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バイトを辞めた。志摩スペイン村に行った——成人男性オタクによる現地レポ【後編】

<前編はこちら>


⑦ハビエル城博物館

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 コロシアムの横にあるハビエル城博物館に足を運んだ。ハビエル城は、日本人にとっては馴染み深い聖フランシスコ・ザビエルが幼少期に過ごした城だ。それを模した博物館である。いかにも中世ファンタジーっぽい城の門を抜けて城内へ。あははっ、なんかワクワクするっス〜!

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 館内には、ドン・キホーテ、スペインの歴史、民族衣装などにちなんだ展示物が並んでいる。公式サイトの説明によると、旧石器時代の洞窟「アルタミラ洞窟」の壁画の実物大レプリカは、世界でたった3つしかない貴重なものであるとのこと。

 ……今さら説明不要ですが、まあ人が少ないですね。でもその分、「展示物の前で立ち止まると他のお客さんに迷惑だから」と考える必要がほとんどないし、「やべっショーの時間に間に合わねえ!」で早足で移動することもできました。よい子はマネしちゃダメだよ。普通に迷惑なやつなので(猛省)
 私はドン・キホーテの物語が綴られたパネルを食い入るように見つめていました。「なんか新入社員だった頃の自分を思い出すなぁ……」うんぬんと思索に耽り、ポケットに手を突っ込んでカッコつけてました。帰ったら原作読もうかな。岩波文庫のやつ。

 ちょうど南フランスに関する資料を読んでいる過程で、スペインの歴史に興味が湧いていたので、その土地の風情を味わえる良い機会となりました。世界史が好きな人ほど楽しめる空間って印象ですね。


⑧ストリートレビュー——「今俺に向かって手を振ったぞ!」が実現するパレード

 さあ、いよいよ始まるぞ……開始5分前にシベレス広場で待機。広場の中央には、立ち入りを禁じるためのロープが張られている。いったいどんなものを見せてくれるのか。ワクワクしながら待っていると、ついに開門——

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うおおおおお!!!!
きたー!!!!!

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 豪華な乗り物に乗ってキャラクター達が登場。その周りをスペイン人のパフォーマー達が取り囲む……ってちょっと待って!? あの赤い衣装に身を包んでいるやたら脚長えお兄さん、さっきフラメンコ踊ってた人じゃない!? ステージで上ではタキシードみたいな衣装を着てすげえカッコよかったけど、今は陽気にジャグリングしてるよ……ギャップ萌えだな……ん?

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アレハンドロ……お前……!!😭

 なんかこいつだけ、豪華な乗り物を追うようにして、ひとり寂しく登場しました。公式サイトのキャラクター図鑑によると、本当は照れ屋で寂しがり屋らしい。一匹狼を気取っているけど、本当はみんなと一緒にいたいのかな。そう思うとかわいげあるなこいつ。推せるわ……こういう、ちゃんとキャラクターの個性を活かした演出があるのは、オタクとして嬉しくなっちゃいますね。

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 さて、このパレード、個人的にすごいなと思ったのは、キャラクターが乗り物を降りた後、「観客個人」に手を振ったり、決めポーズを取ったりしていたことですレスをもらえる、ってやつでしょうか。たとえば、一眼レフカメラを構えている観客がいると、ダルがぐっと近づいて決めポーズを取る。学生グループに向かって、アレハンドロがカマかけたりする。一瞬ではなく数秒かけて。

 ダル姫、私にまっすぐ目を向けて、手を振ってくれたんですよね……って書くとオタクの妄想みたいになっちゃいますが、気のせいではないはず。だって人少ねえし。あの視線の先にいたのは私だけだったはず。ライブでレスもらえた時ってこんな気持ちなのかな。写真撮るの忘れるくらい嬉しくなっちゃったなあ……

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ダル姫は尻尾の質感がマジですごい。もうふっさふさよ。

 なので、ダル姫の後方腕組みプロデューサー面してました。本当に腕を組んでいたし、(ダル姫……頑張ってるな……)とか思ってました。観客が少ないからこそ、一人ひとりを大切にしてファンサする、そんな工夫が見えるからこそ応援したくなりました。地下アイドル追ってる人ってこんな気持ちなのかな。

 その後は、フラメンコや闘牛をモチーフにしたショーが行われました。「さあみんなも踊って!」と踊り方を教えると、正面の観客達がそれを真似して踊る。パレードと聞いたので、ただ眺めるだけの催し物かと思ったんですが、観客との双方向のコミュニケーションを大切にしている印象がありました。観客が少ないからこその工夫なのか、それともスペインの文化なのか、どちらかはわかりませんが、不思議な一体感があって心地よかったです。ダル姫のこと好きになっちゃったしな……いいパレードだ……


⑨レストラン「エル パティオ」

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 腹減ったなあ……ってことで14時頃、カルメン通りにあるレストラン「エル パティオ」へ。スペイン料理が楽しめるレストランです。

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 ……い、いますよ!? ピークの時間を過ぎていたとはいえ、人はちょいちょいいましたからね!? まあでも、注文もお会計も料理が出てくるのもビックリするほど早かったな……

 看板メニュー「スペアリブのパエリャ〜レモンペッパー風味〜」を注文。ぐるナイのお店に出てきそうなメニュー名だ。お値段は1,600円。ぴえっ……普段の昼飯6日分のお値段……ちょっと気が引けましたが、せっかくここまで来たんだからと、思い切って注文。

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デンッ!!

 やっべえ、写真見返してるだけでヨダレ出てきた。いやあうまかったっすねえ!! 朝からカロリーメイトとチュロスしか食ってねえ中、お昼過ぎまで園内を散々歩き回っていた、そんな空腹の時に食うスペアリブのうまさたるや……!! お肉にかけられていた赤いソース(知識皆無)が、パラパラのお米と混ざり合う。レモンペッパーの風味が鼻腔をくすぐる。加えて、アスパラと赤パプリカ(たぶん)のシャキシャキとした食感。何もかもが絶妙に組み合わさっていました。

 それを窓際の席で食べるという、これまた贅沢なひととき。おほほっ、一人旅ですもの、スペアリブを手掴みで食べちゃいますわ〜! パクパクですわ〜! 水ガブ飲みですわ〜! クソうめぇですわ〜!💯🦂

 チュロスといい、パエリャといい、飯がちゃんとうまいのはめちゃくちゃ評価できますね。テーマパークで食えるものって、なんかイマイチなイメージがあるじゃないですか。パルケエスパーニャ、ちょっとお値段は高いけど、レストランに入ればそれなりの飯が食えます。そもそもスペイン料理って中々食う機会ないもんな。ありがてぇ🙏


⑩カンブロン劇場、サンタクルス通り、コロンブス広場

 飯食う前後で園内を散策しました。いくつか紹介していきますねー(七草にちか)

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 カンブロン劇場で上映されているアニメ「ドンキホーテ夢みる騎士」「空飛ぶドンキホーテ」を観ました。入場案内開始前から待ってるのは私だけ。5列目中央の良い席をすぐ確保できました。入って数分は誰もいません。上映期間終了間近のレイトショーかよ。

 内容はドン・キホーテの物語をモチーフとした、キャラクター達のドタバタ冒険活劇。90年代のアニメ。ミュージカルとパレードのおかげで彼らのことを大好きになっていたので、アニメーションで動き回れる姿を見れて満足。

 ンゴちゃんも言ってたけど、爆速スタッフロールと、死ぬほど使いまわされる「きっとパルケエスパーニャ」(バスの乗車アナウンスで流れるBGM)で爆笑しちゃった。初期OPに戻る演出は最終回にやるからビシッと決まるのであって、何度もやられたら笑っちゃうのよ……

 って思ってたんすけど、これが原因で「きっとパルケエスパーニャ」が頭にこびりついて忘れられなくなりました。恐ろしいぜ……

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 コロシアムからサンタクルス通りに入る中継地点。色とりどりの美しい花が並び、見渡す先にはハビエル城博物館。少し歩けば、美しい街路の坂道があり、教会があり、水景色がある。コロシアムから奥は美しい景色が広がる空間です。2週しちゃったな。歩いてるだけで気持ちよかった。

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 そんな美しい景色が広がるサンタクルス通りですが、建物の中にはこういう俗っぽい機械もあったりする。そりゃ世界でココだけしかねえでしょうよ。

 あと、サンタクルス通りを抜けた先にある、園内最奥のコロンブス広場。ここはかなり寂れた場所です。シャッターが下りた売店、今は開催されていないショーを案内する看板、当然ながら人はいない……これは素人の勝手な予想ですが、この辺りはそう遠くない未来に作り変わっていそうですね。せっかく人が少ないならフォトスポットに特化させていいいし、今どきはプリクラを撮る人だっていない。現代のトレンドに合わせて作り変わっていきそう。まあでも数年後もそのままだったら「フッ……ここは変わらねえな……」つってね、凱旋を果たした戦士みてえな気持ちでいられるな。


お土産買うぞ!——「ファンタシア」「アスタ ラ ビスタ」

 飯も食ったし、美しい景色も堪能できたし満足……名残惜しいけどそろそろ閉園だし……お土産確保するぞ! ってことで、まずはフィエスタ広場にあるキャラクターグッズショップ「ファンタシア」へ。ミュージカル、パレード、アニメでキャラクター達のこと大好きになっちゃったからね。なんかグッズほしいな。

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 お店のガラス窓には、キャラクター達の誕生日を記したポスターが貼られている。公式が誕生日を大切にしてくれるの、マジで"理解"ってるって感じ。ダル姫のこのキービジュアル、すこだ……

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 おっ、なんか女児アニメっぽいコスチュームのダル姫もいる(なおこのアトラクションは休止中)。色んな衣装が見れるのマジでオタク心に刺さるな。ダル姫のぬいぐるみめちゃくちゃ欲しくなってきた。いったいどこに——あった!!!!

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……あれ?

写真と違う

きみ、写真と違くない……?🤔

 パルケエスパーニャはとても満足度の高いテーマパークですが、唯一の不満点がこれでした。「ぬいぐるみがダル姫のかわいさを表現できていない」。パンフレットによれば「クラシカルな雰囲気を残しつつ現代的にアップデートした新しいコスチュームのぬいぐるみ」とのこと。確かにキャラデザ初期の面影があるが……うーん……?

 立体物にするのはやっぱり難しいのだろうか。うちのイエッサンオス・メスを両隣に並べてさ、お姫様と従者って感じにしたかったんだけど……しゃーないか。ヴィジュアルに対する私の理想が高すぎるだけかもしれんし。

 ぬいぐるみは諦めて、他のグッズを探す。キャラクターグッズショップなので、修学旅行で訪れたであろう小学生達がひしめき合っていました。その中を一人で徘徊する、白Yシャツを着た成人男性オタク。女児向けグッズのコーナーも平然と見て回る。しゃーねーだろ、ダル姫のグッズほしいんだから。

 あまりピンと来るものがなかったので、エスパーニャ通りの「アスタ ラ ビスタ」へ。パンフレットによれば「パークで一番大きなお店」

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エプロン衣装まであんのかい! 充実してんなあ……

 お店の中は、キャラクターがプリントされたお菓子、Tシャツ、さらには伊勢志摩のお土産に至るまで、豊富な品揃え。周囲には海外雑貨や輸入菓子のお店もあります。で、オタクは何を買ったかというと——

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ステンレスボトル 1,700円
タオルハンカチ 600円
ときめき! ハートビート! パルケエスパーニャ 2,500円

 ①と②は「ちゃんと実用性があり、かつオシャレに差し支えないオタグッズがほしい」という動機から購入。シルエットもののグッズってこういう時にありがたいよね。愛用していたシナモロールの水筒は塗装が剥がれてボロボロになっていたので、これを機に買い替え。

 ③はCD。「きっとパルケスパーニャ」の情熱的な旋律が頭から離れなくなってしまったので買わざるをえないなあと……ちなみに、ミュージカルの楽曲を収録したCDも販売しています。いわばキャラソン集。どちらを買うかは好みが別れるところか。

 奮発しちゃったなあ。さて、グッズも買い揃えたし、もう思い残すことはない。とはいえ別れが惜しい。園内を歩き回いたり、ベンチでぼーっとした後、退園しました。閉園間近になるとマジで人少ねえな……

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 ちなみに、その日はホテル志摩スペイン村で一泊しました。その時の様子は後日、別記事でまとめます。この写真を知人に見せたら「匂わせか!?」って言われたけどちげーよ。あたしだって彼氏と来たかったよ。いねーんだよ。シングル素泊まり1泊プランを急きょ用意してくれたんだよ。

<2022/6/8追記>

別記事書きました。よければこっちも読んでね!


感想・まとめ

・一応ちゃんと人はいる。しかし時間帯やエリアによっては、人が極端に少なくなる。周囲に自分以外誰もいない瞬間が何度か訪れる。

人が少ないのでストレスフリーな環境。人混みがなく、待ち時間がほぼなく、美しい景色を自由にのんびりと堪能できる。また人が少ないからこそ、フラメンコは間近で見れるし、パレードではレスをもらいやすい。

キャラクター達の楽曲、舞台演出、衣装、関係性、資料館が充実しているのはオタクとして嬉しい。ダル姫ほんとかわいい。アレハンドロ推せる。

焼きたてチュロスまじでうめえ。パエリャうまかった。

 ざっくりまとめるとこんな感じ。最高のテーマパークでした。期待のハードルがかなり高くなっていたんですが、それを優に越える体験ができました。

 人混みが苦手で、ゆったり過ごすのが好きな私にとっては、ぴったりな環境。美しい景色を堪能しながら歩き回り、スケジュールを確認してイベントに参加し、スキマ時間にふらっとレストランに入る。ソロ参加なのもあってのーんびりできました。ネットの情報だけで満足せず、現地に訪れてみて本当によかった。とびきりまぶしい景色に比して、本当に人が少ない。そこで味わえる不思議な感覚。世の中にはこんな空間があるんだ……と、帰宅した今でも思い出深いです。

 何より、キャラクター達をこんなに好きになれるとは思わなかった。「けものフレンズ」アニメ1期が感覚としては最も近いだろうか。元よりケモケモしいキャラは好きだったのでピッタリ。ダル姫の誕生日近いから公式Twitterの動き要チェックだな。

 ……行ってみたくなりました? そんなあなたにお得情報を2つご紹介。

 なんとお誕生日当日は入園無料です。もう一度言います。お 誕 生 日 当 日 は 入 園 無 料 で す 。さすがに目を疑った。なんかキャラクターとお喋りできるとか、サイドメニューが無料になるとか、そういうのじゃないんかい! 入園無料かい!

 ついでに伊勢志摩観光したいって方は「まわりゃんせ」の購入を強くオススメします。簡単に説明すると購入から4日間、パルケエスパーニャを含む様々な観光施設の入場(それぞれ1回)、ゆき-かえりの近鉄特急、一定区画の近鉄特急引換券4枚、さらに一部の電車とバスが乗り放題になります。お値段9,900円。少なくとも5,000円くらい旅費が浮きました。これもうバグだろ……

 最後に。冒頭でも述べた通り、先月はだいぶ心が荒んでいました。どうやって生きていけばいいのか、自分の将来に希望はあるのか、未だに暗中模索の中にいます。だからこそ、今回の初めての一人旅では、人との繋がりに救われる思いがしました。

 志摩スペイン村の魅力をたっぷり伝えてくれた周央サンゴさん、特急電車で座る席を間違えた時に「6号車やろ! 一番前や!(笑)」と気前よく教えてくれたおっちゃん、あたふたしている私を懇切丁寧に案内してくれた駅員さん、しがないオタクを太陽のように明るく歓迎してくれたキャストの方々。みなさまのおかげで、楽しい一人旅を過ごすことができました。

 ありがとうございます。もうちょっとだけ、生きてみます。

<オタクの伊勢志摩ひとり旅>