H×Hガチ考察 『ノヴ──孤高な強者』

主にこの辺のシーンが原因で「豆腐メンタル!」と呼ばれている彼ですが、本当にそんな人間なのか?

今回は蟻編において大活躍をしたハンター協会屈指の強者 ノヴ について考察をしていきたいと思います!!

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まず彼について言える点、それは怜悧にして慎重。かなりの理論派であるということです。

ハンター作中ではよく使われるこの会話の背景における白黒の表現。ノブは基本的に自信をもって説明をし、その上で最大限あらゆるものを利用する思考を持っていることが会話の端々から伺えます。

後にこの時点での“数を間引いていく作戦”そのものは予定よりも早い王の誕生によって瓦解してしまいましたが、この時点において被害を最小限に抑えた上でキメラアントそのものを殲滅することを考慮する上では、ノヴの提案にはリスクもほとんどなく、むしろ一匹でも多く数を減らさねばならないこの段階においては最適解でもあります。

そしてここで注目してもらいたいのは、この後の画像にある『ノヴとモラウのコンボが非常に凶悪』なこともそうなんですが、会長自身は作戦そのものをノブに任せていた節があるということです。一種の参謀役ですね。なにせモラウが言うとおり、網と餌を分断するにしてもこのコンボがあれば強すぎるから十分ですので。

人間、足りなければそれを補おうと考えることは誰しも出来るんですが、足りていることに追加して補強するのは実際かなり難しいんですよ。

それではノヴとモラウのコンボをご覧ください。
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強すぎるやろ……(小並感)

このコンボを説明すると、まずモラウの能力で煙を可能な限り広範囲に広げそこにモラウ自身のオーラを混ぜることで擬似的な“円”を作り出します。

そして煙を広げた範囲に事前に仕掛けておいたノブの扉をモラウの合図で開くことで相手を落として移動させます。落ちた先にはウッキウキの会長が待ってます(南無)

とまあ、ぶっちゃけ通常ならピトーに挑むまでにこれらの蟻を処理していく上でかなり効率的な作業なんですよね。会長はついでに実戦経験取り戻せるしで一石二鳥なのです。

──ところが、王は予定よりも遥かに早く目覚めてしまった。護衛軍一匹の相手をするにもまずは雑魚の蟻達を倒さねばならない段階だったので強硬突入することも出来ず、結果としてキメラアントはその活動範囲を世界中に拡げようとします。

が、そこは優秀なハンター達。自分のフィールドへと蟻達を誘い込むことに成功したハンターらはあっさりとキメラアント達を迎撃、あるいは討伐することに成功します。これは特別他のハンター達が優秀だったというのではなく、そもそも念能力はその性質上“迎え撃つ”ことと相性がいいのです。原作で弱いと言われることの多いスクワラやシャッチモーノなんかもその手合いですね。

さて、とはいえその他のキメラアントと王及び護衛軍は文字通り雲泥の差があります。戦力として挑むには急拵えではとても対処できない。そこでネテロは交渉を経て、どちらに転んでもいいように対策を打つと同時に、自らの長年願ってきた夢を叶えることとします。

それは図らずとも王を直接見たコルトの言葉によって証明されました。

ネテロが叶わぬ願いとして抱いていたのは、言うまでもなくかつてのリベンジ。そう、暗黒大陸で出会ったあまりにも巨大(デカ)すぎる理不尽とも言える力の差そのものでした。

閑話休題。

話をノヴに戻しましょう。各国に散らばったキメラアントは他のハンター達に任せ、ネテロ会長を筆頭とした討伐チームは一路東ゴルトー共和国へと向かいました。

引き続き間引きをしながら、当初はノヴとモラウも会長の指示通り作戦を進めていきます。

作戦はこうです。
・2人ずつ3手に別れて護衛軍を王から引き離す
・王を倒すための奇襲は建国記念大会前夜0時ジャスト

この為にネテロは古い知人(ゼノ)へ会いに行き、同時に自らの体内に“薔薇”を仕掛け東ゴルトーで潜伏し精神統一の行を行います。

そしてノヴとモラウは当初暗黙の了解として選別の過程で生まれる犠牲者を織り込んでいましたが、これをキルアとゴンによって妨害され作戦の過程そのものを変えることとなります。

この辺の過程はナックルとシュートの会話によって明確にしていますね。犠牲は最小でも500万、と。

過程の変化によってノヴとモラウは首都ペイジンを包囲します。案の定“王の安全”を第一にしたピトーらは自らの人形を首都に終結させてモラウらの排除を狙いますが、戻ってきた師団長級であっても敵わない二人の実力に忸怩たる思いを溜めていくだけになります。

……そして、王がコムギとの対局中に自らを傷つけたことで状況が変化。“円”による警戒網と、人形による攻撃のどちらもが出来なくなります。この機会に乗じてノヴは最も危険な、ですが絶対に必要な手だてを打つために単身王宮へと向かいます。それは皮肉にも、かつて冷徹に見捨てんばかりの言葉をぶつけたゴンとキルアと同じ恐怖を味わうことへの道筋でもありました。

ノヴが持つ能力の応用力は作中でも再三説明されているほどに高く、その実力も踏まえた念能力者としてのレベルは作中でも最高レベルと言えます。

この能力の凄まじいところはまさにここでしょう。念空間とは通常閉じられた、いわば閉鎖していることが大前提とされることが多いのですが、ノブはそこに扉を設けることでこの能力を実現しています。

この扉をつけること自体がそもそも念空間という概念を考える上でもかなりとんでもないことなのですが、その為にはまず念による空間とは何なのかの考察をここでしてしまいましょう。

『念における“空間”。放出系と具現化系の違い』

まず、念能力において空間系と呼ばれる能力はいくつかありますが、分かりやすい能力としてグリードアイランドの『同行(アカンパニー)』があります。これは一種の放出系能力であり
・移動範囲をグリードアイランド内に固定
・マーキングをバインダーに依存することで簡易化
することで発動条件をかなり緩くしているのがわかります。では、なぜこのようなことが念能力で行えるのか。それは以前にも話した、念能力の透明さにあります。

オーラとはフィルターであり、その性質は基本的には無形無性質です。そこに様々な意思が介入することによってオーラは形を持つのですが、これらは常に影響を受け続けていることをも表しています。

マーキングとは謂わばその極致であり、無意識に残してきた自らの意思が介在したオーラを頼りに指定した場所へと自らを移動させることが念能力による瞬間移動です。能力としてはジョジョ第6部のキッスに近いとも言えるでしょう。要するに、離れたものを元に戻す能力を利用したのが放出系による瞬間移動なのです。

次に具現化系ですが、空間とは漠然とその場に存在するものであり、それらを具現化として構築するには単なるイメージ修行では行えません。ではどうやって具現化するのか。ここからは推論になりますが、空間そのものを理論化し証明してしまえばいいとわたしは考えています。

神字という存在があります。オーラを込めた文字によって念能力の発動を補助したり増強したりすることが可能な文字ですが、オーラを捉えることに長けたこの文字を利用することで空間そのものを具現化することが可能となる筈です。

恐らく、本来具現化系による念空間は理論化できないほど無意識の産物であると思われます。これは念空間を用いる能力者の殆どがシンプルな思考を持つ幼児やヂートゥといった人物に限られることからも見て取れます。

ですが、ノヴはそれらの人物とは対極にいます。これはすなわち、目で確認できないものを物理学などの世界で数式によって解くのと同じく、証明することによって逆説的に存在を立証することと同じであると言えるでしょう。

とはいえそれをやろうとするにはあまりにも莫大な知識と理論的応用力を必要とします。例えば自身の体内に無限の空間が広がっている、とイメージしてそれを実行するなら、念空間を創造する難易度としては比較的簡単かもしれません。

ですが、どこにあるとも知れない空間そのものを自らのものであると存在を証明し、あまつさえ利用して見せるほどの頭脳と想像力を持つ人間は、原作でもノヴただ1人です。

『四次元マンション(ハイドアンドシーク)の凄まじさ』

この能力の凄いところは、能力の証明に想像力だけでなく論理的数学的思考を用いている点です。そして後付け的に作り上げた空間であるがゆえに、ノヴは自らの能力を遠隔発動させるという離れ業を成功させています。

それが、このマーキングです。

神字と思われる文字で書かれたオーラによるマーキング。これが、ノブの能力を証明するアイデンティティでもあり、同時に遠隔発動する為の文字通り鍵でもあります。

ノブの能力である四次元マンションは、上記の画像でも示した通り無数の出口、数としては最大32まで作ることが可能です。そしてその出口となりうるのが上記の画像にある神字そのものです。

この空間がどこにあるかを証明するのかを示す鍵がマーキングのみ、というのが、擬似的な瞬間移動を可能としています。

その距離は扉の数に制限されるものの、ほぼ無制限でもあります。オーラによって描かれたマーキングの制限時間によるものなのかもわかりませんが、ノヴはさらにマーキングがない状態でも何時でも念空間に入れるマスターキーの具現化にも成功しています。

これによってノブは中において鍵である神字を描く必要なく、これまでに自身が外で書き記したマーキングへと移動することを容易にしています。

……さて、それだけ理論派であるノヴが何故ピトーのオーラを前にしてあれほどまでに崩れ去ってしまったのか。あの時の状況を振り返ってみましょう。

王宮近く、叶うならば少なくとも王宮内に自らのマーキングを残して奇襲する。その為に、警戒の薄れた機会を利用して王宮へと向かったノヴ。

内部構造を既に調べていたことにより、最低でも中央階段付近にマーキングを残すことを目的として潜入した中で攻撃用の能力応用をも見せつけましたが、この時点で彼の恐ろしい所はこれを殆ど“絶”で行っていることです。

単純な話。ノヴほどの能力者であれば単純な徒手空拳でもキメラアントの兵隊程度を始末するのは素手でもよかった筈です。しかし、ここでは自らの念空間を応用した攻撃によって相手を始末している。これは言うまでもなく、すぐ近くに王と護衛軍がいるからに他なりません。気配の乗りやすい全身へのオーラ付与は、このタイミングでは自殺行為にすらなりかねません。その点、具現化した念空間であれば既に構築済みですし、そもそもこの攻撃も「開いた扉に相手を挟んで思いきり閉じるのと同じ」と巷で言われている通り、本来は攻撃用でない念能力を攻撃として利用しているに過ぎません。

そして実はわたしも先日まで勘違いしていたのですが、ノヴが精神をやられてしまった原因はピトーではない可能性が出てきました。

そしてここが、問題のノヴがやられたシーンです。

わたしはこれまで、どこか無意識にノヴはピトーのオーラに当てられたと考えていました。

ですが台詞の上ではそういった点はなく、むしろこの後キルアが「コルトってやつが言うには恐らくプフってやつのオーラにやられたんだと思う」とすら言っています。

ではなぜピトーと勘違いしたのか。それは、ノヴが抱いたイメージにピトーがいたからに他なりません。

何度も言っているように、オーラは無形無性質ですが、それゆえに持つもののイメージを常に受け続けます。ヒソカやイルミが絶えず抱いている殺意。それ以上に他者を害し王の為だけにあらんとする凶兆を孕んだオーラを放ち続けている存在は誰か。

あのタイミングにおいて、上では何が起きていたでしょうか。

いたのはコムギ。王を治療しているピトー。王にダメージを負わされたプフ。外部を警戒している筈のユピー。この四人です。

そして、絶賛恥を上塗りさせられ不機嫌であった人物。そう、メルエムです。

無論、あの場でプフがピトーほどの範囲ではないにせよ“円”を展開していた可能性は高いです。

ですが、感性が磨かれたゴンとキルアがかつてヒソカのオーラに気圧されたように、感性に富んだ人間が王を含めた護衛軍の有形無形のオーラを視てしまったらどうなるでしょうか。

念能力に目覚めていない人間には無影響(コムギ自身に殺意を向けることは王としてのプライドが許さないことも加味)であっても、さらにはそれを視た人間が“絶”というあまりに無防備であったとしたら。

ちなみに、無能力者の人間は無意識レベルでオーラを垂れ流していますので、“絶”の状態はそれ以上にオーラに対しては無防備となります。ノヴはよりによってその状態で、念空間を捕捉できるほどの観察力でオーラを捉えてしまった。死による解放を許さないほどの凶悪な意思が込められたそれを。

結果として、ノヴは僅かな間に白髪となり頬が痩けてしまうほど消耗することとなります。これは皮肉にも彼自身が持つ“オーラへの観察力”が作用した結果でもありました。

そしてだからこそ、それを直接視たゴンとキルアを内心で称賛したのです。それは心理的に見れば、称賛する対象を作ることで自らの精神を保とうとしたのかもしれません。

そしてこの時点でノヴは決戦に参加できないほどに精神が折れてしまっています。ですが、持ち前の理論武装によって折れた心を律して自らが出来る最大限の役割を果たすため奔走することとなります。

その結果が、最終決戦での無惨な姿でした。

その姿は、ナックルが行方不明になったシュートの行方に納得すると同時に、ノヴがどれだけの精神負荷の状況に耐えてこの場にいるかの証拠でもありました。

果たして、これまでの条件を踏まえてノヴは豆腐メンタルなどと呼ばれるほどに脆い精神の持ち主だったでしょうか。

そして、四次元マンションはそれほどまでに反則なの力だったでしょうか。

そんなことはありません。すべては、彼の折れた精神すらも無理矢理動かせるほどの知謀がゆえにです。

そしてそれら知謀の前提となる優れた感性。それこそが、ノヴの心を折りその後も癒えぬ恐怖を与えてしまった魁となったのです。

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今回の考察、如何だったでしょうか。なにぶん彼の出番は多岐に渡り、その描写も複数に分けられていた為今回の考察には非常に労力を使いました。また途中で気づいた他のプチ考察などもありましたので、ついでといっては何ですがここで纏めさせていただきます。

プチ考察①
①ゴンが擬似的な“円”を使っている。
・ナックルとの戦いで持てる全てを出す必要に置かれたゴン。速さについていけない彼は本能的にオーラそのものでナックルの気配を感じ取っている。これは概念上“円”そのものである。違うのは精錬されておらず、ただ単に溢れたオーラを利用していること。 https://t.co/hHCNDfXw63

②念能力、特に操作系や具現化系によって浮遊させた物体は、物体そのものに浮遊する性質を持たせれば常時本体との繋がりは必要ない。よって“凝”を使った様子見自体を無効に出来る。

https://t.co/atAu8FQbOW

少々内容に手直しを加えてもいますが、概ねこんなところです。

いかがだったでしょうか?

今回もお楽しみいただけたら♡ボタンを押していただけるとわたしが喜びます(*´▽`*)(笑)

それでは、また次回お会いしましょう。

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