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エアフォースがほしい

NIKEのエアフォースがめちゃくちゃ欲しい。どれくらい欲しいかというと、11000円くらい欲しい。NIKEのエアフォースが11000円だからだ。でも、11000円以上の価値をエアフォースは持っている。ZOZOTOWNでは常に1位の座をキープしていたし、電車に乗っていても絶対に一車両に2人はエアフォースを履いている人を見る。それくらいエアフォースは世の中を席巻しているし、絶対マリトッツォよりも流行っている。タピオカにも負けてないと思う。エアフォースを履いている人を見るたびに、羨ましいなぁ、ほしいなぁ、と思うし、エアフォースを見て、冷奴食べたいなぁ、と思う人はいない。

エアフォースの魅力は、なんと言っても、無駄のない真っ白なデザインだ。どんな服を着ても大抵は似合うだろうし、ダボダボのジーパンとエアフォースの組み合わせは、なんかダボーンとして1番かっこいいと思う。そんなファッションができるのはエアフォースの重厚感のある見た目のおかげだ。新品ホヤホヤの真っ白なエアフォースもかっこいいけど、3ヶ月くらい履いて、いい感じにくたびれたエアフォースは尚かっこいい。エアフォースをいい感じにくたびれさせるためにエアフォースを履くという期間があってもおかしくない。とりあえずくたびれたエアフォースは最強にかっこいい。

でも、ぼくは買うのをためらっている。漢字で書くと躊躇っている。です。って言うくらいどうでもいいことかもしれないけど、ここ6ヶ月くらい悩んでいる。そして、悩みすぎた結果、流行を逃そうとしている。エアフォースと共にあらんことを。という言葉もあるくらいだし、エアフォースは永久に不滅かもしれない。でも、街中でたっくさんの人が履いているくたびれたエアフォースを、今更くたびれさせ始めるのはちょっと遅くないだろうか。エアフォースをくたびれさせるレースにぼくは乗り遅れている。周回遅れかもしれない。お洒落なあいつは二足目のエアフォースをくたびれさせ終わるところかもしれない。悔しい。しかし、何においても、新品のシューズを履き始めるのは、ウキウキとワクワクだけでなく、「こいつの靴、新品やん」って思われることへの羞恥心も少なからず伴う。誰も気にしてないかもしれないけど、新品のシューズを履いていくことは、じゃがりこを食べながら歩く、くらい目立つ気がする。知らない人だったら、「こいつの靴、新品やん」ってすれ違いざまに思っても、3秒後には忘れるし、「こいつのじゃがりこ、期間限定やん」ってすれ違いざまに思っても、2秒後には忘れると思う。でも、その2、3秒が恥ずかしいって思うときもある。NIKEさんが、くたびれたエアフォースを新商品として売り出せば、結構売れるかもしれない。いや、売れない。

結局、くたびれたエアフォースを履くことは、くたびれるまでの修行に耐えることのできた者にしか与えられない特権なのだ。そして、いつかぼくもその修行を始める日がくる。どうか、「今更かよ笑」とか思わずに温かい目でぼくのエアフォースがくたびれる過程を見守ってほしい。

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