見出し画像

治療中のお楽しみイベントー前編(ふりかえり卵巣がん日記 #76)

こんにちは。最初に前回の「点滴室はどんなだった?」の付け足しです。

指先のしびれや爪へのダメージ軽減のために

薬の副作用のひとつに、指先のしびれがあります。これを軽減するために「指先を冷やすこともできますよ」と看護師さんから提案がありました。「冷やして血流を減らせば、指先への薬の影響も減らせるんです」とのこと。
幸い、私のしびれの症状は軽かったので冷やす療法は未体験ですが、調べてみるとどうやらフローズングローブなどを使うケースもあるようです。参考までに以下の記事をリンクしますね。こちらでは爪の障害予防策として紹介されていますが、しびれも同等に考えていいと思います。

話ついでに爪の障害についてですが、これも少しですが症状がありました。2クール目で「あ、足の親指の爪が黒ずんでる」と気づき、5クール目に突入する頃には手の爪がよく割れるようになりました。でも、こちらも有難いことに日常生活に支障がでるほど重くはならずに済みました。

あおいイナズマが僕をせーめーる♪

さて、快適な点滴室でしたが、ひとつだけ「どうしてもイヤ!」なことがありました。それは音楽。毎回、点滴室全体に流れるオルゴール音楽にうんざり...でした。
きっと「これ聞いてリラックスしてくださいね」と気を使ってくれてのことなんだろうけど...オルゴール音ってわりと高音ですよね、あの音が頭に響くというか。これを耳障りに感じてしまうのは私だけ?みなさん、だいじょぶですか?と他の患者さんに聞きたいくらいでした。
オルゴール音で奏でられる「青いイナズマ」や「Yeah!めっちゃホリデイ」などのJポップ...う、う、ウザイッ!(いえ、オリジナルの「青いイナズマ」や「Yeah!めっちゃホリデイ」は嫌いじゃない、むしろ好きなんですよ…オルゴールのあの音質が問題かと)イヤホンで音楽を聴こうとしても、耳栓をしても、どうやってもオルゴール音はそれらをすり抜けて聴こえてくるのでした。

いくつか手段を尽くして「防ぎようがない」と分った後は、耳栓で音量を絞ってしのぐことにして、あきらめました。そうは言いつつも、院内に投書箱なんぞがあれば「オルゴール反対!」と、投書したいくらいでしたけど…いやまて、病院HPのご意見フォームから送ればよかったのか。看護師さんに直訴するとかね(今ごろ気付いてどうする…というか、毎度のことながらそんなにムキにならずとも…ですが)。

オルゴール音をかすかなBGMとしながら、横になって「薬が効いてるイメージ」をしたり、楽しいことを考えたり(今夜は何食べよう?元気になったらどこ行こう?など)そうこうしてるうちに3時間半はけっこうあっという間でした。もともとボーッとするのは得意ですからね、前回も書いた通り、病院マターはせっかくの公認おサボりタイム。その時間にテレビとか見ちゃうのはもったいなく感じて、ひらすらゴロゴロしていました。

治療中の楽しみ

さて、半年間の抗がん剤治療中に印象に残る楽しいイベントが2つありました。

ひとつはラグビーワールドカップ。あ、競技場に足を運んだわけじゃなく、テレビで見てただけですが。2019年のグビーW杯は日本、いえアジアで初めての開催ということで話題になりましたね。

私はスポーツ観戦に興味が無く、それまでオリンピックもサッカーW杯もいつもスルーしてたのですが、どういう巡り合わせかラグビーW杯にはハマりました。やはり「半年の(通常よりさらに盛り多めの)おサボり奨励タイム」というゆったり気分が下敷きにあったからだと思います。「自国開催!めったにない機会ですよ!」と世間が盛り上がる様子に「なら見てみっか...」と見てみると、これが面白い。ルールが完全に理解できずとも大丈夫、フェアプレー精神にのっとり全身で闘う選手もみんなカッコイイ!そして、日本がいい感じに勝ち進んでいく過程にもドラマ性があり(この詳細は忘れちゃいましたが)、まさに「にわかファン」として(日本が出ない試合も)熱心に追いました。試合予定をネットで調べて日程をプリントアウトし、そのテレビ放送時間に合わせて毎日のスケジュールを組むほど。試合期間は9/20〜11/2でしたから、まさに治療真っ只中のタイミング、ラッキーでした。

W杯に合わせて、テレビで放送されたラグビー映画「インビクタス 負けざる者たち」も見ました。初見です。これ、ラグビー南アフリカ代表の実話が元になってるんですよね。マンデラ大統領が黒人と白人の対立と向き合う姿、そこでラグビーが大きな役割を果たす…感動的でした。「マンデラ大統領ってどういう人だっけ?」と、映画の原作になったノンフィクション本も読みました。

こういうふうに未体験のことから興味が広がっていくのって楽しいですね〜。これは長いこと忘れていた感覚でした。病気前の「アレやらなきゃ、コレ片付けなきゃ」とあくせくしてた時とは、時間の流れが違ったんでしょうね...。「今まで目先のことに気を取られ、目くじら立てて、楽しいことや大事なことを見逃したり、おざなりにしたことも多かっただろうなぁ」とちょっぴり反省しました。

治療が終った後、元の黙阿弥にならないように、こういう気持ちは忘れずにいなきゃとも。私なんぞがセコセコ焦ったところで、結果はそう変わんないって。この先はもっと、ゆったりと大事に時を過ごしていいんじゃないかな。時間の使い方や目を向ける方向を変えていきたいなと、そんなことも思ったのでした。

えっと、もうひとつは、水戸に遠足に行ったことなんですが…ここまでで長くなっちゃったので、この続きはまた次回に。 (つづく)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?