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【ありがとう!スクスタ②】物議を醸したメインストーリーを振り返る~怒涛の生徒会長選挙編~

2023年6月30日をもってサービス終了を発表したアプリゲーム「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル オールスターズ(スクスタ)」。

私がこのゲームが本当に好きなことは前回の記事でお話しました。

サービス終了の日まで、スクスタへの思いの丈をぶつけるつもりですが、その中で避けて通れない事を先に語っていきたいと思います。

「リズムアクションRPG」を謳うスクスタですが、ゲームの柱のひとつとして3つのストーリーがあります。

虹ヶ咲の物語を追った「メインストーリー」。
イベントごとに発生する「イベントストーリー」。
キャラとのキズナレベルを上げていくと解放される「キズナストーリー」。

中でもスクスタの根幹を成す「メインストーリー」なのですが、その内容が原因で炎上してしまいました。

私もメインストーリーは毎回楽しんでいましたが、特に目くじら立てて怒るような内容はなかった印象です。
なんと言いますか、作者が意図することはなんとなくわかるけれども…そんなに悪い内容だったかなぁ?といったところでしょうか。

ということで、今回は物議を醸したメインストーリーの内容を詳しく振り返り、どこが悪くて、どこが良かったのかを語ってみようと思います。

まず最初は、1stシーズン途中から話に加わり、最終的にはニジガクメンバーの一員となる三船栞子について。

彼女は一部のファンから「虹ヶ咲にとって必要ない」とまで言われているのを目にしたことがありますし、彼女を演じる小泉萌香さんもインタビューでそのことに触れていました。

なぜそこまで言われてしまったのか?
彼女が登場したメインストーリーの内容を振り返り、検証してみたいと思います。

私は激しい論調や厳しい言葉などを使うのが嫌なので、冷静に、穏やかに話を進めていきます。

メインストーリーの冒頭部分を簡潔に振り返る。

栞子ちゃんは1stシーズンの途中から登場しますので、物語の最初からそこまでを簡単に振り返ってみましょう。

主人公であるプレイヤー自身「あなたちゃん」はある日、幼馴染の上原歩夢と共に、偶然見かけたμ's、Aqoursの合同ライブにすっかり「ときめいて」しまいました。

初めてみたスクールアイドルのステージにときめいた!

母校である虹ヶ咲学園にもスクールアイドル同好会があることを知ったあなたちゃん。
部室へ赴くと、そこにはひとりの生徒の姿しかありません。

彼女は1年生の中須かすみ。
かわいいを極めんとする、スクールアイドルが大好きな子です。

話を聞くと、同好会はその月いっぱいで無くなり、部室を明け渡さなければならない。
それは、生徒会長が一方的に言ってきたことのようです。
事情を聴こうと、二人で生徒会長室へ向かいます。

迎えたのは、生徒会長の中川菜々。
彼女と話すうちに、同好会の実情がだんだんわかってきました。

学校としてはスクールアイドルを奨励し、実績を残すメンバーもいたのですが、しだいにメンバー間に亀裂が生じ、部員が離れていってしまったとのこと。

生徒会長の言葉の意味とは?
涙ながらに訴えるかすみん

あなたちゃんは、部員たちを戻すことを条件に活動を続けさせてほしいと生徒会長に詰め寄ります。
出された条件は、10人の部員を集めれば再び活動を許可する、ということでした。

元々部員として活動していたのは、かすみんを入れて5人。

将来女優を目指し、演劇部とかけ持ちをする、1年生の桜坂しずく。
いつも眠そうだけど、お料理と妹の遥ちゃんへの愛に情熱を燃やす、3年生の近江彼方。
スイスからスクールアイドルに憧れて留学してきた、3年生のエマ・ヴェルデ。
そして、同好会の絶対的エースにして人気スクールアイドル、優木せつ菜。

そこへ、あなたちゃんの働きかけにより、新しいメンバーも加わりました。

まずは、あなたちゃんの幼馴染で努力家の2年生、上原歩夢。
コミュ力お化けで誰とでも仲良くなる「楽しいの天才」、2年生の宮下愛。
表情をうまく変える事ができず、いつも「璃奈ちゃんボード」を使ってコミュニケーションを取る、1年生の天王寺璃奈。
そして、読者モデルも務め、常に向上心を忘れない容姿端麗な3年生、朝香果林。

メンバー探しをする中で、なぜ同好会が解散寸前になったのかもわかってきました。

せつ菜ちゃんを中心にグループ活動を目指していた同好会ですが、個々の個性が強すぎてグループとしてまとまらず、一人、また一人と同好会を離れていってしまったのでした。

せっかくメンバーが集まったのに、同じことをしていたのでは結果も同じになってしまう…。
あなちゃんは、新たな同好会はグループ活動にこだわらず、ソロ活動を行うことを提案。

残る最後のひとりは、同好会を引っ張ってきたせつ菜ちゃん。
しかし、校内で彼女の姿を見た人は誰もいません。

部室で話し合っていると、生徒会長が姿を現しました。
実は彼女、あなたちゃんを試していたのです。

あなたちゃんを試していた、三つ編み眼鏡の生徒会長

堅苦しい三つ編みを解き、メガネを外すと…
なんと生徒会長 中川菜々の正体こそ、スクールアイドル 優木せつ菜だったのです。

生徒会長の正体は、優木せつ菜だった!

せつ菜ちゃんはあなたちゃんに部長になって欲しいとお願いします。
これで部員は10人。あなたちゃんはアイドルにはならず、彼女たちを支える部長として同好会の一員になりました。
目指すはスクールアイドルの祭典「スクールアイドルフェスティバル」。

同好会の新たな挑戦が始まった!

ソロとして輝けるように皆懸命に練習し、とあるライブでそれが結実。
晴れてスクールアイドルフェスティバルのメインステージでパフォーマンスする権利を得られたのでした。

μ's、Aqoursとの交流もあり、フェスに向けて意気込んでいた矢先、急にフェスが中止になったという知らせが。
オリンピックに向けての改修工事のため、会場が使えなくなったというのです。

落胆するあなたちゃんたち。
急遽、虹ヶ咲の講堂でライブを開催。μ's、Aqoursも参加してライブは大成功。

しかし、諦めきれないあなたちゃん。
実行委員会に連絡を取り、会長とコンタクトを取ることに成功します。

事情を聞くと、委員会を運営していたスタッフの多くが卒業を迎え、同じ規模のフェスを開催するのは難しい状況になったのだとか。

実行委員長の名は「薫子」さん。
あなたちゃんは薫子さんへ思いの丈を伝え、フェスの実行委員を引き継ぐと宣言。

こうして、あなたちゃんを中心に、新たなスクールアイドルフェスティバル開催を目標に動きだしたのでした。

スクールアイドルフェスティバルへ向けて!

三船栞子登場!彼女の目的とは?

ここまでが1stシーズンの7章までのお話。
ここから物語は急転直下。波乱の展開となります。

生徒会長に話があると部室を訪ねて来た一人の生徒。
彼女は1年生の三船栞子。

菜々ちゃんの姿のまま部室に入ったのを見られてしまい、彼女が優木せつ菜だということもバレてしまった。
しかし、そんなことも意に介さず、「あなたには生徒会長としての素質がない」と言い放った!

それは、今まで菜々ちゃんの生徒会長としての仕事ぶりを見て来ての判断でしたが、正体がバレてしまったのがさらにバツが悪かった。

「将来何の役にも立たないスクールアイドルにうつつを抜かしているなんて」

そして、高らかにこう宣言したのです。
新生徒会長として立候補し、3週間後の選挙で菜々ちゃんと争う。
そして、生徒会長になった暁にはスクールアイドル同好会を廃部にする、と。

生徒会長の座を奪うと宣言!
スクールアイドル同好会、廃部の危機!?

彼女の選挙へ向けてのマニフェストはこうです。

  • 限りある高校生活を無駄にしないために、それぞれの適性に合った活動を奨励し、将来への足がかりにしてもらう。

  • それぞれの適性に合った活動をすることで、生徒ひとりひとりの力で虹ヶ咲学園をより良い学校にする。

  • 生徒全員が成功体験を通して、自身と経験を積める学園にしたい。

そのために数々の資料に目を通し、実際に部活動を目で見て確かめてきました。

彼女が掲げる「それぞれの適性」とはどういうことか?
例を挙げて説明します。

仮にAさんがいたとします。
Aさんはサッカーが大好きで子供の頃からずっと取り組んできましたが、レギュラーに定着できるほどの実力はありません。

しかし、相手チームのフォーメーションや選手の動き、戦術をつぶさに観察し、それを誰よりもよく覚えることが得意。

しかも、性格がとても明るく、いつもチームメイトを笑わせて緊張をほぐしてくれます。
「大迫ハンパないって!」のあのキャプテンのようなイメージです。

そんなAさんは、自分の強みを武器に、試合に出られなくてもチームを盛り立て、適切な助言によりチームの勝利に貢献します。

それを見ていた栞子ちゃん。
「あなたは、いつも周りを笑わせて雰囲気をよくしてくれますし、あなたの対戦チームの観察力、戦術などの記憶力は他の人よりも秀でています」と評価した上で、Aさんに助言します。

「あなたは、落語家の適性があります!すぐに落語研究会へ入部なさってください」

なぜ落語…??
半信半疑のまま落語研究会の門を叩くAさん。
温かく迎えられ、早速近くの寄席に連れて行ってもらいました。
そこで、落語の魅力を知るのです。

先輩から古典落語を1席教えてもらったところ、持ち前の記憶力を発揮してすぐに覚えてしまいました。

オチ研内で披露すると、初めてなのにウケがいい。
すぐに、学内寄席や慰問でも大ウケとなり、一躍人気者になりました。

それもそのはず。相手チームを観察する要領でお客さんの顔色や空気を伺い、その場に合わせた話ができたからです。

落語の才能が開花したAさん。
自身の強み、適性を生かし、将来も見えてきたかも!?

・・・こんな調子で数々の生徒に助言する栞子ちゃん。
中には、それで成功を収める生徒も出てきました。

栞子vs菜々 生徒会長選の行方は?

急に宣戦布告を受けた現生徒会長の菜々ちゃん。
あまりの勢いに圧倒され、自分の生徒会長としてのアイデンティティを見失いつつありました。

栞子ちゃんの学園運営案は非常に具体的で、生徒への助言も的確。
それに比べると、自分はそこまで考えて生徒会長をしてきたのか?と疑問を抱いてしまいます。

ただ、栞子ちゃんの主張には「好き」という気持ちや「やりたい」「やってみたい」と言った、感情的な部分が完全に欠如しています。

そこに目を付けた菜々ちゃん。
生徒会長選の事前討論会で、「大好きな気持ちを3年間継続できるような学園づくり」を提唱。いかにも彼女らしいマニフェストです。

しかし、栞子ちゃんの攻勢を前に防戦一方。
選挙戦において「栞子ちゃん優勢」をアピールする格好になってしまいました。

栞子ちゃんの前に防戦一方の菜々ちゃん

このままではスクールアイドル同好会は廃部になってしまう…
菜々ちゃんは同好会を辞め、自分ひとりの力で選挙戦を闘うと宣言。
不退転の覚悟で選挙に臨みます。

しかし、投票前のスピーチでも、明確なビジョンを打ち出したにもかかわらず、栞子ちゃんに論破されてしまいます。

「あなた自身は、その大好きな気持ちのまま学園生活を送れていると言えますか?」

彼女の正体がスクールアイドル、優木せつ菜であることを逆手に取ったであろう、なんとも戦略的なスピーチ。

攻めのスピーチ
彼女の正体を知るからこそ

選挙結果は栞子ちゃんの勝利となり、1年生ながら生徒会長の席に着くことになりました。

なぜ、生徒会長選が物議を醸したのか?

恐らく、最も物議を醸したのはこの生徒会長選でしょう。

栞子ちゃんのビジョンは明確で、何人かの生徒は実際結果も出している。
しかし、スクールアイドルが好きで、実際ライブを経験してみてその楽しさに目覚めた同好会メンバーは、彼女の主張が理解できません。

対する栞子ちゃんは、好きな気持ちや情熱は関係なく、虹ヶ咲での3年間は将来へのステップであるべきで、そのためには各々の適性を伸ばし、よい成績を上げる事が充実した学園生活であると主張する。

「好き」と「適性」。
相反する意見を持った両者の、完全な対立構造となりました。

対立構造を作り上げる方が、物語をより盛り上げる事ができます。
「努力」「友情」「勝利」のメソッドを掲げる、週刊少年ジャンプの漫画はわかりやすい例です。

例えば、「キャプテン翼」。
静岡県南葛市に引っ越してきた、サッカーが大好きな少年、大空翼。
南葛小に転入したことで、石崎くんをはじめ仲間が増えますが、そのチームには宿敵が。

天才ゴールキーパー、若林源三を擁する修哲小。
翼くんは彼の家が見渡せる高台から「ちょうせんじょう」と書いたボールを蹴り、彼に挑戦するのでした。

修哲小のメンバーも交えた対決。
翼くんは相手を次々とかわし、若林くんの待つゴールへシュートを放つも、見事なセーブでボールはコート外へ。
しかし、乱入したロベルト本郷がクロスを上げると、二人そろって反応。
結果は翼くんがボールをゴールへねじ込み、勝利するのでした。

キャプテン翼の物語は、この翼vs若林の対決から始まりました。
そしてこの後も、数々現れるライバルとの争いを繰り広げていく事になります。

南葛小と修哲小との対抗戦を経て、両校も参加する「南葛SC」が結成され全日本少年サッカー選手権へ挑戦。
そこで全国から個性的なプレイヤーが集い、南葛SCと対決。
中でも、一番のライバルであるFWの日向小次郎との対決は中学時代まで続きます。

そして物語は日本国内から、世界へ。
全国大会でしのぎを削った仲間と共に日本代表に召集され、ジュニアユース選手権を戦うことに。
そこで世界のライバルとの争いが繰り広げられ…。

この頃の週刊少年ジャンプは、こんな感じで対決を通して次々とスケールが大きくなる漫画がほとんどでした。
対決した相手が仲間になり、友情と共に世界を目指す。
「次はどうなるんだろう?」というワクワク感を味わうことができました。

ただ、ラブライブ!はスクールアイドルに青春をかける女子高生のお話。
対立構造を作った方が物語は盛り上がりますが、ここでは完全に裏目に出てしまったようです。

その上で栞子ちゃんの株をさらに下げたのが、選挙戦での態度。
菜々ちゃんの主張を次々と論破し、自分を優位に見せる戦略をとって攻めてきました。

選挙戦ではこのやり方は常套句。
選挙前の討論会なんてアメリカ大統領選挙のようですが、実際に事前の討論会で優位に立ったのが、あのジョン・F・ケネディ。

1960年の大統領選挙の際、4回行われたテレビ討論会で、民主党のケネディ候補が共和党の現職副大統領、ニクソン候補を上回った、とされています。
ケネディ候補はテレビの映り方に気を使い、弁論も巧みに操り、有権者へ自身の優位性をアピールしたのでした。

確固たる政策、巧みな弁論で菜々ちゃんを打ち負かし、生徒会長の座を射止めた栞子ちゃん。
しかし、スクールアイドルに青春を燃やす女子高生のお話にあって、これはちょっとやりすぎなんじゃないか…と思います。

「生徒の将来を考え」「それぞれの適性に合った活動をする」という主張も、社会人ならともかく、高校生にとってはどうでしょう。
社会人としてなら「それぞれの適性に合った」という主張は一理あるなぁと思いますが、10代の若者に対するメッセージと考えるとちょっと違う。
もっと可能性を広げるべきですし、失敗してもそれがひとつの経験になると思うのです。

迎え撃つ菜々ちゃんも、自身が悩んでしまったがために選挙戦で劣勢になってしまった。
「自分は、三船さんのように学園の事を考えているのだろうか…?」と思い悩んでしまうのです。

その悩みは当然です。
生徒会長とは、先輩や先生から指導を受けながら、学生が中心となって開催される催しの取りまとめをするイメージ。
生徒の将来まで考えるのは、生徒会長としての立場を逸脱しているのではないでしょうか。
学校は教育の場ですし、すべての権限が生徒会長や各生徒に与えられているわけではない。

対立構造を作り出して物語を盛り上げたい、という作者の意図はわかりましたが、そのやり方がスクールアイドルの物語にそぐわなかったのではないか。

これが、お話を振り返ってみての私の感想です。

特に、せつ菜ちゃん推しにとってはたまったもんじゃないでしょう。
迷いが出ていたとはいえ、栞子ちゃんに完全にやり込められてしまう姿は見ていて辛いはずです。
この時点でストーリーを追う事を辞めてしまった人もいるかもしれません。

今や「推し」の文化が定着し、ストーリーを追う側もSNS等で自分の意見を発信することができます。
不快感をあらわにした意見は同調を受け、瞬く間に拡散されて炎上に繋がってしまう。
好きなコンテンツが炎上してしまうのを見るのは、さすがに見ていて気持ちいいものではありません。

ただ、彼女の思想や行動を見ただけで不快感をあらわにするのは、ちょっと早いんじゃないでしょうか?
実はこの時点で、プレイヤーである私たちは栞子ちゃんについて知らないことがまだまだあったのです。

気になる栞子ちゃんのその後は・・・??

さて、生徒会長になった栞子ちゃん。
数多くの生徒の適性を見抜き、新たな道へ次々と導いて人気を得ていきますが、それも長くは続きません。

生徒の間から少し違った意見が出てきて、その声がだんだん大きくなっていくのです。

一体何があったのか?
そもそも何故彼女は生徒達の気持ちややる気を無視してまで、そこまで「適性」にこだわるのか?
そして、何故スクールアイドルに対して敵対心を燃やしているのか?

ただ力づくで生徒会長になっただけではなく、彼女にもそこに賭ける理由や、過去があったのでした。

長くなってしまったので、今回はここまで。
次回は、生徒会長になった栞子ちゃんのその後を振り返ってみます。

※タイトル画像、及び記事内で使用した画像は、自らゲームをプレイした際のスクリーンショットを使用しました。

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