終遠のヴィルシュ 感想

記録として残します。ネタバレあり。

総評と、気に入ったルートの感想です。

ゲームサイト:https://www.otomate.jp/virche/



総評
 とっっっっっっっても、面白かったです。
 本当につまらないと感じるルートが一つもなく、常に続きが気になって仕方ない物語でした。
割と長めな共通ルートが一番平和でしたね。キャラ選択画面がまさに「絶望への扉」でした。
たくさんの散りばめられた伏線をガッと回収していったアドルフ編の疾走感は最高です。そしてこれだけ複雑な物語でありながら混乱せずに読めるような丁寧な描写もとてもよかったです。

 キャラクターの個性についても個人的にすごく好きだなあと思います。リュカの一途さ故の操られやすさ、シアンの賢さ故の無情さなどそれぞれに強い個性とその裏があって、それが人間臭さを出していて、とても魅力を感じました。
システム面も洗礼されていましたし、何よりイラストが綺麗!どのスチルも画面を凝視してしまうほど美しかったです。特にリュカ先生のスチルは美しさが切なくて涙が止まりませんでした。
 
 ただ、人を選ぶゲームであることは間違いないと思います。SNSで散々言われているBL要素は言わずもがな、救済ルートとはいえ完全なるハッピーエンドはなかったと個人的には思うので、苦手と感じる人は一定数いると思います。とはいえ刺さる人にはとにかく刺さる作品でした。
 あとはキャラクターの扱いの格差ですね。。。これは設定的に仕方ないのかなと思うところもありますが、リュカ先生の「最強の駒」感が否めないのは個人的に複雑でした。

リュカルート
 リュカ先生は一番に選んだキャラクターでした。そして一番辛かったです。
穏やかで一途な先生ですが、その性格全てが裏目に出ているストーリーがとにかく辛かったです。「頑張りましたね」と気遣ってくれる先生が一番その言葉を望んでいた。そんな事実がひたすらに切なくて、助けを求めたくてもできなかった気持ちを感じ取っては涙が止まりませんでした。

 個人的な感想ですが、主人公とリュカ先生は相性が最悪だなと思います。主人公は自分から行動を起こしにくい性格ですし、リュカ先生も抑え込むことが得意すぎて、それゆえにきちんと「結ばれる」ことができなかったのかなと思います。
「リュカ救済ルート」よりも「アドルフ救済ルート」での方が救われちゃってますからね。。。でもそんな最悪な相性な二人で絶望にもがく姿はなんともいえない美しさがあったと思います。

 アドルフルートの世界線では幸せになって欲しいですね。
あとはもっと先生の可愛い怪力エピソードが見たかったなあ。ファンディスクに期待です。

アンクゥ・アドルフルート
 このゲームをプレイした人にアンクゥが嫌いなひと、絶対いないでしょ。
そんなキャラクターでした。

 アドルフについては他のルートでの出番が全体的に少なくて、主人公に対して好意がないのかな。。と思ってたら三幕に入った途端にビッグラブをぶつけてきてびっくりしました。しかも片思い期間2年って。。。たった2年でアンクゥになるまでの執着を見せるって、相当重いですよね。全然「普通」じゃないです。でもそこが彼の魅力だったと思います。
 イヴとアンクゥの絡みもとてもよかったですよね。今思い返してみればあの時のアンクゥはアドルフそのものだったと思います。自分の「死の番人」設定に恥ずかしさを見せたりと飄々として見せて実際はかなり常識的なアンクゥが終始たまらなく可愛かったです。アドルフの家を物色するシーンのような「アドルフ」らしさのないところもありましたが、5年後の柔らかくなったアドルフを見たら「ふ〜んなるほどね。」となりました。

 あとこれは誰しもが思ったことだと思うのですが、「アンクゥの救済ルートは。。。?」と言う点についてです。アンクゥがアドルフであることが判明した時点でなんとなく察してはいましたが、アドルフ救済=アンクゥ救済みたいな感じなんでしょうね。こればっかりは。。。アドルフを差し置いてアンクゥと幸せに。なんてことにはできないでしょう。
 勝手な解釈ですが、我々プレイヤー並びに主人公が「アドルフ」と「アンクゥ」を別人として認識しており、アンクゥ自身も自分が「アドルフ」ではなく「アンクゥ」であると認めていました。
ということは、今アンクゥの目の前にいる「主人公」もまた、彼にとって以前に救えなかった「主人公」とは別の存在として認識していたのかもしれない、と考えました。
この辺の解釈はプレイヤーそれぞれで違うと思いますし正解はないかなと思います。単純に自分自身と結ばれたからそれでいい、と思ったのかもしれませんし。いずれにせよ切なくてもどかしいですが。。。

 このルートは全員の救済ルートであることもあって、他のキャラクターとのわちゃわちゃ感も楽しかったです!共通ルートの感じがとにかく好きだったので、もう一度同じ感覚を味わえたのは、それまで絶望し続けた甲斐があったなあと思わせてくれましたw
 シアンとリュカが手を組むシーンは個人的に胸熱でした。。。この二人実は相性いいですよね。リュカルートをプレイした時に「この人を救えるのはシアンだけだな。。」とずっと考えていたのですごくすごく嬉しかったです。
ジャンの開き直りには呆然でしたが、イブとヒューゴの関係もドロッと感がなくて受け入れやすかったですし、全体的にすごくスッキリした終わり方でした。救済ルートだもんね。

 あとは最推しのリュカ兄妹ですね。。。この二人の笑顔が見れたことが何より嬉しくて、一番泣きました。とにかく幸せになってほしい二人でしたから。。。というか、リュカ救済ルートでこれやってよおおお〜!(リュカ推し女の叫び)ファンディスクに期待です。。。。


雑記
 色々と書きましたが、本当に面白い作品だったなあと思います。今どきこういうノベルタイプの恋愛ゲームって流行らないじゃないですか。私自身寝ずに最後までプレイできるものってほぼないのですが、この作品は1秒たりとも目を離せないくらいに面白かったです。買って良かった。
絶望がテーマなこともあってストーリーがかなりしんどかったことも事実ですが、そんな中にも愛はちゃんとあって、ちゃんと恋愛ゲームしてたなあと思います。
そして何度も書きますが、ファンディスク、待ってますから!!!

 この感想を書く前に他の方の感想記事も読んだりしたのですが、結構アムネシアファンが多くて嬉しかったです!ウキョウ推しの自分にとってアンクゥはとにかく刺さりまくりましたね。。なんならウキョウルート以上に泣きました。どちらも素敵な作品だったなあ。

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