実は被災してました

知人にはFacebookで随分前に伝えていたのですが、アフターケア的なものも全て終わったので、こちらでも……

台風19号で、3.11以外臨時休業したことがないという勤め先が入居しているSCも14時閉店しました

前日までは10月12日も営業する気満々だったのに、あちこちのSCやデパートが休業を決めるものだから、世間的な非難を恐れたらしく(たぶん従業員のことは考えていない)遅番で12時に出勤したら、近隣のSCは軒並み14時閉店ってアナウンスしてたのに、ここは11時にどうするか会議すると言ったきり何の連絡もないと、早番だった店長の弁

12:30突然館内放送で、14時閉店のアナウンス
ウチらテナントに先に通達することもなく、いきなりアナウンス
で、午後から勤務の人たちに「来なくていいよ」と連絡したり、普段レジ締めなどしない朝番のスタッフとレジ締めの準備をしたり、ギリギリ届いてた朝便(昼以降は運送会社も休みの連絡が来てた)の客注の連絡をしたり
レジ締めして館《やかた》に売上入金して、店長と一緒に退店したのは15時少し前
その頃はまだ風雨も大したことなく「しめしめ、これでゆっくり『十二国記』の新刊が読めるな」としか思っていなくて

その後、ベッドでゴロゴロしながら、本(もちろん『十二国記』)を読んだりネットで(テレビがないから)台風情報見たり、TwitterのTLの警備をしたりしながら、コロッケ食べて
だんだん風雨が強くなり、20:30頃にアパートの前の道路を見たら完全に冠水してる!
以前大雨の時に側溝から水が逆流しているのを見たことがあったから、これは想定内
このへん、昔は農地だったのか、あちこちに暗渠とか川とも呼べない、でも側溝でもない用水路の名残みたいなのもあるし、暗くなる前にそれ見に行きたかったけれど、足元濡れるのが嫌だから諦めていたのが名残惜しかったり

で、21:30頃、何か飲もうかとベッドから足をおろしたら、チャプン、と

慌てて周りを見回すと一面1cmくらい床が水浸し
とりあえず床積みの本より先にタコ足のコンセントをテーブルの上に上げて、「トイレや洗濯機の排水口が逆流した音は聞いてないよな?」と思いながら見に行くと、やっぱりそっちは無事

それから床積みの本を救出
大破中破(要買い替え)十数冊、小破(経年劣化と同レベル)二十冊弱
そしてどこから水が入ってきたのか探っていると、どうやらベランダ!
ベランダが、『天気の子』で半地下の事務所の窓の外に水がなみなみと……ってシーンがあったじゃないですか、アレの手前くらいになってた!!

TL警備していたおかげでTwitterから、赤ちゃんの紙オムツの吸水力で浸水防げる、みたいな情報は得ていたけれど、もう近くのドラッグストアも閉店時間だし、道路も冠水しているし、そもそも既に浸水しまくってるわけだし、ととりあえず予備のシーツとかタオルケットをベランダ際に土嚢みたいにして、いつも郵便受けに入っててたまってた無料の地域情報紙とか市の広報冊子とかで半分開けた玄関の方に水をかき出してみたけど、諸行無常……

もう諦めて寝ちゃおうかな? と思い始めた時に玄関の向こう、たぶんふたつみっつ隣の部屋の前で話し声がする
ドアを開けてみたら、部屋の外に雨合羽着た男女
目が合うと、「そっちもベランダですか!?」と
てっきりどうにか不動産屋さん(もう営業は終了してるはずの時間)と連絡つけたのかと思って中を見せると、「この部屋が一番ひどい」と女性の方がありったけのタオルとか持ってきてくれて、男性の方は「ちょっとベランダに出させてもらいますね」と窓の外へ
あ、ここのベランダ、マンションみたいに2階は2階でぐるっとコンクリートで囲ってて、隣との間は「緊急時には破ってください」で仕切られてて一蓮托生になってて、1階は店舗が入っていてベランダの外側にその看板のための囲いがもう一重あって、その囲いと囲いの間に排水口があるらしい

で、しばらく何やらやっていたらベランダの水が引けて、おふたりに床の水を掻き出したり拭いたりを手伝ってもらって、挨拶したらなんと! 一番上の階に住んでる大家さんでしたよ!
大家さんは1階でお店を営んでいて、仕事中はキリッとした感じのイケメンさんなのですが、今目の前にいるのは、メガネかけて笑顔がいい感じの三枚目風
ああ、大家さんいつもはコンタクトレンズ使っていたんだ、と思ったり
奥さん、初めてお会いしたな、と思ったり
オンとオフのこのギャップ、女の子ならイチコロだろうな、と思ったり

そしてその後……

さすが、上皇様(没後は平成天皇と呼ばれるはず)と今上天皇陛下(たぶん令和天皇と呼ばれることになるはず)の退位と即位の間隙を縫って襲ってきた台風は「蝕」(十二国記に出てくる災害)と呼ぶのに相応しいわ〜、という破壊力でした

翌朝、大家さんと不動産屋さんが来て状況を説明
曰く、道路と側溝が冠水して溢れてて雨水が流れていく先がなくなってベランダに溜まってしまった、と
フローリングを乾かすために、しばらくはできるだけ換気してください、と不動産屋さん

家具類はほぼ被害なし
ニトリで買ったカラーボックスに少しシミの後が残るとかくらい
座布団代わりのクッションや、スリッパ、バスマットはまあ既に汚れていたからこの際買い替え
本も含めて被害は1万円弱

床に柱状に積んでいた本は、一度は不動産屋さんから保険の対象に含まれる、と聞いたものの、保険の免責条項とやらで3万円以上の被害の3万円越えた分に出るので、今回は申し訳ないが対象外と言われ……

で、一番ヤバいのが臭い!
床下と、1階の天井裏にまだ水が残っているらしくキッチン下の収納扉を開けるとなんか臭いが……
いや、以前から少し臭《にお》いがしてたけど、もうハンパなく臭《くさ》い
で、キッチンユニットの床部分に開いてる丸い穴とそこを通っている水道管との隙間を養生テープで塞いで、あと芳香剤買ってきた
これでなんか大丈夫そう
さて、折を見て大破した本を買い直さねばなりませぬ
特に急ぐのは、2/3くらいまで読み勧めていた『戦場のコックたち』ですかね
(既に購入、読破済み)
が、やっぱり臭うのは、仕事や買い物から帰ってくると明らかで……

そうこうしているうちに、不動産屋さんから電話が来て、やっぱり床を張り替えます、と

ちょうど同じフロア(2階)に空き部屋ができたので、順番にそこに一時的に動いてもらって順次床の張り替えを、と
もちろん、工賃とか一時移動中の電気、ガス、水道代は大家さんと不動産屋さんで持ってくれる
その順番がまわってきたのが、つい先日
そして昨日元の部屋へと戻ってきて……
ついでに料金はこっちで持つから、と水回りのクリーニングも不動産屋さんと提携している業者に頼んでもらって、結果的には年末の大掃除を格安でやってもらったみたいな?

でもね、他の部屋に移っている間、部屋の造りは基本的に一緒なのだけれど、ユニットバスの型番が違うとか、キッチンの排水口の蓋が違うとか、エアコンの位置が部屋の左右違うとか、窓の外の景色が微妙に違うとか、なんかパラレルワールドに来たみたいで、ちょっぴり楽しかったです

が、やっぱり少し臭いますよ……

千葉や福島あたりとか、武蔵小杉で大変な目に遭った人たちに比べればささいなものですが、台風19号の被害にあったお話なのでした


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