久しぶりに胸がキュ~ンとなったら鏡に向かって微笑んでみてください。そこには新たなあなたの姿が写っています。恋 7/4
木葉は電車を降りていく優斗の後姿を見送った。電車はゆっくりと動き出しホームを歩く優斗を追い越し進み始める。木葉に気付いた優斗は木葉に向けて小さく手を振る。木葉も優斗に気が付き手を振り返す。
「優斗行ってらっしゃい・・・・・・」
「木葉行ってくるよ」
こんな時間が二人は気に入っていた。お互いの気持ちが近くにあることを確認できるからだった。
「木葉、今日さぁ仕事が終わった後軽く一杯いかない?」
「あぁ、今日かぁ・・・・・・、やめとくわぁ」
「どうしたのよ? 最近仕事が終わるといつもそそくさとかえちゃうけど、いい男でも見つけたの?」
木葉は会社の同僚に誘われたら以前は絶対に断ったりしなかった。それが最近では誘われる前にそそくさと帰っていた。そんな木葉の様子が同僚に不信感を与えていたようだ。そして男でもできたのかという問いに木葉は、ドッキとして目を真ん丸にしながら「まさかぁ・・・・・・」と同僚を見ながら答えたのだった。
「図星かぁ、木葉は本当にわかりやすいもんなぁ・・・・・・」
「エッ? うそ? わかる? なんで?」
「ほらね! どんな人なの? 木葉教えなさいよ」
「う~ん、いい感じの人よ」
「だからぁ、どういう風にいい感じなのよ? じれったいなぁ、ヨシ! 今夜は木葉の為に一席設けよう」
「ェええ、ちょっと待ってよ。急にそんなこと言われてもぉ・・・・・・」
「いつものメンバー誘っておくから、じゃぁね。たのしみにしてるよぉ~」
木葉は完全に押し切られてしまった。最近毎晩のようにスカイプを通じて優斗との一時を過ごすのが日課になっていた木葉にはちょっとこの誘いは二人の時間に水を差すもののように感じた。
続く
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