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ガーネット 誠実な愛

熟した柘榴のような赤い石。
柘榴石(ざくろいし)という和名を持つガーネットは一月の誕生石でもあります。
ガーネットはラテン語で「種」という意味の「granatus」に由来します。

ガーネットは屈折率が高く、その輝きは薄暗い部屋の中でもわかるほどです。
深い赤は情熱を思わせます。
それは、これまでの苦難を乗り越えてきたからこそ、自分を信じ、愛する人を信じる強さ。
どこまでも真っ直ぐな愛を感じさせる誠実な石。
今回はそんなガーネットにまつわる胸キュンストーリーです。


【こんなシーンでつけて欲しい☆妄想ストーリー】

今日は朝から雨。
お洗濯も乾かないし、買い物だって面倒だ。
結婚して10年。
慣れ親しんだこの家で、一人になるのは何年ぶりだろう。

彼の転勤が決まって、バタバタと準備に追われるうちに、気づけばもう彼は遠く離れた地へ。
あれから一週間。
初日に電話があっただけで、彼から何の音沙汰もない。

 「しばらくは仕事の引継ぎで忙しいから、連絡は出来ないかも。」
 そう話す彼に
 「平気。ハルが居るし、そこそこ私も忙しいの。」
 愛犬の頭を撫でながら笑って答えた・・・


「うーん。ほんとに連絡ない・・・。ハルぅ、電話もないよ~。」
愛犬の頭をもしゃもしゃ撫でると、ハルは私の手を舐めた。
子供もいない夫婦ふたり暮らしプラスわんこの我が家。
お互い仕事に趣味にと、自由気ままにやってきた。
それでも毎日同じ食卓で顔を合わせ、他愛ない会話を飽きることなくしてきた。
夫婦というより、友達や兄妹に近い感覚だ。
居るのが当たり前だった。

窓を叩く雨を恨めしく見ていたが、やっと重い腰をあげた。
「よし。ランドリー行こう!」

そこそこ混んでいたランドリーも、少し経てば2,3人が入れ替わるくらいになった。
することもないので、雑誌でも読みながら時間を潰す。

ふいに携帯のメッセージを知らせる着信音が鳴った。
彼からのメール。
「連絡しなくてごめん。こっちはだいぶ落ち着いたよ。そっちは大丈夫?」
久しぶりに見る彼のアイコン。
「うん。大丈夫。」
「そっか。良かった。」

はい終了。
こんなもんだよね?
いつもそっけないメッセージで、単語だけで終わることもある。
ま、それで問題はないんだけど。
一週間もほったらかしだもんなぁ。その後のメールがこれだけかぁ。
ため息。

するとすぐにまたメールの着信音が鳴る。
「今日はこちらは雨なんだ。そっちは?」
「雨だよ。ランドリー来てる。」
返信すると、すぐにまた着信音。
「そうか。」

携帯を閉じて本を開いたところで、また音が鳴る。
「ハルは元気?」
「元気だよ。」
「お散歩とご飯、よろしく。」
「うん。大丈夫。」

なんか。変なの。
暇なのかしら?
ちょっとおかしくなって、ふっと笑ってしまう。

そういえば出逢った頃もこんなやり取りを延々とやってたっけ。
電話でしゃべったほうが早いのにねって思ってたけど
それでも、短い言葉がなんだか可愛く思えて・・

乾燥が終わって洗濯物を畳んで、車に乗せた。
さっきまで強かった雨脚も今は小雨になっている。
家に着いて玄関に荷物を下ろしていると、チャイムがなった。
「宅配便でーす。」

配達員さんから小さな箱を受け取る。
差出人は・・
「?」
彼からだった。

リビングでカッターを手に箱を開ける。
中からは、さらに小さな箱が出てきた。
そっと蓋を開けると、そこにはブレスレットが入っていた。

手のひらに乗せてみると、それは赤いガーネット。
「・・どうして?」
嬉しさと驚きと疑問。

雲間から光が射してきて、部屋が少しだけ明るくなる。
赤い石に施されたカットが、光を反射してキラキラと輝いている。
「きれい・・・」

「あ!届いたって言わなきゃ。」
メッセージしようと携帯を取ると同時に電話が鳴った。
彼からだった。
「あ!もしもし、あの、さっきブレスレット・・・」
「あぁ、届いた?良かった。」

そっか、今日届く予定だったから気にしてたんだ。
それで何度も?
ソワソワ具合を想像して、またちょっとおかしくて笑ってしまった。

「ありがとう。とってもきれい・・・ガーネットだよね?」
「うん。」
・・・。

なんか言いなさいよ。
そう思ったけれど、もともと口下手な彼が、そんな洒落た言葉は言えるはずもない。

「それさ・・・」
「え?」
「ガーネットって石言葉が誠実っていうらしいんだ。」
「へぇ、そうなんだ。」
「こっちの先輩に聞いたんだけど、遠距離恋愛の恋人たちのお守りになるらしいんだ。」
「!!」

恥ずかしがりの彼が、一体どんな顔をしてそんなことを言ってるのか。
ものすごく見たい!
カメラに切り替えようかな。
そんなことを真剣に考えていたら

「いつも一緒にいたから、わからなかったけど。一緒に居れるって貴重な時間なんだな・・・」
呟くように言う彼。
「うん・・・そうだね。」

彼の気持ちが嬉しい。素直にそう思う。

「今度帰ってくる時は、あなたの好きなものをいっぱい作るよ!」
「うん、楽しみにしてる。」

電話を切って、もう一度ブレスレットを眺める。
誠実か。
石に意味があるなんて、知らなかった。
きっと、安心させたくて、伝えたかったんだな。

ハルが私の靴下を引っ張る。
「あぁ、はいはい。お散歩いこうね。」

ずっと一緒に居るとわからないこともある。
離れてみて見えてくることもある。
どんなことも二人にとって何かに気付き、もっと分かり合えるための出来事になるって
今は信じられる。
そうやってこれからも同じ時間を過ごしていこう。


今回もほんわかした胸キュンでした。
離れてみてわかることってありますよね。
一緒に過ごせる時間って意外と少ないんだと思います。
ガーネット。
大好きな石です。


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