見出し画像

UIデザイナーがVision Proを使ってみた!

こんにちは。シフカです。
ついに、ついに、ついに!シフカにApple Vision Proがやってきました!発売日に購入することは叶いませんでしたが、社内の強力な助っ人の登場により少し遅れてではありますが無事購入することができました。要所要所でUSアカウントは必要なの…?アメリカの住所…?購入経路は…?クレカが通らないんだけど…ぐぬぬぬぬ…となることもありました。紆余曲折する中、先人たちが残してくれた情報を主に成し遂げることができました。ありがとうございます。先人たちに感謝です。

これから購入しようと考えている人は、この3つの記事を読むと大体の流れが掴めると思います。

日本からApple Vision Proを購入する方法

日本で使うための「技適未取得端末を用いた実験等の特例制度」について

本体購入後、有料アプリを購入する方法


さて、ここからが本題です。今更、アンボックス!開封の儀!とか言いながらキャッキャしても仕方がありません。購入方法の苦労話も不要でしょう。デザインを専門としている会社として、UIデザイナーの視点から「で、Apple Vision Pro」ってどうなの?という点を軽くお話しできればと思っています。使い始めて1週間くらいなので、ファーストインプレッションに近いような雰囲気で見ていただければと思います。今後、新しい発見があれば別の記事でフォローしていく予定なので、そちらもお楽しみに。


・・・


実際に使ってみて

様々な方がレビューで言われている通り、Appleらしい未来を感じさせる筐体の完成度やUIの丁寧な作りは言うまでもなく素晴らしいものでした。ディスプレイの解像度も高く、近くのパススルー映像が見えにくいなどを除けばエンタメから業務利用まで様々なシーンでの活躍が期待できそうなポテンシャルがあるように思えます。値段の高さや若干の重さなど目を逸らしている部分はありますが、値段相応の価値があるいいデバイスです。

アイトラッキングの性能も素晴らしく、ユーザーである自分自身が操作に慣れていないせいでぎこちなくなることはあっても、機能としてはとても早く正確でスムーズに動作します。その自然な操作感には驚かされました。とはいえ、ハンドジャスチャーに対して身体的なフィードバックがある訳ではないので、ここら辺は空間コンピューティングが浸透していくにつれてブラッシュアップされていくのだろうなと思う点もありました。


空間コンピューティング

Appleは、VRやARではなく空間コンピューティングという言葉を使っています。たくさんのウインドウが空中に浮いている様子を他の記事や動画などで見た方も多いのではないでしょうか。自由に広がるウインドウや沢山並ぶアプリ画面を見て「なるほど、アプリケーションに満たされた空間。正しく空間コンピューティング!」と思った方も多いのではないでしょうか。

使ってみると分かりますが、大量のiPadを部屋中に設置してそれぞれでアプリを起動してる様子を想像してみてください。そして、それを空間コンピューティングと呼びたくなるだろうかと。大抵の方が半笑いで否定すると思います。それでも便利だと思いますが、そうじゃない感は拭えません。今のVision Proでできる大抵のことは板のパラダイムで構成されています。先ほど話したような大量のiPadが浮いているようなものなのです。

ただ、これはあくまでも過渡期だという説明でしかありません。今後、板のパラダイムから抜けた新しい世界が待っているのだと思います。それが3Dオブジェクトをウィジェットのように使用するものなのか、はたまた別のアイデアなのか、そもそもデバイスがVision Proなのか後継機になるのかも分かりませんが、未来の可能性を想像させるだけの面白さがあります。

Appleはユーザーの意識の変化に合わせて、自分たちが目指す世界に向けた技術を少しずつ浸透させていくようなイメージがあります。時にはインパクトのある破壊的なイノベーションをしたとしても、大抵は気がついたら当たり前になっていたというように着実に駒を進めてくる企業です。気がついたら、本当の空間コンピューティングが当たり前になっているかもしれません。そして、気づかないうちにその布石はiPhoneなどに組み込まれているのかもしれません。想像するだけでワクワクしますね。


これは新しい部屋である

では、Vision Proとは何なのか。まだ1週間程度しか使っていない身で回答のようなものを出すのも変な話ですが、今今の結論として「新しい部屋」のようなものだと考えています。空間コンピューティング ≒ 概念としての新しい部屋ではなく、例えばゲーム実況者が配信用に防音室を部屋の中に設置したようなイメージを想像してください。部屋の中に自分がしたいことだけに集中できる新しい部屋が増える、それを可能にするのがVision Proです。

なので、マルチウインドウよりも一つのことに集中する視覚に対するノイズキャンセリングのような働きが一番の強みだと思っています。それを可能にしているのが、Environments(環境)機能です。Vision Proのダイアルを回すと美しい湖畔や砂漠などの映像が現実世界を覆います。完全に覆い尽くすことも可能ですし、段階的に視界の近くだけを覆うことも可能です。別の世界にいるような感覚ではなく、ノイズキャンセリングイヤホンで好きな音楽を流すような日常の延長線上に別の空間を作り出すことができます。

少し余談ですが、2016年に発売されたHTC ViveというVRヘッドセットがありました。それは当時としては画期的なもので、センサーを部屋に設置することでVR空間上を移動することができるというものでした。初めてViveを使用した時は、まるで海外の空港に降り立ったような「本当に知らない場所に来てしまった」という感覚があり感動したのを今でも覚えています。Vision Proに関していうとそんなことはなく、手を伸ばせばいつも使っているアイテムをそのまま見て使うことができます。そういった意味でも、日常の延長線上にあるものだと言えると思います。

マシンを買うと考えると高い買い物のように思えるかもしれませんが、どこにいてもコンフォートゾーンを生み出しやすい集中できる部屋を買うと考えると実は安い買い物なのかもしれません。集中して仕事をすることに対して、どのくらいバリューを持たせることができるかにもよると思いますが、その価値が高いと思う人には唯一無二のデバイスになるかもしれません。


みんなが買うべきか?

うーん、どうでしょう。みんなにすすめるかと言われたら、それはないと思います。今はまだ開発者向けのデバイスという側面も強いでしょうし、利用シーンも限定的になると思います。アプリも充実しているとは言えません。先ほど述べたVision Proの視覚のノイズキャンセリングに魅力を感じた方や空間コンピューティングへの期待がある方にはオススメします。あとは自分で新しい使い方などを開拓したい人などにもオススメかもしれません。一般的には時期尚早だと思います。2、3年後にVisionがどうなるかを見てからでも遅くはないというのが素直な感想です。


・・・


いかがでしたか?
シフカにVision Proが来てから1週間くらいのファーストレビューでした。実際に使ってみると、いい点ばかりではなくこれからの部分も多く、今後どのように発展していくのか、また、UIデザイナーとして、UIを専門とする会社としてどのようなことができるのか楽しみが広がりました。

次回は、実際使用しているシーンなどの動画を用意して、よりUIに注目したAppleの細かいこだわりにフューチャーした記事にしようと思います。

それではまた次回もお楽しみに!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?