露出した服装をしている方が悪いとかいう謎の議論について

問題提起


昨今のニュースで、痴漢などの性的な被害に合った被害者に対して「露出の多い服装してる方が悪い」と言ったコメントと、それに対する批判コメントなどで賑わっているところをたまに見る。

直近だと韓国のDJさんが胸部を触られたとかでこの議論が白熱していたわけだが、この問題について少し綴ってみようと思う。

DJ SODA、加害者が不起訴処分…セクハラ騒動後 “加害の国” へのカムバックには厳しい声も【下半期の “事件”】(SmartFLASH) - Yahoo!ニュース

法律の問題範囲


と言っても結論はシンプルで、触った方は罰せられるに値するというただそれだけだ。なぜなら、それは、わいせつ行為であり、現行法(刑法)に反しているのだから。

それ以上でもそれ以下でもない。悪法問題でも出して来ない限り、加害者は法に反したので罰せられ、被害者は法のもと保護されるに値する。

つまり、一々道徳的・倫理的な善悪論を出すまでもないという話だ。
道徳的・倫理的な善悪論は極めて曖昧、若しくは、存在するかどうかも怪しいものだ。故に、法的判断に基づいた善悪論に(それが可能であるなら)依拠した方がよい。

私たちは法秩序のもとで生活しているのだから、法秩序を逸脱したのであれば、それは罰せられる。至極突然の帰結だ。
(余談を挟むが私は法秩序と秩序は使い分けており、秩序からの逸脱については肯定的なものと認知している)
よって、「露出している方が悪いんだ」といくら言ったところで、やったことは犯罪以外の何ものでもない。

想定できる批判への応答


私のこの主張に対して、「その法秩序が無ければ、わいせつ行為を容認しているのか」との批判を受けそうだ。

しかし、法秩序の無い場については、その行いが悪いかどうか以前に、そもそも法秩序が無いことに問題がある。よって話の次元が異なる。
(ここで言う法は、法律も含めた民族共同体における決まり全般を指す)

さらに、極端な例を出してみよう。
法秩序・法体系はある。しかし、そういった強制わいせつ行為を取り締まる法が無いといった場合を想定してみる。

これにも先程の応答が使えて、要は不完全な法秩序であることに問題がある。
更にもう1つ付け加えるなら、そういったわいせつ行為を取り締まる必要がその共同体において必要が無い、つまり、その共同体においては、それが「問題行為とはならない」という文化で生活している可能性も想定できる。時代や国、地域が異なれば、何事も善し悪しは異なるものだ。

事実ベースにおいての歩み寄り


以上のように、「露出しているから悪い」などと言う話には、到底理解ができない。
悪いのは、罪を犯した側である。

さて、これで話を終わらせるつもりはない。なぜなら、「露出している方が悪い」論に、少し耳を傾けるに値する指摘がある。

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