慕情

忘れたくない


いつの間にか現実に埋もれて

匂いも形も温かさも分からなくなって

大事にしようと

思い出そうも

微かな残像


持て余した感情は 

時間など引き留めてくれやしない


涙を零そうも

吐き出す場所も無いまま

崩れてしまいそうなほど

募るばかり


掴んだ光

開いた手

望みを賭けた 淡い温度と

老いて濃くなるシワ だけ


霞んで消え入る

掴みかけた

わたしは何を



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