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ネジバ語文法2: 助動詞

1. 助動詞

 助動詞は文法要素 (人称と時制) のみで構成される。これは文 (または節) を完成させるために必要な要素である。言い換えれば、助動詞は定形標識である。助動詞の可能な形態を表3にまとめている。

 ここでは簡単な例を挙げる (1)。助動詞は前接語 (enclitic) なので、先行語があればそれと音韻的に結合する。

(1)
a.
Gat fuk
1:PST go
「私は行った」
b.
Ku=qur?
come=N3:NEG:NPST
「お前は来ないのか?」

 助動詞と情報構造との相互関係については後に詳述するが、助動詞の前の位置には主題 (旧情報) が現れ、後の位置には焦点 (新情報) が現れる (2)。

(2)
a.
Ziugo-q=sur xivo ku~kup=xut
Z-ERG.HUM=3:NPST fish.ABS TR~eat=INSIDE
「十五は魚を食べている (十五は何をしているか、に対して)」
b.
Ziugo-q ku~kup=xut=sur xivo
Z-ERG.HUM TR~eat=INSIDE=3:NPST fish.ABS
「十五が食べているのは魚だ (何を十五は食べているか、に対して)」
c.
Xivo ku~kup=xut=sur Ziugo-q
fish.ABS TR~eat=INSIDE=3:NPST Z-ERG.HUM
「魚を食べているのは十五だ (誰が魚を食べているか、に対して)」
d.
Sur Ziugo-q xivo ku~kup=xut
3:NPST Z-ERG.HUM fish.ABS TR~eat=INSIDE
「十五が魚を食べている (何が起こったのか、に対して)」

 助動詞は、(i) 主語の一致と (ii) 時制標識からなる。表4の接頭辞のうち、CS (コピュラ主語)、S (自動詞主語)、A (他動詞主語) のいずれかと一致するものを選択する必要がある。つまり、助動詞の格配列は主格対格型である。助動詞に数は標示されない。三人称主語の場合、情報源 (直接情報、推測、伝聞) によって接頭辞を選択する必要がある。否定では一人称と二人称が中和される。

 時制には、非過去と過去の区別がある。前者は -ur、後者は -at で標示される。

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