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ネジバ語文法19: 語順1

 ネジバ語の基本語順はSOVである。しかしながら、語順は情報構造に大きく依存する。


1. 情報構造

 助動詞は旧情報と新情報の境界として機能する (Figure 3)。このことは疑問文とその答えで確かめられる (1)。

(1)
a.
Ziugo-q=sur xivo ku~kup=xut
Z-ERG.HUM=3:NPST fish.ABS TR~eat=INSIDE
「十五は魚を食べている (十五は何をしているか、に対して)」
b.
Ziugo-q ku~kup=xut=sur xivo
Z-ERG.HUM TR~eat=INSIDE=3:NPST fish.ABS
「十五が食べているのは魚だ (何を十五は食べているか、に対して)」
c.
Xivo ku~kup=xut=sur Ziugo-q
fish.ABS TR~eat=INSIDE=3:NPST Z-ERG.HUM
「魚を食べているのは十五だ (誰が魚を食べているか、に対して)」
d.
Sur Ziugo-q xivo ku~kup=xut
3:NPST Z-ERG.HUM fish.ABS TR~eat=INSIDE
「十五が魚を食べている (何が起こったのか、に対して)」

 いかなる要素も主題 (旧情報) となれるが、(i) 絶対格名詞で (ii) 人間名詞が主題として好まれる。これを満たすため、逆受動態や適用態が用いられる。例えば、(1a) は (2) のように変換される。

(2)
Ziugo=sur xivo-ve ga-kup=xut
Z-ABS=3:NPST fish-LOC ANTIP~eat=INSIDE
「十五は魚を食べている」

2. 焦点範囲

 ある要素が新情報であるとはすなわち、それが焦点であることを意味する。よって、助動詞のあとは焦点の範囲である。追加接語は助動詞に付加されうる (3)。

(3)
a.
Kak=qat var
write=N3:NEG:PST 1SG.M.ABS
「書いたのは俺じゃない」
b.
Kak=gat=dak var
write=1:PST=ONLY 1SG.M.ABS
「書いたのは俺だけだ」

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