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Day1,「Fish on」Inktober2020

 魚は嫌いではない。むしろ、好きな方だと思う。見た目がまず美しい。流線型で、砲弾の様だし、鱗は鎧の様だ。魚自体には戦いは似合わないのに、見た目は戦士の様で、泳ぐ彼らを見るとぞくりとする事もある。
味も好きだ。刺身、焼き、蒸し、煮、なんでも美味い。特に刺身は、日本人に生まれたことをいつも感謝しながら食べている。父方の実家は海の近くだったから、魚の食べ方には厳しかった。綺麗に中骨を残して食べることが出来ると、今でも祖母に褒められた幸福感が蘇る。

 魚の一番大きな記憶は、兄貴達との思い出だ。二人の兄貴は、釣りが好きだった。年子同士で連れ立って行く事もあれば、一人で行く事もあったと思う。仲の良い彼らを離れた歳で見ていると、私も釣りが出来ればあの輪に入れるのではないかと憧れた。騒いだからだろう、時折連れて行ってくれた事もあったが、幼く不器用な私は、しばしば釣り糸を絡ませて、泣いた。彼らが私を置いて遠出をしている間にひどく絡ませ、どうしようもなくなって怒られるのも嫌で、一人で帰った事もある。帰ってきた兄貴が持っていた竿は、きれいに直されていた。苦い記憶である。
それでも懲りずに付き合ってくれた彼らは、いつだったかの誕生日に釣竿をくれた。青緑色のきれいな一振りだった。飛び上がる程嬉しかった、はずだ。近くの公園に行き、ルアーを投げる練習をした。結局、その竿が実戦に投入された記憶があまりない。いつのまにか物さえも、どこかに行ってしまった。捨ててしまったろうか。

 兄貴二人は、それぞれ釣りとは関係ない仕事に就いた。だが今でも、釣りには行くらしい。時々家族ラインに釣果の写真が並んだりする。私自身はいつのまにか、兄貴達の輪に入るのではなく、自分なりの楽しみを見つけられる様になった。
それでも、彼らが楽しそうに擬似餌やリール糸の意見を交換しているのを見ると、やはり羨ましく思う。つまるところ、釣りに憧れていたのではなくて、やはり憧れていたのは輪そのものだ。

 最近実家では、5月になると長兄の息子、両親にとっては孫達のために、鯉のぼりが上がる。兄は、既に息子にも、釣竿を握らせているらしい。英才教育だ。甥と姪が、輪の中でも、一人だったとしても、楽しめる人に育つといい。

FISH

1C魚(解説的語義)
 魚類(◆単複同形だが種類を表す時は fishes)
 a marine [freshwater, tropical] fish
 海水[淡水,熱帯]魚
 a school [a shoal] of fish
 魚の群れ
 catch a [five] small fish
 1匹の[5匹の]小さな魚をとる
 1aU(食物としての)魚,魚肉
 fresh [frozen] fish
 鮮魚[冷凍魚]
 raw fish
 生魚
 eat fish
 魚を食べる
1bC〔複合語で〕魚介,水産動物
1c 〔the Fish(es)〕《天文》うお座(Pisces)
2C((米略式))簡単にエサにひっかかる人,ばかなやつ,かも
 an easy fish to hook [catch]
 簡単にひっかかる人
2aC((略式))(一般に)(…な)人,やつ;どこか変な人
3C((略式))魚雷(torpedo);((米俗))1ドル

#inktober2020 #inktober #イラスト #万年筆 #FISH

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