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Day30,「Ominous languor」Inktober2020

 猛烈な怠さと眠気、異常な関節の痛み。インクトーバー終了を目前に控えて襲われたのは、不吉極まりない何かの前兆だった。オフィスデスクに向かっているのだが、体が動かない。ただただ異様な程に体が重い。肩と腰と膝と足首と首と手首と肘と肩甲骨が痛い。これまで手垢が付いた表現として笑っていたが、節々が痛くなるってこういうことか。

 とにかく早退することにして、ずるずる駅まで歩いていると、運の悪いことに(本当に)、退職した先輩に会ってしまった。不調だと言ってもにやつきながら飲めば治ると言う。どこの未開人だよ。諦めて地元駅で一杯なら、というと、信じられないことに彼は私の地元駅までマジで来た(諦めると思った)。馬鹿野郎。こんなに怠いのに、飯はちゃんと食えるし、うまい。肘が痛え、肩甲骨が、とボヤきながら、結局奢ってもらってしこたま食べた。カードが使えない店だったらしい、バチが当たったんだ(ご馳走様でした、あざした)。

 満身創痍で家にたどり着き、頭から突っ伏す様にそのまま眠る。夜中に便所がてら体温を計ると37.8分だった。良くはないので念のため例のウイルス対策ホットラインに電話して、諸々聞いておく。とにかく関節が痛いので、動いていれば痛くない、また寝た。
次の日熱は下がっていた。会社には行かずとにかく寝て過ごす。昼前に駅前診療所に行くと、待合から診療まで別室だった。会計まで別室だったから徹底して申し訳ない。太った医者に風邪だね!と告げられて追い出される様に外へ。ここから加速度的にヤバくなることを恐れて、とにかく持てるだけのカップ麺とペットボトル飲料を買う。オマケに牛メンチも買った(実は元気なんじゃないか?)。奴隷は二度刺すという。木の葉の蓮華は二度咲くという。夜中に体温を計ったら、40.3分。見なかったことにして寝た。

 31日土曜日、起きると完全に元気だった。体の怠さもすっかり無くなった。お見舞いラインに返信して、家の掃除をする。届いた低アルコールビールを飲んだり、買い込んで無駄になったカップ麺を食ったりする。今となっては、見えない悪魔が身体中の関節という関節を執拗に殴ったり、鼻にぬるぬるした何かを突っ込んだり、アイアンクローしたり、脇に挟んだ体温計を抜いた瞬間ライターで炙ったりしてたんじゃないかと思うくらい、呆気なく不愉快だった。
現在完治した様に見えて二日経った。二度あることは三度あるという。不吉な影は消えたろうか。

OMINOUS

不穏な;(…にとって)凶兆を示す,不吉な≪for≫
2 前ぶれの,(…の)前兆となる≪of≫

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