犯罪利用の口座売却は地獄の一丁目
ある口座凍結のご相談について。士業が受ける口座凍結といえば普通は名義人の方の死亡による口座凍結が主なものですよね。
葬儀代を払おうと思ったらお父さんの口座が既に凍結されていて引き出せない!どうしらいいの?というのが一般的なイメージでしょうか。
しかし、コロナ禍で増加している口座凍結に「犯罪利用に関わる口座凍結」があります。
簡単にいうと、振り込め詐欺などの振込み先として使われた口座がこれ以上犯罪に利用されないように口座を凍結するというものです。
通常、犯罪に利用された口座がどうなるのかというと、まず警察からの情報などで銀行が口座を凍結します。
その際に口座の名義人には凍結されることを知らせる手紙や本人確認書類を持って来店してくださいといった案内がきます。
そして口座の名義人からの連絡もないと口座に残っていたお金は犯罪被害者への救済に充てられることとなります。
簡単に言えば犯罪に利用された口座は没収して、口座に残っていたお金は被害者に分配されるということですね。
犯罪に利用された口座があった場合は当然口座は凍結されるのですが、この凍結は犯罪に利用された銀行の口座だけに留まりません。
例えば、ギャンブルにはまってしまった方がいろんな会社からお金を借りて生活していたけれど、いよいよ首が回らなくなってきた。もうどこからもお金を借りることもできないしどうしたらいいのか、、、、という状況で「口座買います。1口座10万円」なんて宣伝をみたらどうでしょうか。
「そういえば、昔作った口座で今は全く使ってない口座があったな。あの口座ならいらないから売ってもいいか!」なんて安易に考えてしまったら。
上でも述べたように、犯罪利用で口座が凍結される場合は、その犯罪に利用された口座だけでなく、同じ名義人の全ての口座が凍結され、かつ新規での口座の開設ができなくなる可能性があります。
口座を売った時は「この銀行の口座は今は使ってないし、盗まれたことにしておけばいいか。使えなくなってもお金は入ってないから困らないし。ラッキー」なんて考えているかもしれません。
また、「何か銀行から通知がきたけど、正直に口座を売りましたなんて言う訳にもいかないしとりあえず無視しておけばいいかな。どうせ口座が使えなくなっても自分のお金が入っている訳でもないから困らないし、、、、。」
と銀行からの通知に対しても、口座の売買をしたという後ろめたさから無視を決め込んでいる方が多くいます。
犯罪に利用された口座は同じ名義人の口座も順次凍結していきますので、基本的には今契約している全ての口座が使えなくなる可能性が高くなります。
日本に住んでいて銀行の口座を持っていないとなると、普通の社会生活は送れませんよね?
給料の振込みはしてもらえませんし、会社を経営していた場合は倒産となるでしょう。
また、これから社会人になろうとしても銀行の口座が開けないというのは信用問題として大きな問題を抱えているとすぐにわかってしまいます。
口座の売買自体が犯罪なのはもちろんですが、その後の口座凍結によって罰則を受けた後も日常生活に支障が出るレベルの不利益を被ることとなります。
コロナ禍で生活が苦しいからといって安易に口座売却に手を染めてしまうと、今後日本で生活ができなくなるといってもいいくらいの不利益を被ることになります。
・口座売却が発覚したら謝ればいい
・財布を盗まれたことにしよう
・登録住所が実家だったから銀行からの通知が来なかった
・警察にいって事情を説明すれば解除してもらえる
・最悪、罰金や罰則を受けて禊を終えれば口座を作れるようになる
・なんだったら弁護士に頼んで銀行や警察を訴えてやる!
なんて事を考えているのなら大間違い!です。
犯罪利用で口座が凍結した場合はそんな生易しい解決策はありません。むしろ、口座の凍結を解除する方法がないといってもいいくらい詰んでしまうこともありますので、絶対に口座売却はしないようにしましょう。
また、キャッシュカード等を落としたのなら必ず警察や銀行へ届け出ておきましょう。
犯罪利用として口座を売り払ったのではなくても、警察や銀行ではその口座が犯罪利用として売却されたのか、単に落としたり、盗まれたりしたものなかの判断がつきません。
ですので、キャッシュカードを落とした、盗まれたなどに気づいたらすぐに警察や銀行に届出る。
事前に届出がされていれば、万が一口座凍結となっても自分に否がないことを証明しやすくなります。
なんども言いますが、犯罪利用の口座売却は地獄の一丁目です。絶対に行わないようにしてくださいね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?