目下、私が最近気になっていることについて、アメリカの人工知能研究所「Open AI」が開発した生成型AI「ChatGPT」と対話してみたやりとりを、以下にメモしておきたいと思います。
今回のテーマは「重要文化財(建造物)について」。
筆者の質問(以下「Q」)に、ChatGPTが回答(以下「A」)をしています。対話時のバージョンは「ChatGPT Jan 30 Version」(2023年)です。
▶︎Q1.「文化財建造物の有効な活用方法について教えてください」
▶︎Q2.「重要文化財に指定されている建造物は、活用するうえでの制約が厳しく、維持管理費用を賄うことが難しい現状にあります。どうすればこの現状を改善できますか?」
▶︎Q3.「重要文化財の建造物について、公的資金に頼ることなく、修理や維持管理を行っていく方法を教えてください」
▶︎Q4.「重要文化財の建造物に、多くの若者を呼び込むための方法を教えてください」
▶︎Q5.「重要文化財の建造物に、多くの外国人観光客を呼び込むための方法を教えてください」
【Feedback / 生成型AIと対話をしてみて感じたこと】
今回、重要文化財(建造物)について、生成型AIにいろいろと質問をした理由。
それは現在、私が仕事で携わっている国指定重要文化財「旧鈴木家住宅」の整備事業を進めていくなかで、文化財建造物の保護の業界にはびこる根深い問題に出くわすことが数多くあったからでした。
国が国宝や重要文化財などに指定した文化財建造物は、その希少性や歴史性などを守るために、公的資金を使った保護がなされます。
しかし、その多くが多額の支出(建物修理費や施設維持管理費など)をまかなうだけの収入(入館料やサービス対価など)が見込めず、金銭面的には赤字経営を前提とせざるを得ない現状に陥ります。
さらに、原則として昔の建物の形態を変えてはいけないなどの厳しい制約によって、収益性のある飲食や宿泊などのサービス提供ができる施設に改修することも難しいことが多く、建物所有者の負担は大きいです。
この状態を所与のものとして慣れきってしまった文化財建造物の保護に携わる一部のステークホルダーたちは、今回、生成型AIに聞いたような質問をしてみても、有効な答えが返ってこないどころか、口論になってしまうことさえあるぐらいに、事態は深刻です。
そうした背景をふまえた上で、真に持続可能な文化財建造物のあり方を考えるのであれば、今回、生成型AIと対話したような前向きな議論が、これからの時代にはより一層必要になってくると思います。
なお、文化庁が運営する「国指定文化財等データベース」をみると、2023年2月現在、国宝及び重要文化財に指定された文化財建造物の数は、日本全国あわせて2,575件(内 国宝229件、重要文化財2,346件)にものぼるとのこと。
これ以上、国や地方自治体の財政状況を悪化させないためにも、単なる建造物の保護に留まらない有効な活用方法を考えていくことこそが、本当の意味での文化財の価値を生み出すことにも繋がるのではないでしょうか。
縁あってこの重要文化財(建造物)に携わることになった以上、道のりは険しそうですが、できる限りの最善を尽くせるよう、引き続き、がんばっていきたいと思います。