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ネジバ語文法21: 連位接続


 ネジバ語において、連位接続と従位接続を区別することは重要である。前者は非定形 (動詞) で、後者は定形 (動詞) である。従属節中では新情報と旧情報の別がないため、助動詞は節の末に現れる。

1. 連位接続

 連位節は (節と言いつつ) 節ではない、というのも助動詞を持たぬからである。(1) を見よ。

(1)
Var-aq=gat xivo ku~kup, pitos no~nom
1SG.M-ERG.HUM=1:PST fish.ABS TR~eat alcohol.ABS TR~drink
「私は魚を食べ、酒を飲んだ」

 (1) は二つの動詞を持つ。すなわち kukup 「食べる」と nonom 「飲む」である。時制と人称は単一の助動詞 gat によって決定される。換言すれば、二つ目の動詞 nonom は kukup と同じ時制、人称、極性を有していると解釈される。このような構造を連位接続と呼ぶ。
 しかしながら、主語 (S か A) が異なることを表す手段もある。このことは異主語標識 di- によってなされる。(1) と (2) を比較せよ。

(2)
Var-aq=gat xivo ku~kup, pitos di-no~nom
1SG.M-ERG.HUM=1:PST fish.ABS TR~eat alcohol.ABS DS.SP-TR~drink
「私は魚を食べ、ほかの誰かは酒を飲んだ」

 異主語は代名詞や名詞でも表せられるが、そのような場合でも異主語標識は後続の動詞に付与されなければならない (3)。

(3)
Gat Zipan-ki fuk, Ziugo Nezib-ki di-fuk
1:PST Japan-DAT.NHUM go Z.ABS Nezib-DAT.NHUM DS.SP-go
「私は日本へ行き、十五はネジブへ行った」

 異極性は、同主語でも異主語でも標示される (4), (5)。

(4)
Var-aq=gat xivo ku~kup, pitos zu-no~nom
1SG.M-ERG.HUM=1:PST fish.ABS TR~eat alcohol.ABS SS.DP-TR~drink
「私は魚を食べ、酒を飲まなかった」

(5) 
Var-aq=gat xivo ku~kup, pitos ni-no~nom
1SG.M-ERG.HUM=1:PST fish.ABS TR~eat alcohol.ABS DS.DP-TR~drink
「私は魚を食べ、ほかの誰かは酒を飲まなかった」

 上の zu- と ni- は否定標識ではない。というのも、助動詞が否定である場合、それは肯定を表すからである (6)。

(6)
Var-aq=qat xivo ku~kup, pitos zu-no~nom
1SG.M-ERG.HUM=N3:NEG:PST fish.ABS TR~eat alcohol.ABS SS.SP-TR~drink
「私は魚を食べず、酒を飲んだ」

 連位接続で後続動詞に付与される主語標識は表16のようにまとめられる。

 連位接続は動詞連続構文としても分析できるかもしれない。同じ語が連位接続で繰り返いし現れた場合、繰り返される動作を表す (7)。それぞれの語に強勢が置かれるため、重複ではないことに注意されたい。

(7)
Rat ku, ku
3:INF:PST come come
「彼は繰り返し来たらしい」

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