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池上彰が緊急取材! ~どうなる!?リニア新幹線~

リニア中央新幹線がテーマの池上解説番組を見た。
日曜午後の時間帯という放送だったが、いいテーマだった。

「ジェイアール式マグレブ」方式のリニア新幹線。
およそ半世紀に及ぶ開発がようやく結実目前まで来ている。
意外にも乗車が初めてという、池上さんが駅のモデルとなる施設を訪れ、最新型のL0系にも乗車。
駅は車両に取り付けられた強力な永久磁石の磁場の影響を乗客に与えないように、まるで飛行機の搭乗口のような乗車口。
乗車すると明るい車内。モノクラスの横4列のシート。
シートのデザインも、初代0系新幹線電車を彷彿とさせる。
現在の東海道新幹線の乗客がこちらにシフトすることを見込んで、車内も明るく、USB端子が各席に取り付けられている。今後主流はUSB-Cになろうというのに大丈夫だろうか?という不安も感じた。

最初はタイヤで走行し、スピードが乗ってくるといよいよ浮上。
地表から10cm。浮上走行に変わる瞬間は体で感じられるそう。
そして疾走感もあり、その後新幹線に乗った時に、「あれ?こんなにゆっくりだったっけな?」と思ったと池上さん。

しかし、今争点となっているのは、静岡県の大井川水系の問題。
山梨県内のリニア線路付近の川が工事で干上がってしまった事実は初めて知った。
後から補償はされているそうだが、30年という期限付きらしい。やはり工事にはリスクを伴う。
番組で紹介された桃農家の方の表情やコメントが暗く、「もっと勉強しておけばよかった」という言葉も印象的だった。

その流れで大井川水系の問題。
新幹線の歴史において、静岡県はほとんどそのメリットを享受することができなかった。
東海道新幹線が「ひかり」と「こだま」だけだった時代、ひかりにも停車パターンがいくつかあり、数本は静岡県内の駅に停車していた。それは現在も同じ。
しかし、「のぞみ」の登場により状況が少し変わってしまう。のぞみは静岡県内に停車しない。
そしてダイヤがのぞみ中心に組まれると、どんどんデメリットをこうむる形になるのは静岡県。
県がJR側に対して「のぞみ通行料」を徴取しようか、との案もあったらしい。

その上で、今回のリニア新幹線工事。
かつて大井川水系にダムを建設し、下流の水量に大きく影響した過去があったことも初めて知った。
しかも解決に30年かかったそう。
確かに山梨県がリニア工事で受けた影響を考えると、だまって「はいそうですか」と工事を進めるわけにはいかない、という地元住民の気持ちもわかる。

ただ、JR側も具体的な対策を講じると発表しており、現在調査が進められているという話も初めて知った。
トンネル工事の拠点に、工事で出水した水をポンプで汲み上げ、川に返す取り組みをするらしい。
しかし、トンネル工事の上流では何の対策も取られない。
このあたりの具体策がまとまり、しっかり県側に説明した上で相互理解を得られたうえで工事が進められることを望む。
インタビューでの街の声もどこかよそよそしい感じだった。せっかく長い間開発を進めてきて、いざ開通すると大きな経済効果を得られるインフラなのだから、関わる人すべてがハッピーにならないと。

それに、実際リニア中央新幹線が開通すると、東海道新幹線沿線にはメリットがあるのも事実。
恐らくのぞみは廃止され、ひかりとこだまの運用になる。静岡県内の駅にもひかりがたくさん止まるようになる。
現在のひかりは、静岡県内の駅をすべて通過するパターン(小田原と、名古屋以西は各駅停車)と、静岡県の駅に止まるパターン(静岡、浜松などに停車し、小田原と名古屋以西は通過)があるが、ひかりが増発すれば沿線住民のメリットは大きいと思うし、現在のぞみの通過待ちでかなりの時間を要するひかりやこだまもスピードアップするはず。

番組では触れられなかったが、リニア中央新幹線開通に関わるもうひとつ大きな理由が、「東海道新幹線リニューアル工事」。
開通から50年以上経つ東海道新幹線。そのバイパス路線ができればダイヤに余裕ができ、古くなった施設を新しく作り変えることができる。
リニアができても、東海道新幹線はまだまだ重要路線。静岡県はもちろん、新大阪延伸になると京都に駅ができない予定であるため、乗り換えなしで京都へ行くためには東海道新幹線を使わなければならない。
当然、京都府も誘致運動をしているが、今後はどうなるかわからない。

ただ、最近思っていたことを番組でも触れていた。
このコロナ禍で生活様式が大きく変わり、長距離を移動しなくても、リモートで繋がることができればリニア新幹線は不要論が出てくるのではないか、と思っていたが、「実家にすぐに帰れていい」「名古屋でおいしいもの食べて、すぐに東京に帰れる」といった意見もあって、やはりリニア中央新幹線は開通すれば大きなメリットが得られることは変わらないことよくわかった。東京から40分で名古屋。おいしいものも食べれるし、名物サウナにも行ける。鈴鹿サーキットへ行くのもあまりに苦にならないのはうれしい。私も開通が今から楽しみだ。

しかし、本当に重要なのは相互理解と歩み寄り。
開通にはたくさんのハードルがあるが、沿線の方々みんながハッピーになれる結末を期待したい。

※鉄道チャンネルさんの記事より写真を参照させていただきました。
池上さんが乗車した、新しいL0系の乗車記録記事です。


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