Σリーグ第11節、1・2試合目 奈落の王選手

L「今回は連投となりました、Emperor Peng Inc.所属奈落の王選手にきていただきました。まずは連投お疲れ様でした。どちらも苦しい展開でしたがトップ・4着、本来ならばポイントは増えそうですが4着が余りにも痛い箱下となりました今のお気持ちをお聞かせください。


奈落の王「お招き頂きありがとうございます。前期FCの時から連投が手段でなく目的となりつつ有る私ですが、1戦目の浮きが吹き飛んで、ここまで突き抜けてラスったのは初めてでした。チームにとっては相変わらず厳しい結果となりましたが、自分にとっては良い経験になりましたので、そういった観点ではある意味感謝ですね。」

L「ありがとうございます。では早速試合を振り返っていきましょう。東2局親番1-4p聴牌の場面、魔王KUUGEN選手の2s暗槓が入っている状況で、こちら時間をかけて立直という選択を取られていました。この時はどのようなことを考えられていたのでしょうか。」

奈落の王「14pが5枚切れと場況が悪かったのですが、親であることと1pが見た目残り1枚居るならということで渋々曲げました。
時間をかけていたのは、場に見えている1pの枚数カウントを間違えていないか不安だったからですね。もし1p4枚切れならダマっていましたから。」

L「なるほど、しっかりと残り枚数を数えての立直というわけですね。その後はかなりのチャンス手である平和赤赤ドラドラの立直も放銃にまわってしまう辛い展開が続きました。」

勝負手は成就せず

L「そして浮上のきっかけとなったのはこの局、魔王KUUGEN選手から出た6pをポンして断么九赤赤ドラの5p、4sシャンポンを、立直に対してもしっかり押し切り5pをツモ和了されました。こちら個人的に気になったのは4-7p二度受けが苦しい形で萬子を伸ばしに行く選択肢もあるのかなぁと思いながら見ていたのですが、この時の思考をお聞かせください。」

ドラを引き入れスライドを選択
6pをポンして聴牌
立直にもしっかり押し切りツモ和了

奈落の王「ツモ7mの時点で7pが2枚切れで47pの感触は悪かったのですが、反面、6pの縦受けは強めになるなぁと見ていました。なので56p4sのポンテンは喜んで取りますし、10巡目という巡目要素も加味して、カン5s引きの56p待ち立直も辞さない構えでしたので直線的に打4mとした思考でした。
もう2、3巡早ければ打9sとして萬子を伸ばすルートを選んでいたと思いますね。」

L「巡目とのバランスをみてしっかりと和了された素晴らしい1局でした。そしてやはり決め手となったのはこの親番、アルシー選手から早すぎる3巡目の立直から、最高の9mをツモってきて聴牌。2-5-8p、7sの変則四面張の聴牌から赤5pのツモ、さらには裏も3枚乗せ耐えに耐え抜いた半荘の一気に突き放す6000オールとなりました、しっかり勝負しての素晴らしい和了。こちらかなり嬉しかったのではないでしょうか。」

またしても早い立直
しっかり勝負して高めツモ
裏も乗せ、勝負を決めた

奈落の王「早めに宣言牌3mの勝負だけで追っ掛けることができたのはツいていましたね。ジョセフの役の読み上げボイスと赤裏3という美しさのかけらも無い6000オールによって、精神的にも点棒的にもリードに立てたと思っています。」

L「ただでさえ強者である奈落の王選手が精神的リードを取られるのは同卓者としても許してくれとなりそうですねw
続く南2局カン6sにて聴牌を入れていたこの場面、役無の赤1を立直せず、Yukiちゃんねる選手から立直が来た場面で5pは押し、9pで降りを選択されておりました。この場面どのようなことを考えられていたのでしょうか。」

一発目の5pは縦置き
9pで完全に辞め

奈落の王「一発目に4pを抜いても次巡にすぐ手詰まることが想定される手格好だったので、8pが通っており、4pのワンチャンスということで5pを縦置きしました。横に曲げなかった理由は、まず南2局ということで局収支より着順を重視すべき局面に入っているからです。ゆきちさんの河が強く、巡目もある程度残っており、メンピンドラの5800程度の待ちの良さ・打点なら追っ掛けても良いとは思いますが、場況的に良いとは言えないカン6sの立直ドラ1でわざわざ13600点差離れている2着目に勝負してあげるのはリスクの方が高いという判断ですね。
9pでオリた理由は、この時点で現物が45p1sの3枚できたので流局までオリ切れるだろうという見込みが立ったからです。また、9p2枚切れにつき、9pで刺さるとドラを跨ぐ以上、ある程度の打点が付き纏うという要素もオリに傾いた要素です。
自分の中では、こういう牌で止める為に打5p取りダマにしているんだから、9pを押すんだったら最初から曲げてろよ、って話になりますね。」

L「なるほど、トップを取るために着順を最大限みた選択という訳だったんですね。結果この半荘はトップ逃げ切り、素晴らしい選択でした。」


L「続けて第二試合へと移りましょう。大物手をツモられ自身の着順浮上も厳しい、あまりにも辛い半荘でした。そんな中南1局1本場。生牌の中を重ね、6pを切れば聴牌という場面。笹子選手の立直の残り筋も殆どなく、この6pを切りきれず聴牌も諦めるという選択肢もあるかと思いました。」

L「しかしここは6pを勝負。7mも笹子選手から出ることになりましたがチーして安全に聴牌を取ることが出来ました。この6pが切れると判断された要素などあったのでしょうか。」

6pを切れば聴牌
ここは勝負。
7mはチーして安全に聴牌をとった。

奈落の王「まず、ジュンさんの立直一発目にタクさんがド無筋の7pをプッシュしていたのが目に付きました。「あぁ、タクさんは聴牌だな」と。
一方、立直の河は全体的に気持ち悪い並びになっていて、4m→5mの手出し立直だった為、警戒すべきは七対子の字牌単騎や36m、筒子の無筋(36p、58p、69p)辺りと考えていました。
そして残りツモ1回の手番で止めていた中を重ねて30秒程長考した訳ですが、ラス目で親権維持はしたい為、キツいながらも6pはプッシュはしましたが縦置きしました。なお、6pを通せる根拠はまるで無く、点況で渋々切らされた感じです。
何故6pを横に曲げなかったのかと言うと、カン7mの場況が悪く、残りツモ1回の状況につき、カン7mの出和了を逃すことよりも次巡に36mを掴んだ時に打8mとして聴牌維持できる、また次巡に58pを掴んだ時にオリる余地を残せるという選択を採れる方を重く見たからです。
結果的にはジュンさんが即7mを掴んで控室は阿鼻叫喚だった訳ですが、自分の選択に後悔は無いですし、恐らく今後同じ状況に遭遇しても同じ選択を採ると思います。」

L「ありがとうございます。最後に一つだけお伺いします。自身の着順浮上もきびしい展開だったように思えたのですが、唯一自身の反省点として挙げておられたダイゴ選手への2m放縦、こちらしょうがない放縦のように思っていたのですが奈落の王選手としてはどこか違う選択肢があったということなのでしょうか。」

奈落の王「結論から言うと、ここは7sの対子落としで回るべきでした。
まず、ダイゴさんにドラ4mを赤含みで晒されて5800以上からという打点が約束されているので、押すにしてもそれに見合う手牌でなければなりません。フリテン14p残りの高め4pが埋まってようやくメンタンの2600からではとても見合っていません。
次に速度読みとしては、ダイゴさんの河には68sの塔子落としが入っており、所謂「河が濃い」状態なので、チー出し1mの時点で聴牌と読むべきです。実戦では「聴牌だろうな」とは思っていました。
そしてダイゴさんが聴牌だと仮定して4mを鳴く前の手牌構成読みとしては、122r 56m XXX(完成面子) YY(塔子or対子) の形を想定できます。
133r56mからのチー出し1mという形も想定できますが、タクさんがその後3mを通したことでこのパターンは消去できます。
YYが待ち塔子になっていた場合は2mは刺さりませんが、一向聴時に1mが余剰牌とならない今回の様な2mとYYのシャボ待ちになっていることの方が可能性として高い、と考えることはできたかなと思います。
麻雀というゲームの性質上、点棒が少なくなると前がかりになる選択を採らざるを得ない局面はどうしても増えますが、箱下無しのルールの場合は刺さりまくるとどこまでも負債は増えます。
今回の局面では、それを軽視して「自分が和了って少しでも負債を減らそう」という思考に凝り固まっていたので、もう少し時間を使って冷静に読みを入れた上で打牌すべきでした。
この半荘は相当ラス濃厚でしたでしょうが、少しでも損失を減らすことはできたかなと思いますので、その点でヌルい牌を打ってしまってチームメンバーに申し訳無いと思っています。この放銃による▲5.8がボーダー落ちに繋がることも有る訳ですから。」


L「なるほど、ありがとうございます。冷静に振り返ると自身が手牌構成が読めていたために当たりうる牌は止めた方がよい、ということだったのですね。さて11節、折り返しを終えましてEmperor Peng Inc.は▲355.2の12位と苦しい位置につけております。Emperor Peng Inc.のファン、並びにΣリーグ視聴者に向けて一言お願いいたします。」

奈落の王「えんぺん社は新リーダーである椎凰いと社長が率いるチームということも有って新鮮さとブラックさが売りです。チームメンバーの構成的にもダークホース感が強いかなと思います。
11節終了時点で、最下位、ポイント:▲355.2、平均順位:2.86、トップ:2回、とまぁいい様にやられていますが、短期のリーグ戦は何が起こるか分からないというのは前期FCの時に経験済みなので、弊社の後半からの巻き返しにどうぞご期待下さい。私も麻雀係として引き続き尽力します。
今後もえんぺん社の応援を何卒宜しくお願い申し上げます。」

L「ありがとうございました。Emperor Peng Inc.所属、奈落の王選手でした。」


Twitter@lordofthepit01


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