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シフカは設立40周年を迎えました

1984年6月20日にシフカを設立して、今日でちょうど40年となりました。シフカのような小さな会社が40年も存続できたことは素直に嬉しく、また誇らしい気持ちです。これもひとえに皆さまのお力添えのおかげと深く感謝しております。

この記事を書くにあたって少し調べたところ、シフカと同じく2024年に40周年を迎えるのは、ユニクロやカプコンといった有名企業、コアラのマーチやガリガリ君といった誰もが知るお菓子など、錚々たるメンツが揃っていました。それらの同級生に比べてだいぶ知名度が低いシフカですが、なぜ40年も継続することが出来たのでしょうか。


果敢なチャレンジ

その理由はいくつかありますが、まず「常に新しいことにチャンレジしてきたこと」が挙げられます。シフカはその時代ごとに必要とされるジャンルでデザインを提供し、時にはまだ誰も手掛けていない分野に挑戦してきました。40年はチャレンジの連続だったのです。

これまでの記事でも触れています通り、シフカは旧電電公社が展開した「キャプテンシステム」の画面制作に対応する目的で設立されました。キャプテンシステムは今で言うインターネットのような情報社会を目指した野心的なシステムで、その今までにない仕組みの中で画面を作成をするのがシフカの始まりだったのです。パソコンが普及し始めると最初は手探りでゲーム向けのイラストや業務用ソフトのUIを手掛けました。PCにCD-ROMドライブが搭載されると収録するコンテンツに関連する依頼が大量に舞い込みました。年賀状データを収録したCD-ROMを冊子の付録とした「年賀状CD-ROM」もシフカが最初に発案したものです。

インターネットが世に出ると、すぐにHTMLを覚えて多数のホームページ制作を受注しました。携帯電話の分野でもデコメなどにいち早く取り組み、やがてホーム画面を始めとするUIデザインまで担当するようになります。スマートフォンが登場するとそのUIデザインを複数メーカーから受注するだけでなく、シフカ自らアプリをリリースしてランキング上位に入る経験もしました。特にスマホで年賀状を作るアプリは多くの会社にOEMとして採用され、ライバルブランド同士の年賀状アプリがいずれもシフカのOEMという年もあったほどです。

いち早く時代を先取りすることで新たなジャンルのデザインを受注できたのですが、シフカのような小さな会社が独占的に利益を上げ続けるのは難しいもの。やがてノウハウを獲得した大資本の他社が参入すれば価格競争に巻き込まれることになります。一時期は好調だったスマホ向けアプリも競争が激しくなる頃には撤退し、今では車載機器などのUIデザインが中心になっています。

このように、一時的な成功に安住せず、常に次のデザイン需要を探し、時には先が見えない中でも失敗を恐れず会社の姿すら果敢に変化させてきたことで、シフカは生き残ってこれたのだと言えるでしょう。


一貫した方針

常に一貫した方針で仕事に臨んできたことも、40年継続できた要因だと考えています。先ほど書いた「時代に合わせてチャンレジする臨機応変さ」と一見矛盾しますが、変化する中でも変わることのなかった「会社の軸」がありました。

まず、手掛けているのが一貫して「デジタルによるデザイン」であること。シフカの設立当時は、デザインと言えば紙にペンで描くのが当たり前。文字は写植、最終的なアウトプットは印刷物という時代でした。そういった中でシフカは設立当初から一貫してデジタルでのデザイン、印刷物ではなくモニタで表示するデザインを扱ってきたのです。当時は珍しかったデジタルでのデザインに注力することで他社より早く経験を積み、常にひとつ上のクオリティを維持することが出来たのです。

また業務を請け負う際に広告代理店を挟まず、クライアントと直接やり取りすることにこだわりました。デザインを依頼する側の気持ちをダイレクトに受け取りたい。そのほうがより良いものを作れるという信念からでした。一流の企業から一流の仕事を受けたいという夢もありました。

しかし、デザインの仕事は広告代理店経由で受けることが普通だった時代、この方針を通すのは大変な苦労が伴いました。広告代理店から仕事をもらわないとなれば、クライアントとなる会社を1社ずつ営業で回るしか無いからです。実績の乏しい小さな会社だったシフカが大手メーカーに営業しても門前払いが普通でした。それでも不屈の営業と圧倒的なデザインクオリティを武器に少しずつ認めていただけるようになり、今では名だたる会社さんから依頼を頂戴するまでになりました。

会社として規模の拡大を追わない方針も奏功しました。格好つけて言えば少数精鋭でしょうか。小規模な会社だったことで小回りが効き、目まぐるしく変化するデジタルデザインの世界に対応できたのです。時には大規模な案件を依頼され、作業を外部に丸投げすることでマージンを得られる可能性も頭をよぎりましたが、やはりクオリティのコントロールができないことがネックとなり、手に負えない規模の案件は受注をあきらめる決断を下しました。
規模の拡大を追わないことでクオリティにこだわり続けることが可能となり、結果としてクライアントの信頼を強固にできたと考えています。


クライアントと社員に恵まれた

シフカが40年続けられた理由で一番大きかったのは、クライアントと社員に恵まれたことでした。前述したように、シフカは新しい分野へ積極的に挑戦してきましたが、常に成功したわけではありません。今まで上手く行っていた分野でも、クライアントの都合でいきなり仕事が無くなってしまうこともあります。長い歴史の中では会社の存続が危惧されるようなピンチも何度かありました。

そんなときに手を差し伸べてくれたのが、様々なクライアントの担当者さんたちでした。シフカのデザインクオリティを信頼して、担当者さんの可能な範囲で仕事を回してくれたこともありました。クライアントの部署が閉鎖されしまいシフカへの仕事も無くなってしまったとき、先方の担当者さんが異動先の部署から新たな依頼を発注してくれたこともありました。このようにクライアントとその担当者さんのお陰で息を吹き返したことが何度かあったのです。一緒に新しい分野を切り開いたことで、戦友のように思っていただけたのかもしれません。

また社員に恵まれたことも大事な要素でした。会社が新たな分野に飛び込むとき、社員は新たなスキルを身につける必要に迫られます。せっかく覚えた作業を横に置き、これまでやったことのない作業をイチから覚えることになるのです。あまりの急展開に、時には社内からブーイングが出たこともありました。それでも最終的にはスキルを自分のものとして結果をしっかり出してくれました。

2Dグラフィックだけでなく、コーディングや3Dなど複数のスキルを持つ社員が多いことで、高度化するクライアントの要望にも応え続けることができました。やがてそれが、手を動かす作業の依頼に留まらず、クライアントと考えるところから一緒にやるという現在のシフカに繋がっていくのです。


そしてこれから

果敢なチャレンジをしてきたこと、一貫した方針を取り続けたこと、クライアントと社員に恵まれたこと。そのどれが欠けてもシフカの存続は難しかったことでしょう。多くの苦労がありつつ、幸運にも恵まれてここまで来ることができました。リモートワークやフレックスタイム制など、設立当初から夢見ていた仕組みも導入できました。インプレスグループの一員となったことで安定性も向上したことから、人員の追加など新たな取り組みも始めています。

生成AIの登場などで世の中が大きく変わりつつある今、これまで以上にデザインが果たすべき役割は大きくなるはずです。そんな時代の中でも表現する人の力になれるシフカであり続けたい。40周年に慢心せず、ぶれない軸を持って新たな挑戦を続けようと、決意を新たにしている次第です。皆さまにおかれましても、note記事を読みに来ていただくだけでも良いので、シフカを応援していただけると嬉しいです。

それでは、今後ともシフカをよろしくお願い申し上げます。

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