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Divided Pickupの制作(8)

ピックアップユニットが完成したので、チャンネル分岐ボックスの制作に入る。前回の制作では上手くいくか半信半疑のところもあったので、手持ちの古いHDケースを加工してプリアンプなどを収めたが、今回はそれっぽい少ししっかりした筐体を使うことにした。TASCAMのUSBインターフェイスの幅が約45cm、奥行きが21cmくらいなので、同様のサイズで重ねることを考えて探したが市販のケースではちょうどいいものは見つからなかった。しょうがないので奥行き重視で探すと、まあまあいい感じのものが見つかった。問題は加工のしやすさで、前面に入出力ジャックの穴、後面に電源のジャックの穴を開けるのだが、前後の面が本体と一体化していると高さ方向の距離が取れない自宅の小さいボール盤では加工がしにくい。

重厚なケース

届いたものを開けてみると、幸運なことに前面、後面のパネルは分離して加工できるようになっている。これは作業が楽だ。早速イラストレータでジャックの穴の位置を検討し、プリントしてパネルにテープ留めする。

プリントアウトをテープで留める

マークの中心にセンターポンチを打って、穴の位置を決める。次にボール盤で3mm程の穴を開けていく。ジャックの穴は10mm程度が必要だが、そこまではテーパーリーマを使ってグリグリと広げていく。今回のジャックの数は12個なので結構大変である。前面には10個の分岐したジャックの穴と、通常ピックアップ用の2つのジャック、楽器と繋ぐケーブル用の穴、さらに電源スイッチとLED用の穴が必要である。さらにこれは必要というわけではないが、左右両端に小さな取手を付けた。ケーブル用の穴は直径16mm。手持ちのテーパーリーマは14mmまでしか広げられなかったので、急遽取り寄せた。後面は電源用のジャック穴を一つだけ開ける。

テーパーリーマで孔を広げる
皿ネジの頭を埋める漁り

電源の分岐やプリアンプの基板、ジャックを固定するネジ孔はケースの底面に開ける。孔は皿ネジの頭を埋めるために軽く下から漁った。必要なスペーサを立てて、
配線の準備をしておく。

スペーサ
デカールを貼る

パネルにはチャンネルの番号と区分けのラインなどをプラモデル用のデカールで貼り付けた。文字入れができたので、電源とスイッチ、LEDのテストをする。問題なし。プリアンプ基板などを配線して仮組み完了。

パイロットランプも光るようにした

ここで問題発生。デカールは水で貼れて便利だが、そのままだと非常に弱く何かで触れるとすぐに剥がれてしまう。ジャックを付けたり組み立てている間にラインと数字をうっかり剥がしてしまった。ラインは諦めて文字だけ入れ直し、上からクリアのラッカーで固定した。これで触っても剥がれることはなくなる。再度組み立て直した。

組み立て完了
ケーブルを繋いでいざテスト

さて、テストである。前回作ったケーブル5本をつなぎ、今回の大きな変更であるDINケーブルで音を取り込んでみる。回路は前回と同じなので問題はないはずだ。やはり少し信号レベルが低い。これはコイルの巻き数の所為なので想定内だ。これを解決するには2つの方法が考えられる。一つは取り込み側のゲインを上げる。もう一つは弦とコイルの距離を近づける。とりあえずゲインを上げると取れることは取れるのだが、他の弦の振動まで取ってしまう。つまり鳴らしていない弦のコイルに信号が出てしまう。また、微妙に弦とコイルの位置がずれていることもあって隣に影響しているとも考えられるので、これは修正する。ゲインを上げないならばピックアップを少し上げ、弦高を少し低くするしかない。あまり距離を縮めすぎると弦とピックアップが接触するので調整が必要であるが、今回のピックアップは高さ調整が容易な設計なので問題はない。位置のずれは少しネジ孔を削り直し、許容範囲に収まった。
1弦からチェックしていくと5弦に信号が来ていない。信号レベルが弱いわけでもなく、全く信号が来ない。断線か?と頭を過ぎる。あれ?6弦を弾くと信号が来る。6弦は隣の弦で離れているからこれを拾うわけはない。だとすると、配線ミス!どこでやっちゃったかなあ。ピックアップユニット内部かな?分岐ボックス内か?とりあえずピックアップユニットを開く。ん〜間違ってない。まさかケーブル内で接続ミス?テスターで調べると問題なし。となると分岐ボックスだ。DINコネクタのところは慎重にやっているので、多分間違いはない。そこで気がついたのが、プリアンプの配線。このプリアンプのユニット、本来はステレオの右と左のチャンネルをひと組で増幅する回路。それを5つ使って10チャンネルを増幅している。つまり1ー2、3ー4、5ー6、7ー8、9ー10が組になっている。この5ー6が逆になっているのでは?試しに6のジャックにケーブルを繋ぐと5弦の信号が出てる。蓋を開けて見てみると、案の定逆になっていた。

本来、緑(5弦)が左のはずが逆になっている

コネクタの端子を逆にセットし、無事修正完了。うっかりミスとはこういうものである。残りの6弦から10弦のチェックだが、それにはまずケーブルを作る必要がある。前回同様、うちに転がっていたBNCのケーブルを使うが、今回は5本のうち2本を標準モノラルー標準モノラルのケーブルにする。TASCAMのUS 16x08は8チャンネルがXLRコネクタ、9ー10が標準コネクタなので2本は標準プラグにする必要がある。

追加で作成したケーブル(XLRが4本あるが追加したのは3本)
10本の入力を全部繋いだところ

早速作成し、全入力プラグをセット。うう、壮観なのだがキーボードが弾けないなこりゃ。いい配置を考えなくては。(つづく)


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