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始まりの礼文島 その2


前回からの続き……
 
私たちが居を構えた店舗兼住居は、礼文島地図にある香深村字カフカイというところで島の南北をつなぐ唯一一本道の真ん中あたり。
付近にあるのは、漁港と体育館そして漁師さんのお家くらい。
 
先ずは、その腐敗物を片付けなければ始まらないわけで。
メンバーはリーダーを含めて、3人。私ともう一人。
そのうち、調理場担当としていったのは、リーダーともう一人。
という事で、腐敗物の大まかな処理は調理場担当の二人が進める事に。
といっても、私も何もしなかったわけではないので、腐敗物を二重にした厚手のごみ袋に入れて外へ出し、周りをシートで囲い重しを置いて匂いとかカラスの攻撃を受けないようにしたり。
 
自然に囲まれた礼文島最初の仕事が、腐敗物処理とは。
美と相反するものの、共存を意識しながら人間の罪を感じる。
とかなんとか、哲学的な事を言ってないとやってられないわけで。

夜は神秘的な月夜も見ることが出来る

一通りの腐敗物廃棄が終わったら、その先がもっと大変でした。
札幌あたりだと、処理業者は費用さえ掛ければどうにかなるものですが、離島となるとそうもいかず、簡単には手配できないわけで。
それでも時は進むわけです。
よって、経験豊富なチームリーダーの指示のもと、冷蔵庫掃除が始まるのでした。
(新しい機材を手配するとなると、もっと時間や費用が掛かるわけで、離島は手間賃や送料というものが結構な料金を発生するわけで)
 
腐敗物を二年間も放置しておくと、冷蔵庫の中の匂いもそう簡単には取れるわけもなく、洗浄、漂白、乾燥のフローを何回ともなく繰り返し、そして一週間位を過ぎたころやっと使えるかな、という感じになっていきました。
 
本来、常設型でなければ廃棄という選択もあったのでしょうが、業務用の4枚型のコールドテーブルや冷凍庫は、そう簡単に破棄と言う訳にもいかず、また、前出で述べた通り新しいものを手配するのも時間と経費との戦いとなるわけで。
そんな事情もあり清掃業務は進んで行くのでした。            

                               つづく

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