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そして今は(ふりかえり卵巣がん日記 #91*最終回)

さて、転院準備は滞りなく進み、再びA先生にお世話になることとなりました。

ウィッグ取れたんですね

転院先の病院に初めて行く日はちょっと緊張しました。A先生に「あのまま、あちらの病院で診てもらえばいいのに」とか言われたらどーしよ...などと心配で(笑)。結果、ほぼ半年ぶりにお会いしたA先生、そんな意地悪なことはおっしゃらず「あ、うずらさん昨日も会いましたね」的な、いたってフツーの態度で「その後いかがですか?」と。拍子抜けするほどトントンと前の状態に戻った感じでした。
「ウィッグ取れたんですね、よかったですね」などとも言ってくださるA先生。たぶん何十人、何百人という患者を抱えているドクターだから、私のことも覚えてないよねと思ったのですが、あれ?そうでもないのかな。

「あのー、やっぱりA先生に続けて診ていただきたいんです」と伝えると、それは全く問題無いとの返答、これを聞いて心底ほっとしました。やっぱりここに来てよかった...

これを書きながらハタと気づいたのですが、私は自分が「おなじみさん」的な存在でいることに、もともとすごく安心感を覚えるタチだったのでした。50歳をすぎた今でも、子供の頃から通ってる歯医者さんに時間をかけて通ってるし(もちろん代替わりはして、今は初代院長の娘さんが継いでいるが)、美容院も「ここ」と決めたら、長く通い続けるほう。近所のいくつかの個人商店に対しても同様で、「ここで買う」と決めたら、わざわざ遠回りしてでもそこに行く...。こんな調子だもん、そりゃ大きな疾患がからむ事案ならなおさら変化を受け入れるのは難しいわな...と、ひとり納得しました。

え、紹介状ってこれだけ?

話は前後しますが、補足的に転院事務作業まわりの覚書きを。まず「紹介状」についてですが、そもそも紹介状って...?とネットを見ると、紹介状=正式名称「診療情報提供書」だそうで、その名の通りこれまでの治療経過や検査結果、現在の病状や治療などが記載されている...とのことです。てことは、そこにこれまでのCTやらの画像も含まれるの?写真が入ったCDのデータとかも同封されてるのかな?と思ったのですが、家に郵送されてきた紹介状はペラっと薄い封筒(細長い、普通郵便定型サイズ)のみでした。外から触った感覚だとA4用紙が畳んで2、3枚ってとこかな。あらま、これだけ?どこの病院もこんなもんなのかな…必要データ、ちゃんと引き継がれるんだろうか?と少々気がかりでした。

私のカルテはどうなるんだろう?と、これも気になったので「転院したいのですが」と申し出た際、電話で聞いてみたところ、カルテは引き続きそのままキープされるようでした。病院スタッフさんからは「電子カルテなので、半永久的に保存されます」とのお答え。それが再び何か役に立つことがあるのか、そもそも今後開示してくれるものなのかどうか?は調べてませんが、転院することで、それまでのデータが全てなくなっちゃうわけじゃないのは、なんとなく安心しました。

そして今は

その転院からも2年半が経ちました。
A先生からは去年の夏「手術から3年経ちましたね」と、ここからは通常半年に1度の検診でOKの旨を伝えられました。でも、もう少し間をつめて検診したほうが安心かもねと、今は4ヶ月に1度くらいの割合で定期検査を続けています。

幸い、今のところ経過に問題は無く、仕事したりサボったりを繰り返しながら暮らしています。ありがたいことに、もう自分ががんを患ったことも忘れてしまうような感覚でほぼ毎日を過ごしていますが、「がん先生」からの宿題はまーだまだ、道半ば。がんに向き合った時間のなかで気づかされたたくさんのことは忘れずに糧にしていきたい…と思い続けています。だらだら夜更かししちゃダメよねとか、言いたいことはちゃんと伝えなきゃね、とか。いつもそばで「がん先生」が見守ってくれてるというか、「ちゃんとやってる?」と気にかけてくれているような感覚が常にあります。あ、ちょっと病気を持ち上げすぎかな(笑)。

さてさて、ぐるっと寄り道しつつヨタヨタと進めてきた振り返りが、やっと今につながりました…というわけで、ここで「ふりかえり日記」はおしまいです。
これまで拙い回想録を読んでくださった方、本当に本当に!ありがとうございました。うまくお伝えできなかったことも、反省もたくさんありますが、ほんの少しでも何か、お役に立てたことがあれば嬉しい限りです。
それでは、また!(おわり)

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....というわけで、「ふりかえり日記」は終わりましたが、「あ、あれ書いてなかった」と、フト思うこともあったり、日々、目にする情報でお伝えしたいことがあったり。なので、これからも体や生活のことを現在進行形でぽつぽつと書いていきたいと思います。(マメに更新しないかもしれませんが)


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