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主治医が替わるとき、どうする?ー前編(ふりかえり卵巣がん日記 #88)

経過観察以降の生活の変化のことを、数回にわたって書いてきました。食事や運動まわりで思い出したことや追加があればまた書き足すとして、ここらで一区切り。通院事情に話を戻します。

「私は病院をかわることになりました」

えっと、2020年1月に経過観察になった...ってとこまでお話したんですね。この頃は2ヶ月おきの通院だったので、次は3月、ひな祭りのころでした。
2020年の春といえばコロナ渦スタート時。コロナっていったい何ぞや?と、皆がそわそわビクビク、でもマスクしてない人もけっこう多い…そんな時期でした。コロナは気がかりだけど、春の気配を感じれば気分は明るく「診察の後は、あの展覧会を見にギャラリーに寄って、ついでに近くでケーキも買って帰るか」などとノンキに構えて病院に向いました。

診察の結果、幸い何の問題もなく「次の診察は5月に」と主治医のA先生。A先生はしばしカルテをじっと見ていたパソコンから目を離し、こちらを向いて「私は病院をかわることになりました。でも、このままここで経過観察を続けていただければと思います」とおっしゃった。

青天の霹靂とはこのことです。思わず「えーーっ!!」と素直な驚きの声を上げてしまいました。続けて、心底ガッカリしながら吐き出す「ええぇぇ....」という私のため息のような声に、A先生は「ごめんなさい。うずらさんは、治療が終ったばかりで(病状が)落ち着いていないのに、中途半端な時期でこのようなことになってしまって」と、申し訳なさそうにおっしゃる。

クールなA先生にしては「ホントすまん」という感情のこもった表情を浮かべつつも、すぐに「次からはT先生という先生が担当になりますので」と事務的なやりとりに戻り、パソコンに向き直り予約の画面を操作するA先生。ちょ、ちょっと待って…「先生、どちらの病院に行かれるんですか?」と、せめてこれは聞いておかないと。A先生は「 U病院という病院です。○○市の」と教えてくれました。

頭が真っ白なまま、私は「これまでありがとうございました」と言うのが精一杯でした。そうか...先生の異動...「大学病院のドクターは転勤がある」ってイメージはなんとなく持ってはいたけど、それが今か…経過観察になって少しホッとして「このまま何とか無事に過ぎてさえくれれば」と思っていた矢先に。A先生とコミュニケーションが取れるように努力してきて、ようやくそれができるようになった実感が持てつつある時に...ガックリです。信頼してるドクターが居なくなっちゃうって、すごくショックでした。

みんなはどうしてるの?

病室を出て、ヘナヘナと目の前のソファに座りこみ、スマホを取り出してU病院をGoogleマップで探しました。○○市...行けないことはないけど、小旅行の距離だな...どうしたらいいんだろう。続けて「主治医 異動」などで検索して、ヒットしたコラムをいくつかババッと斜め読みしました。どうしようどうしよう。

しばらくソファでスマホに見入っていましたが、いつまでもそこに居ても仕方ない。心ここにあらずの状態でしたが、予定通り目指していたギャラリーとパティスリーに寄ってから帰宅しました。帰りの地下鉄では引き続きスマホとにらめっこ、発言小町やYahoo知恵袋に寄せられた、様々なケースに対しての意見などを読みまくりました。そうそう、軽く検索しただけで、このテの記事が次々出てくるんですよね…主治医の異動で困っている人、悩んでいる人がこんなにも居るのかと驚くほどでした。
病気としての「がん」にまつわることは、「がん情報サービス」以外のweb情報は一切見ない!と決めていた私ですが、この「主治医の異動問題」に関してはそれも解禁。ネットの記事や意見をすがるように見ました。

でも、そうしたところで、ここまで長年お世話になったドクターが替わってしまう不安はおさまるものではありませんでした。家に帰り、昨日まで楽しみにしていたお目当のケーキを食べても、味が分りませんでした。(つづく)


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