VALORANTとR6Sの競技シーンを通して

こんにちは、ΣISAKAです。
今回は僕が2021年末頃から観戦しているe-sportsシーンについて僕目線で感じたことを書いていきたいと思います。
気づいたら半年以上寝かせてました。一部情報が古いところもあるかもしれません。更新できる部分は適宜更新したいと思います。何卒。

1.初めてのVALORANT観戦について

僕がe-sportsという存在を初めて体感したのが、2021年秋に開催された「VALORANT Chanpions Tour Challengers Japan stage3 Grand Final」 ZETA DIVISION vs Crazy Racoon戦でした。当時僕がプレイしていたゲームはAPEXで、FPSにプロシーンが存在していることは知っていましたが、実際に大会を観戦するということはありませんでした。特にバトルロイヤル形式のゲームであるAPEXは、最終盤で複数のチームが交戦して終わりというごちゃごちゃした展開になるため、個人的には観戦するのがつらかったです。

そんな中で5-5 FPSであるVALORANTを見ろと弟からLINEが来て初めて見ることにしました。しかもいきなり大会の決勝。当時弟から「VALORANTをやれ」と言われ続け適当にあしらっていた時期でした。(当時はAPEXが楽しくて別作品をやろうと思なかった)
見初めて最初に感じたことは「分かりやすい」でした。5−5 FPSであるVALORANTは当然ですがチーム対チームの戦いです。バトルロイヤル形式と違って混戦が起きません。一般的な球技のように明確に対戦相手が決まっています。ゲームを知らない層にとっても、対戦の構図が野球などの馴染みのある競技に近いため、どちらかのチームを応援する、大会を俯瞰的に楽しむという楽しみ方がしやすいと思います。

2.VALORANTの競技シーンについて

VALORANT公式の大会(VCTなど)では、観戦画面へから取得できる情報が非常に多いです。今誰が生き残っているか、どんな武器を所持しているか、マップのどこに誰が立っているかなどなど、ゲームの状況を取得しやすい画面構成になっています。それも年々進化して更に画面から情報を取得しやすくなっています。僕のようなライトユーザーでも、ここからどうなるかという展開を見やすくなっています。

そして、各チームが選手に対してのプロモーションがうまい印象があります。それ故かチームや選手に対してのファンの方が多いと感じています。ゲームそのもののファンと、選手とチームへのファンが合わさったことで現在の大きなコミュニティが形成されているんだなと思っています。
2022年のさいたまスーパーアリーナで行われたVCT 2022 stage2 challengers JapanのGrandファイナルを会場で観戦しましたが、さいたまスーパーアリーナがほとんど埋まるくらいのお客さんでした。自席から見渡す限り人人人。そして女性のファンの方が非常に多かったです。明らかにゲームプレイヤーの男女比と異なる客層だったと思います。ゲームをプレイしていないけど応援している人が生まれるコミュニティは中々ないのではないかと思っています。

2022/6 開催のVCT Challengers Japan Final会場
2023/6開催のVCT Masters Tokyoの待機画面に映った筆者(ワイプ画面右)

こういったファンが増える一因として、実況解説の分かりやすさと熱量もあると思います。VALORANTの実況解説陣はゲーム知識もさることながら、ふとした瞬間のユーモアあるワード選びや、盛り上がるシーンを熱く実況する姿に惹かれた方も多いのではないでしょうか。2023年からは更に3名のキャスターが合流し、国内大会国際大会共に更に盛り上がるのではないでしょうか。

3.R6Sの競技シーンを見初めてからの話

VALORANTの競技シーンを追い始めた2022年、同じ5-5 FPSであるR6S(Raimbow Six Siege)の競技シーンを彼女が見ていた関係で見始めました。彼女は元々ゲーム自体をプレイする人ではないのに見始めていました。びっくり。R6Sといえば、2019年に日本チームがシージ最大の大会であるMajorでベスト4に入るという快挙を成し遂げており、その頃の熱量から落ち着いているものの今なお熱い競技タイトルです。
日本ではX-MOMENT主催の日本リーグ(RJL)が開催されており、日本チームによるしのぎ合いが繰り広げられています。国内大会ということもあり、開催時間も観戦しやすい時間帯。リアルタイムでの観戦向きな競技だと思います。

2022/11開催の Japan Invitationalの会場

R6Sは、ゲーム自体の運営が長く、2023年で8年目だそうです。元々建物を舞台とした屋内戦のため、立体的な概念があります。なおかつ壁を破壊、補強する、トラップを配置するなど、元々の地形から更に要素を足した状態となるため状況を把握しにくい。他にもゲームシステムとして奥深い要素が多い、更にオペレーター(キャラクターのこと)の人数も多いことから、ゲームをプレイしたことがある人でないと全ての情報を網羅することは難しいです。その複雑さゆえに面白いゲームなのですが、どうしても観戦するだけだと全ての状況を追うことは難しいです。僕も結構な試合数を見たことでようやく輪郭が見え始めた感覚です。
大会の年数も長いことから実況解説陣の知識も豊富で、何が起きているかよく分からないけどすごいという熱量を感じることができます。VALORANTと違い、頭1個分だけのピークができるポジションが多いため、「そんなところから見てるの!?」って場面をたくさん見ることができます。基本的にピークした方が有利という点は他のタイトルと同じですが、R6Sは立てるポジションがほとんど無限にあるため、ここも面白いポイントなのかなと素人目に感じています。

2022年にRJLシリーズとしては3回のオフライン大会を開催し、そのうち2回観戦に行きました。規模感で言うと個人的にはちょうどいい感じという感想でした。大きすぎず小さすぎず、選手との交流ができるチームブースもあり、グッズもゆっくり見ることができる状態でした。あとはVALORANTと同様に女性のファンが結構多かった印象がありました。バチバチにオシャレしたお姉さんが会場に結構いてビビりました。
もちろん大会運営が寂しいということもなく、オンラインでの熱量をそのまま会場に持ち込んだような形に感じました。一緒に盛り上がる人が近くにいるというのは楽しいですね。
これはちょっとしたライフハックですが、VALORANT部門を擁しているチームもRJLに参加しているため、こっそり買えます。僕はこれでIGZISTのパーカーを購入しました。

左からTeddyyマネージャー、筆者、poemコーチ

4.両競技を通して感じたこと

ここからはVALORANTの競技シーン、R6Sの競技シーンを通じて感じたことを書いていきたいと思います。ここではどちらが優れているとか劣っているとかの話はしません。

・よく分からないけどすごい、よく分からないけど楽しいは正義

両タイトル通して、非プレイヤー層のファンが一定数存在しています。こういった方々が楽しむ1番の瞬間は、各プレイヤーのスーパープレイを出した瞬間だと思います。R6Sにおける僕が1番盛り上がったシーンを下に置いておきます。スーパープレーが出たラウンドが始まるタイミングから再生できるようにしたので、よかったら1ラウンド通して見てみてください。
5-5 FPSの楽しむポイントとして、各チームの攻撃/防御のラウンド通しての戦略と連携もありますが、こういった不利状況を覆すスーパープレーがあると見入っちゃいます。

・ゲームシステムを理解しているとさらに楽しみが増す

当然のことですが、ゲームのシステム(スポーツで言うところのルールに該当するでしょうか)を理解していればしているほど更に面白みが増します。
例えばVALORANTなら、エージェント構成とラウンドごとのエージェント配置から開幕からの動きが想像できます。そこから様々な選択肢を取ることで相手を翻弄して自分たちの有利状況を作り出していく様子は単純明快ながらも奥深いものを感じます。また、マネーシステム(VALORANTでは毎ラウンドごとに武器やスキルを購入できる)の存在により、必ずしも相手と対等な条件で対峙できないラウンドが存在することも面白いポイントの1つと言えるでしょう。

一方でR6Sにおける面白いポイントとしては、攻撃側オペレーターと防衛側オペレーターがそれぞれ存在していること、ラウンドごとにオペレーター構成を変更できるところ、ラウンドごとに攻略する拠点が異なるところに面白みがあります。特に、攻撃側と防衛側で使用できるオペレーターが違うところは、作品の世界観を保ちつつ、それぞれに特化した性能のオペレーターを実装することで攻守の選択肢を増やしているように見えます。
また、ラウンドごとに使用するオペレーターを変更できることから、ラウンドごとの両チームの取りたい戦略が見えることもあります。更に、現在の仕様では攻撃側は準備フェーズ(攻撃側は攻略する地点の探索、防衛側は拠点の補強のみを行える時間)にオペレーター変更を行うことができるようになっています。5-5FPSでここまでの要素を盛り込んでいる作品は他にないと思います。

・分からないポイントがあるとどうしても置いていかれてしまう

こればかりはどうしようもないことだと思いますが、トッププロ同士の試合となると何が起こっているのか分からない瞬間が生まれます。

VALORANTでは、あまりにも早いキルトレード※1 が発生すると一瞬で状況が大きく変化してしまいます。プレイヤー目線ではキルトレードが早ければ早いほど良いのですが、観戦視点では完全にそれを追い切ることはできません。また、似たようなシチュエーションとして、セットプレー※2 の際には、一度に大量のスキル使用などを行うことによって状況を読みきれなくなることがあります。ある程度のプレイスキルを持っている方なら理解できる部分もあるかもしれませんが、僕のような一般層や未プレイの観戦のみの方では何が起きているのか分からないことも多いと思います。僕もセットプレーについては見返さないと何をしているのか分からないことが多く、要研究ポイントだなと感じることが多いです。
※1:お互いのチームによるカバーキルの応酬のこと
※2:チーム内でタイミングを合わせてスキルを決められた箇所に使用することで、エリアを素早く制圧すること

一方R6Sでは、立体的な戦闘が発生することが多く、また壁に穴を開けたり、わずかな隙間から射線※3 を通すことによる一方的なキルが発生することが多いです。また、R6Sのプレイ画面と観戦画面にはミニマップ※4 がなく、どこに誰が配置しているか分からなくなる場面も多くあります。そのため、観戦者のみではなく、実況解説陣もキルが発生してから状況を確認して初めてどのようなキルになったか判明することも少なくありません。
前述しましたが、R6Sのゲーム性は奥深く、その複雑さから面白さが発生していますが、複雑であるが故にゲーム理解までに時間がかかります。特に非プレイヤーでは理解までに相当理解に時間がかかると思います。僕も観戦を初めて1年近く経ちますが、いまだに全てのオペレーターの名前やマップ名称などを理解できていないくらいです。

※3:射撃が通るラインのこと。R6Sでは特に通せるラインが多く、多彩なキルが発生する
※4:マップ内でプレイヤーとチームが取得した情報を表示するマップのこと。観戦画面では全情報が表示されることが多い。人によってはレーダーとも呼ぶ

最近では、eスポーツを観戦する文化が徐々に根付き始めており、プロチームのFENNELもチアパというみんなでチームを応援するイベントを主催しながらeスポーツ観戦の文化を広めようと活動を行っています。他チームも徐々にオフラインでの観戦イベントを主催するなど、徐々にその文化が広がりつつあるのかなと感じています。

もちろんオフラインでの大会開催も昨今の情勢から徐々に落ちつち始めていることからまたその回数も増えてくるのではないかなと思います。自分の部屋で観戦するのも楽しいですが、現地での熱量を実際に感じるとまた違った楽しみが見えてくると思います。

5.両タイトルの今後の競技シーンについて

最後に、今後のVALORANTとR6Sの競技シーンの展望について、僕なりの予想を添えて最後にしたいと思います。あくまで1視聴者による戯言ですので、ご了承をば・・・

まずはVALORANT、2023年から公式大会のフォーマットが大きく変わり、フランチャイズチームによるEMEA、Americas、Pacificの3つのリーグ戦を基盤として世界一を争う形となりました。フランチャイズ形式を取ることによる利点としては、まず資金支援によるチーム運営が安定すること、リーグ戦化することにより、より多くの観戦体験を提供できることが挙げられると思います。
一方で、フランチャイズチームに選出されなかったチームは、各地域ごとに開催されるChallengersと呼ばれる大会を勝ち抜いた後にEMEA、Americas、Pacificの3地域で行われるアセンションと呼ばれる大会に優勝しなければ、リーグ戦に参入することができません。毎年各リーグ1チームしか入ることのできない狭き門、その上で2年間参入したら強制的に降格するという厳しい条件付きです。

ここで僕が感じた問題点がいくつかあります。
まずは、フランチャイズチーム以外のチーム運営の厳しさです。前述の通り、1年間でリーグ参入できるのは世界で3チームだけです。無論世界中に数多のチームがあり、日本国内においても非常に多くのチームと選手がいます。ただ、その中のほとんどのチームは3月中に年間のシーズンを終えてしまいます。その短期間でチームとの契約が終了してしまう選手、部門解散という判断を取るチームが非常に多かったです。この点については多くの方が問題提起している部分で、2024年からChallengers(下位チームの公式大会)のフォーマット変更が予告されています。これによって少しでも安定したチームと大会のいじができるといいですね。

また、よく提案されている2部リーグの創設ですが、EU圏で行われている2部リーグの資金難というニュースを耳にしました。更に日本では法律の関係で大きな賞金を設けたeスポーツの大会が開催できないのが現状です。大会に優勝することで資金調達を行うことが難しい状態、そしてその賞金のもととなるお金を誰が出すのか。この問題の解決には乗り越える壁が多すぎるように思えます。ただ、今後のシーン発展のためには、こういった選手が活動できる機会をなるべく増やす努力を業界通して行えるといいなと思っています。国内のトップ層が持つ影響力は十分ですし、より多くの選手にたくさんのファンがつくような機会が実現してほしいです。

次にR6S、こちらも2023年から公式大会のフォーマットが変更されました。
VALORANTのように大きな変更ではありませんが、簡単に記載します。誤りがあったら申し訳ないです、、、
シーズン最大のInvitational、通称インビに到達するまでの大会であるMajorの開催回数が3回から2回に変更、そしてMajor出場枠に大きく修正が入りました。2023年からは日本チームが国内大会での結果で直接Majorに出場できるようになり、また日本から出場できるチーム数も3チームと、他の地域と比較しても多くの日本チームが世界に挑戦できるようになりました。この3チームの枠のうち、1チームはオープン予選を含めたフォーマットとなっているため、無名のチームが世界に挑戦できる可能性も0ではない状態です。
しかし、国内リーグ付随する下位リーグが消滅したため、リーグ内でのチームの入れ替えが発生しないという形になっています。実質的にリーグ参入チーム以外の安定した運営が不可能な状態となってしまっています。

これは僕の予想でしかないのですが、今回のフォーマット変更で日本チームにMajorの枠が3枠になった背景としては、部門を保有しているチーム数の多さがあるように思えます。2022年まで国内リーグであるRJLは、その下位大会としてRJOというオープンな大会を行なっていました。成績上位のチームはRJLの下位チームと入れ替え戦を行い、好成績を残せばRJLに昇格できるシステムがありました。このRJOへは、プロアマ含めて多くのチームが参戦していたことから、他の地域と比較してチーム数が多くなっていたのではないかなと思います。実際他地域では、有名チームのR6S部門解散のニュースをいくつも見てきましたし、現状世界で見ると競技人口含めて少し減少傾向にあるように思えます。

また、日本国内のチームでも、上位チームのみでの選手の入れ替えが発生したりと、大会メンバーの固定化が進んでいるように見えます。新しい選手を取り込めない地域は最終的に衰退してしまうので、今後の課題は新しい新人選手の発掘と育成になると思います。新進気鋭チームによるジャイアントキリングは、見ている側も楽しいですし、どんどん起こってほしい。

5.さいごに

最後に、この2タイトルを観戦してきた自分としては、今後も両タイトル、そしてそれ以外のタイトルでもeスポーツがどんどん発展していって欲しいと思っています。今回はVALORANTとR6Sを例に出しましたが、他にも魅力的なタイトルは多くあります。PCゲームからモバイルゲームまで、自分のプレイしているタイトルから応援してみるのも良いのでは無いでしょうか。

また、これは個人的な意見ですが、他タイトルのプレイヤーやファンを乏しめるような行動、発言は好きではありません。
誰かがゲーム内で悪いことをして、そこから他タイトルを侮辱するのは無意味です。見てて悲しくなるし何もいいことがありません。各タイトルが発展を目指して頑張っています。ファンも少しづつ(主にインターネットの)行動が改められるといいなと思います。

これからもeスポーツと、eスポーツに関わる全ての方を陰ながら応援していきたいと思います。もちろん観戦も楽しむぞ。

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