H×Hガチ考察 『ノブナガ=ハザマという男』

ノブナガ=ハザマ。

幻影旅団の初期メンバーであり、ウボォーギンと共に特攻役と言われる一種の攻勢要因だ。

“盗む”ことを大前提とする旅団において、戦闘力は本来であれば二の次である。だが実際には、幻影旅団はその高い戦闘力を各所で評価されており、カキンマフィアにおいては「野生の火竜」とまで称されていた。

今回は、その旅団においても特に実力を勘違いされやすい、所謂過小評価されているノブナガという男についての考察を進めていきたい。

『ノブナガは強化系?』

まず、pixivを初めとした各種媒体において彼はその系統を強化系と書かれている。それは何故か。

その理由は、一冊の本にある。過去に集英社から出版された、よくあるキャラクター読本の一種であるそこには、未だ作中で能力をきちんと見せていない人物に関しても系統が記されている。当然、半ば公式とも言える出版社から出された攻略本めいた本に書かれた情報である。恐らく、大半の読者は多少の違和感はあれど、それを信じた筈だ。

だが、そこには致命的に肝心な部分が抜けている。

「この本は原作者である冨樫義博氏による監修がなされているのか」

無論、否である。この手の読本、特にバブルな雰囲気が残っていたあの時代においては、人気の出た漫画、特にメディアミックスによって大ヒットした作品においては何を出しても売れた時代がある。それゆえに、この本を出した人物は冨樫先生本人による監修をしなかった。いや、先生本人が興味がなかったと言ってもいい。

冨樫義博氏は一種の天才である。世間からどれだけのバッシングを受けようとも、彼の才能が漫画という媒体を扱う業界においてぶっちぎりで凄まじいのは言うまでもない。画力、センス、構成力、あらゆる点のそれぞれで彼に勝る作家はいても、全てにおいて彼に勝る作家は存在しないだろう。そこまで言えるほどの天才である。

そしてだからこそ、彼はメディアミックスに興味を持たない。それは、彼が自分の作品に他者の意思が介入することを極端に嫌うからだ。メディアミックスである時点で自分の作品を用いた別作品であると認識してしまえば、例えどんな扱いをされようともそこに掛かるストレスは最小限で済む。

そうでなければ、恐らく彼はアニメにおける台詞回しにさえ口出しせざるを得なくなるし、あまつさえアニメーションの原画を自分で描かねば気が済まなくなるだろう。

だからこそ、あの読本は嘘っぱちであると言える。そこにはわたしの知らない苦労があったのだろうが、そこに込められた情報には冨樫先生の意思が一切入っていないからである。

……さて、話を元に戻そう。ノブナガが強化系であるという話である。果たして本当にそうだろうか。まずは、ここのシーンを見ていただきたい。

ここがどこのシーンかわかるだろうか。

記念すべきノブナガ初登場でのシーン、その直後である。ここのシーン、ノブナガとフランクリンは喧嘩しているが、その喧嘩の理由を思い起こしてもらいたい。

会話を抜粋すると以下のようになる。

ノブナガ(以下ノ)
「13人が一堂に会するなんてナァ何年振りだっけか」

フェイタン(以下フェ)
「3年2ヶ月。と言ても、あの時とは2人面子違うね。4番と8番別の人に変わたね」

フランクリン(以下フ)
「マチ……4番(ヒソカ)の野郎は……今日はちゃんと来るんだろうな」

マチ
「知らないね。あたしに聞くな」


「お前の役目だろ」

マチ
「来い」と伝えただけだ」

フェ
「ワタシ、ヒソカ嫌いね、何故団長アイツのワガママ許すか?」


「腕がいいからだろ」


「アイツの“伸縮自在の愛(バンジーガム)”はよーく出来てる。ありゃ戦りづれェぜ正味な話」

フェ
「それが何か。団長がヒソカの事怖がてる言うか。許さないよ」


「そーじゃねェけどよ」


「買いかぶりだ。大したことねェよあんな奴」


「口だけなら何とでも言えるからなァ」

からの

である(笑)

ここで上記の台詞を思い返してもらいたいのだが、ノブナガは会話がいちいち噛み合っていないのである。自分から話題を振っておいて、ほぼ全員がヒソカへの苛立ちを募らせる中、彼は一人でヒソカの実力を評価している。

ここにおいても同じである。捕まったゴンが抵抗し、そこを拷問しようとしたフェイタンにぶちギレて止めている。これも、旅団内においては実に身勝手な話である。確かにノブナガは旅団においては比較的良識があるタイプではあるが、ここにおいてゴンは明確に敵である。その敵を拷問しようとしているフェイタンは何一つ間違っていないからだ。

さて、わたしの言いたいことが分かっていただけただろうか。彼はひたすらにマイペースなのである。そしてそれが全てではないとはいえ、H×Hを読んでいる方ならばこのマイペースという言葉に覚えがあるだろう。

そう、先程も喧嘩の原因になったモテ男ヒソカがもたらした、このオーラ別性格分析である。

必ずしもそれだけとは限らないものの、作中においてはこの性格診断が存外当たっている。わかりやすいのはパームだが、それ以外のキャラクターも案外当てはまっているので、機会があれば性格分析で見る系統診断をやってみたい。

さて、この診断とわたしの上げた言動によればノブナガは操作系に当たる。では彼の念能力は操作系なのか。まずは発動条件などから見てみよう。

わかりやすい画像があったのでこちらを使わせて貰うが、ノブナガは相手を切る、或いは切ろうとする際に必ず「○○したら切る」と宣言しているのである。これほどわかりやすい話はないし、さらに下記の内容を足せばノブナガの能力は「指定した条件を破った相手の首を切り落とす能力」であると言える。

そのもうひとつがこれである。

少し見づらいが、左に書いてある他の団員によるノブナガの能力の評価である。すなわち、タイマン専門もとい限定条件付きとある。これらを組み合わせれば、先程わたしがまとめたのがノブナガの能力であることが窺い知れる。では、何故それで彼が操作系であると言えるのか。

それではまず六性図を見ていただこう。

ここの操作系を見ていただきたい。

物質や生物を操る、とある。作中で登場した代表する能力がシャルナークの“携帯する他人の運命(ブラックボイス)”やイルミの針である為、イメージしづらいかもしれないが、そもそも操作系=他人を操作する能力というのが誤りであるということだ。では何故それらの能力を使う場合がメインとなるのか。

簡単な話である。決まれば一撃で勝負の決まる能力ならば、そちらの方がいいと誰もが考えるからだ。

さて、これらを踏まえた上で考えてみると、ノブナガの面白い能力が見えてくる。クラピカの修行で師匠であるイズナビが問いかけたように、何でも切れる剣は具現化出来ないと彼は告げた。単に切れ味のいい刀を具現化するならば、初めから名刀を使えばいいと。

ノブナガは、まさにこの後者である。そして彼は生来肉弾戦を主とする人間だった筈だ。そんな人間が「操作系なら相手を操作する能力を開発した方がいい」と言われたところで、素直に従うとは思えない。なので、ここからはわたしの想像と考察が入り交じる。

道具を自身の肉体の延長と見立ててオーラを這わせる技術を“周”という。オーラはフィルターであるというわたしの考察通りであれば、これによって原始的な武器はシンプルにその性能を跳ね上げることとなる。操作系が特定のものを使うことで能力を強めることはヨークシン編でも触れられているが、これはノブナガの刀にも当てはまるだろう。

そして彼が用いた条件。これはそのまま制約と誓約として作用する。
つまり
・条件を指定
・それを破った相手へ自動で抜刀及び斬首

これらを条件として考えれば、自ずとこのシーンで言われている「つーか これが限界」という内心が別の意味に聞こえてくる。

放出系に適正のない彼にとって、円の距離はここが限界であると同時に、この距離は彼の刀が届く距離でもあるのだ。であれば、彼のあの台詞はそもそもが射程距離そのものを表現しているとも言えるのだ。

そして彼の能力は、実はここでは発動されていない。発動に必要な条件を満たしていないからだ。つまり、ノブナガにとって“円”は単なる能力の構成要素ではないことがここで示されている。ノブナガは自らの抜刀能力以上に、この“円”を利用した自らの剣術をも頼りにしているのだ。

だがそれは同時に、彼の危うさ(リスク)をも示している。なぜならば、オーラを広げるということは同時にオーラによる防御そのものも出来なくなることと同義だからだ。

だからこそウボォーギンはノブナガと戦いたがったし、実際それによって背後を固められたノブナガは無敵を誇っただろう。

そしてこの能力の怖いところは、ノブナガは戦闘において常時“硬”で挑んでくるのと同じであるということである。しかも肉体以上に強く、鋭い名刀で、だ。

これを防ぐのは生半可なことでは不可能に近い。つまり、ノブナガの刀は理論上「何でも切れる剣」に近い性能を持っているということなのだ。

ノブナガはウボォーギンの死に涙を流した。これはクロロを除けば団員では彼だけである。それだけウボォーギンを頼りにしていた現れでもあるし、事実そのことを暗に彼は告げている。

優しさという名の独善性を持つ男。それがノブナガ=ハザマという男なのだ。

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さて、H×Hガチ考察、今回も楽しんでいただけたでしょうか。

すでに考察として述べられている内容が大半でしたが、どこの考察においても彼を強化系とするのが大半でしたので、わたしは彼の系統と、それに関する根拠を中心とさせていただきました。

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次回の考察は『H×H世界で鍛えれば怪力に!?』です!

それではまたお会いしましょう♪

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