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仮に誰も信じられなくなったとしても -峰宗太郎・山中浩之 著『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』-

 2019年末以降、引き続き余談を許さない状況が続く、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック。

 この『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』という本は、このパンデミックを収束させるために重要なツールとなり得る新型コロナワクチンについて、基本的な知識や向き合い方を教えてくれます。

 以下に、この本の読書を通じて気づいたことや感じたことについて、メモしておきたいと思います。

 ※本記事では、本の内容から自分自身が学んだことをまとめたものですが、ワクチンの接種自体はあくまで個々人の任意ですので、ご注意ください。

【Discovery / この本を読んで得られたこと】

 この本は、主に病理医の峰宗太郎さんへの一連のインタビューを、編集者の山中浩之さん(作中では、「編集Y」と表記)がまとめたかたちをとっています。

 峰さんは、アメリカの国立研究機関で博士研究員を務めるかたわら、国内外で得た医療知見をもとに、SNSやブログを使って正確な医療情報を発信し続けている方です。

 峰さんの話のわかりやすさや見通しの確かさは、日本でもいよいよ感染者が増えていくのではないかという懸念が広がっていた2020年3月(1回目の緊急自体宣言前)に配信された、以下の動画を見るとよくわかるかもしれません。

 また最近では、新型コロナウイルスに関する正確な情報を伝えていくプロジェクト「こびナビ」の副代表も務められており、世界中の日本人医師の方たちと継続的な発信を続けられています。

 そんな峰さんと山中さんが書いたこの本を読んで、主に感じた3つのことを以下に整理していきたいと思います。

▶︎本当はもっと未来に導入されるはずだった「新しいワクチン」

 この度、新型コロナウイルス感染症のワクチンとして導入されることになった、メッセンジャーRNAワクチン(mRNAワクチン)。

 この新しいタイプのワクチンは、これまでヒトへの使用は承認されておらず、本来であれば、導入の実現にはまだ10〜20年程度はかかりそうな状況だったそうです。

 しかし、世界規模でのパンデミックが起こり、多くの感染者及び死者が出てしまっていることから、背に腹は変えられないという理由もあって、今回の導入に至りました。

 実際、自分も9月上旬に1回目、10月上旬に2回目のワクチン接種(モデルナ社製)を行いましたが、これまで打ってきたワクチンとは比べものにならないほどの副反応がありました。

 悪寒、発熱(自分は生まれてはじめて39.7°まで上がりました)、頭痛、関節痛、倦怠感…。
 周りの友人や同僚でも比較的若い年齢の方には同様の反応がでており、この本にも書かれているとおり、従来の基準であれば、治験中止レベルのワクチンなのかなあという実感です。

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 それでも、世界中にこの新しいワクチンを打ってでも、日常生活を取り戻したい人たちがいる…。
 この新型コロナウイルスに対する恐怖感の大きさを、世界各国の高いワクチン摂取率が物語っているようにもみえます。

▶︎専門家でさえもわからないことがあるという「あまり受け入れたくない事実」に向き合う

 中国・武漢で新型コロナウイルスの存在が確認されてから、もう少しで2年が経とうとしています。

 世界中でこのウイルスに関する研究が行われ、急ピッチでワクチンや治療薬などのの開発が進んできましたが、新たな変異株の発生もあり、まだまだ余談を許さない状況が続いています。

 この本では、科学的な根拠をベースとして、ワクチンでできることとできないことや、PCR検査でできることとできないことなどを、詳しく教えてくれます。
 一方で、世界各国の新型コロナウイルス研究の論文をウォッチしている峰さんでさえも、まだまだわかっていないことがあるのが実情だといいます。

 医療の専門知識がない一般人からすると、ついつい「こうすれば大丈夫」、あるいは「こうしなければ絶対にダメ」という、わかりやすい答え(白か黒か)があった方が安心なのかもしれません。
 しかし、医療の詳しいところまでわかる専門家にこそ、わかっていないことはわかっていない(グレー)と科学的な根拠ベースに説明してもらうことこそ、専門家の役割として重要なのではないかと思います。

▶︎国民一人ひとりが試される「メディアリテラシー」

 WHO(世界保健機関)は、今回の新型コロナウイルスの流行が始まった当初から、「インフォデミック」の発生に警戒を示していたといいます。

 インフォデミックとは、「インフォメーション(情報)」と「エピデミック(流行)」を組み合わせた造語で、デマや嘘を含む間違った情報が多く氾濫してしまうことにより、最も大切な情報や正確な情報などにアクセスすることが困難な状況を指します。

 インフォデミック下で情報収集する際には、一人ひとりが公的な情報源を含む複数の情報源をもち、その情報をクロスチェック(比較検討)することが重要だと、峰さんはいいます。

 マスメディアからインターネット上のSNSにいたるまで、数多くの正誤入り乱れた情報が飛び交い、また医療の分野に特有の難しい専門用語の羅列を見聞きしていると、めまいがしてくるような気分になる方も多いかもしれません。

 ましてや、これまでのコロナ対策における政府やWHOなどの公的機関の対応に不信感をもっている方であれば、余計に信憑性や根拠のない公的機関以外の不確かな情報源に自身の判断を委ねてしまうケースも懸念されます。

 もし自分自身の選択に悩む方がいるようであれば、まず自分の命を守るためにも、根気強くクロスチェックをし続けた情報をもとにした行動選択をしていくことが、結果的に自分の命、ひいては周りの方の命を守ることにも繋がっていくのかもしれません。

 参考までに、この本の巻末で紹介されている情報源の一部や、自分がよくウォッチしていた国内感染の状況をまとめたウェブサイトのリンクを、以下に貼っておきたいと思います。

▼厚生労働省「新型コロナウイルス感染症について」

▼コロナ専門家有志の会

▼東洋経済オンライン「新型コロナウイルス 国内感染の状況」

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 以上の3つのことがらが、個人的には特に重要だと感じました。

 正誤判別のつかない情報が過多になり過ぎた結果、もはや誰の言うことも信じられなくなってしまった方がいたとしても、
 自分自身の命を守る最善の行動が何であるのかについては、最終的には自分自身で考え、選んでいかなくてはなりません。

 この本には、新型コロナウイルスと向き合い克服していくための、自分自身の行動判断に役立つ普遍的な医療情報や考え方が随所に散りばめられています。
 出版から早1年が経とうとしてはいますが、新型コロナワクチン接種が過渡期を迎えているいまの時期だからこそ、必要な1冊となるかもしれません。

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