に「はじめて知ったこと」や感じたことについては、重伝建制度に関するものと、そうではない足助の町並み全般に関するものとを区別する聞き方をあえてしてあります。
以下に、「コメント票」にて集約した、実行委員の意見を一部抜粋します。
▼玉田屋旅館の手すりに書かれた「や だ ま た」の文字
▼旧田口家住宅がガソリンスタンドを経営していた当時の看板
▼足助両口屋がまゆ問屋を経営していた当時の俵
▼重伝建制度上の伝統的建造物に与えられる、通称「伝建プレート」
▼重伝建の補助金制度を使って修理した、真野家住宅の外観
普段はあまり気にすることのない風景も、少し視点を変えてみることで、参加者それぞれに、新たな発見があったことがよく分かります。
町並みをよく観察することでいろいろな発見を促すという取り組み自体は、長年に渡って堀部支援員が足助小学校の町並み学習でこども達に対して実践していることでもありました。
足助の町並みの良さを未来に伝えていくためには、こどものみならず、大人も学ぶべきことが沢山あるのではないかと感じました。
実行委員会メンバーも、足助の町並みの成り立ちについての話を聞きながら実際に歩いてみたことで、より深く町並みのことを知り、多くの近隣住民にもこうしたことを伝えていく必要があると、感じてもらえたようです。
こうして足助の町並みや重伝建制度についての知識が深まりはじめたことで、自然と古いものを残していくことへの一定の理解も得られてくるようにも感じます。
そのうえで、足助の町並みを守っていくための今後の課題として、古い建物(伝統的建造物)の維持管理であったり、住み手を増やしていくことへの関心も、自然と生まれてきています。
今回の有意義な機会を通じて、引き続き、住民と行政が協力しあいながら、未来の足助の町並みのためにできることを探っていけたらと思います。
※「コメント票」にて集約した意見は、次回以降の会議にて共有予定です。
【Poster production using Logo mark & Catch phrase / ロゴマークとキャッチコピーを使ったポスター制作】
前回会議で正式に決定した、ロゴマークと3つのキャッチコピー。
今後、制作予定のポスターデザインにも、このロゴマークとキャッチコピーを、活かしていきたいと考えています。
▼「足助重伝建地区選定10周年事業 ロゴマーク」
▼「足助重伝建地区選定10周年事業 キャッチコピー」
▼「足助重伝建地区選定10周年事業 ロゴマーク・キャッチコピー ダウンロードサイト」
※足助重伝建地区選定10周年ホームページ内
前回の会議では、椙山女学園大学4年生の堀田明来さんより提案のあったポスターのイメージ案について、実行委員の皆さんからいくつかのコメントをもらっていました。
今回の会議では、そのコメントを参考に、少し修正が加えられたポスターのイメージがあらためて示されました。
以下に、「コメント票」にて集約した、今回のポスターのイメージ案に対する実行委員会メンバーの意見を記します。
コメントを見る限りは、全体的にいずれのイメージ案も好評を得られている印象です。
これらのコメントを参考にしつつ、引き続き、具体的なポスターデザインの大枠を決定し、制作作業を進めていければと思います。
【Collaboration with the 10th anniversary Project of the "Jyu-den-ken" / 重伝建地区選定10周年事業と連携した企画・イベントの開催】
重伝建地区選定10周年事業の象徴として、足助の町並みのPRに関わる各種取組み(掲示、物販、イベントなど)において、使用ガイドラインの範囲内で、誰でも使用できるようにしたロゴマーク。
早速、さまざまな主体が行う企画や広報にて、たたみかけるようにロゴマークの活用をしてもらえる事例が出てきたので、その一部を紹介したいと思います。
▶︎豊田市 文化財課『豊田市郷土資料館だより』特集記事
手前味噌ではありますが、文化財課にて隔月発行している広報誌『豊田市郷土資料館だより』のNo.111号にて、足助の町並みと重伝建地区選定10周年事業についての特集記事が掲載されました。
▶︎足助中央商店街協同組合「足助町並みさんぽ」
足助中央商店街協同組合の主催のもと、椙山女学園大学の学生による体験型ガイドツアー「足助町並みさんぽ」が、9月23日(木祝)と10月30日(土)の2日間に渡って開催されることとなりました。
当日の案内役は、本事業でもおなじみの堀田支援員と服部支援員、そして堀部支援員のサポートにより行います。
この企画は、小学生のお子さんがいる親子世帯を対象に、大学生の解説を聞きながら、足助の町並みを歩き、学ぶツアーとなっています。
当日は、1組1台貸し出しするチェキで撮った足助の町並みや思い出写真をまとめて「思い出のアルバム」をつくったり、
足助の町並みや歴史の魅力をクイズ形式で楽しみながら学び、クイズにたくさん正解すると「町並み子ども博士証明書」がもらえるなど、
親子一緒に楽しめる体験型ワークショップの要素を盛り込んでいます。
当日使われるグッズには、ロゴマークやインスタのQRコードなどがふんだんに取り入れられています。さすがデザイン学科!といった仕上がりです。
ちなみにクイズを行う際に使ったスタンプについては、なんと外注先のはんこ屋さんがSNS上で紹介をしてくれたとのこと。最近はこんなこともあり得るんですね!
▶︎からさわてるふみ「足助の町並み図屏風展」
足助に関するポスターといえばこの人!といえるぐらい、知らず知らずのうちに、多くの方の足助のイメージをかたちづくっているかもしれない方。
それが、岡崎市在住の画家、柄沢照文(からさわてるふみ)さんです。
昭和60年代頃から、足助にまつわるペン画作品を数多く制作されており、足助の「中馬のおひなさん」や「足助まつり」などのポスターの背景画ではおなじみです。
そんな柄沢さんが、昭和30年頃の賑やかな足助の町並みを描いた屛風(びょうぶ)を、足助の町並み内にある旧田口家住宅で展示することになりました。
PR用のポスターには、本事業のロゴマークもつけてくれており、長年足助に関わってくれている柄沢さんとコラボさせていただけるのは、大変嬉しい限りです。
【Next Step / 次回の会議へ向けて】
今回の会議であらためて現地を歩いて確認した「足助の町並みの良いところ」を未来に残していくためにも、
次回の第7回会議では、足助の町並みにおける長年の課題のひとつにもなっている「空き家」の活用をテーマにした話をしてみたいと思います。
一度の会議で全てを解決することは難しいとは思いますが、確実に避けては通れない課題でもあります。
まずは基本的な現状をおさえつつ、実際に空き家を所有する住民の率直な意見などもふまえながら、地道に課題解決への道筋を探っていけたらと思います。
一方、この「重伝建地区選定10周年事業」が、新聞やラジオなどのメディアでも少しずつ取り上げられるようになってきました。
令和3年9月1日(水)中日新聞の地方版(「豊田版」及び「西三河版」)、また、令和3年9月3日(金)エフエムとよたの「RADIO LOVEAT」にて、
本事業のロゴマークとキャッチコピーを使って「重伝建10周年」をPRする取組みが特集されました。
▼中日新聞記者さんの取材の様子
今年4月に本事業をスタートしてから、早半年。上半期の着実な準備の積み重ねの成果もあって、本事業の認知度もずいぶんと広まってきたように感じます。
これからの季節の足助は、秋のまつり、冬のおひなさんなど、イベントづくしの下半期となります。
さらにせわしなくはなってはきますが、その雰囲気も楽しみながら、引き続き、地域住民の皆さんと力を合わせて、まちの課題にも向き合っていきたいと思います。
▼髙木支援員作 YouTube動画
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