Divided Pickupの制作(5)
思うところあって、再びDivided Pickupを作ることにした。前回製作したものが壊れたり問題があったわけではない。このピックアップを使って何をしようとしているのか。それは弦楽器をモーショングラフィックなどのコントローラとして使えないか。弦(音)からパラメータを作り出せないかということを実験しようとしているわけである。前回のものでStickのメロディ側5本の弦の音は無事取り込め、この方法でパラメータ化は可能であることが証明できた。問題はこの5弦を弾くのは右手の親指を除く4本の指、しかも小指はあまり使わないということである。つまり3本しか音を出せない。(無理に小指まで使えば可能ではある)
ベース側(左手側)の弦5本は音のデータを拾えないので、使用頻度が高いのにも関わらず、使えないのである。ではベース弦側にもDivided Pickupをつければ良いではないかというのは当然であるが、前回の設計ではベース側につけるスペースがない。
ベース弦側に付けるためには、大幅な設計の見直しが必要になる。大きな設計変更は二つ。まずピックアップ自体の設計をし直す必要がある。もう一つの問題はケーブルである。前回は丁度PS/2ケーブルが6芯で(5本の信号とGND)うまく使えたが、今回は10本(+GND)である。PS/2ケーブルの2本差しも考えたが、いまいちスマートな方法ではない。11本以上の接点のあるコネクタで良いものはないか。Rolandのギターシンセサイザ用のピックアップに使っているものは写真で見る限りminiDinの12接点コネクタのようだ。このコネクタさえ入手できればと国内のパーツ屋のサイトを漁るが、8ピン以上のminiDinコネクタがない。もっと広く探すとあることはあるが、価格が高い。こんな時に頼りになるのが(あまり頼りたくないような気もする)隣国の大手ネットショップ。梱包も雑だし、いつもなんとなく不安である。しかし、それはあった。ついでにプラグ付きの丁度いい長さのケーブルも。しかも安い。現時点ではまだ到着してないが、これで道は一気に開けた。
ピックアップ自体の設計は通常の音を拾うためのコイルと各弦ごとに拾うコイルを一つのパッケージにまとめるようにした。これでスペースが大幅に稼げる。少し小さくなった分、コイルの巻き数を減らす必要があると思うが、大きな問題ではないと思う。大きい方は7,500から8,000巻くらいを目処に、小さい方は3,500巻を目標にする。早速Blenderで直接設計する。この方法は市販の丁度いいパーツがない場合には非常に重宝するし、すぐに3Dプリント用のデータが作れるので開発が早い。もっといい仕上げが必要なら外部のサービスに注文するだけだ。
早速FDMのプリンタでピックアップ用のパーツを出力する。十分な出来だ。あと制作に必要なのはコイルを巻く銅線と磁石、結線のための基板であるがそれぞれネットで注文し、到着を待つ。
本体ケースの設計もほぼ終わった。今回のコネクタのサイズが明らかではないので、到着後実測してコネクタ部の設計をする予定。
なかなかソフトウェア編に入れないが、楽器自体の練習もしながら構想を練っている途中である。(つづく)
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