企業の基幹業務を支える最新システムの仕組みとオペレーションがわかる『SAP担当者として活躍するためのERP入門』より 第1回 ~はじめに~
企業の基幹業務を支えるERPを理解するために、SAPの基礎知識からプロジェクトの進め方、ERPの運用に必要な業務知識まで基礎からわかりやすく解説した『SAP担当者として活躍するためのERP入門』から書籍内容を抜粋してご紹介。第1回は「はじめに」著者からのメッセージです。
はじめに
ERP(Enterprise Resource Planning)という言葉が使われるようになって二十数年が過ぎ、ERPは大企業を中心に導入が進み、企業経営に役に立つ基幹システムとして普及してきました。ここ数年は、特にデジタル化、クラウド化が進み、さらなる成長が期待されています。
しかし、「導入時に期待していたほど効果が出ていない」「コストがかかる」「使いにくい」「リアルタイムに情報が把握できない」など、ユーザーから改善要望が聞かれることが多くなりました。
その原因として、実は本来のERP の良さが充分に理解されず、標準装備されている機能が眠ったままだったり、システムを利用するユーザー間で考え方が相違していて、効果が発揮されずにいるケースも見受けられます。
そのため、もう一度、ERP が持っているコンセプトや使い方、全体最適化の意味を理解し直すことでERP を使いこなし、企業経営に役立つシステムとして利用し続けてほしいとの想いから、本書『SAP 担当者として活躍するための ERP 入門』を執筆いたしました。
特に「ERP のことは何も知らないけれども、これからERP の仕事をやってみたい」とお考えの方はもちろん、SIer やSAP を導入済み企業の新入社員教育の教材としても使っていただける内容となっています。
本書では、ERP の入門書として、基礎知識やプロジェクトの進め方、開発方法、さらには社会のインフラの仕組み、会社の基本業務となる購買・在庫、生産、工事・建築、販売、給与・賞与計算、会計の仕組みなども解説しており、このような知識は、ERP を理解する上で土台となるため、ぜひ身につけていただきたいと思います。
また、S/4HANA での購買、販売、会計処理のオペレーションなども学べるようになっています(本書に関係した動画をUdemy に講座として公開していますので、合わせてご活用ください)。
なお、記載内容によっては「難しい」と感じたり、「すでに知っている」という内容があると思います。必要のない部分は、読み飛ばしてください。
ERPは、基幹業務の全体最適化を目指していますので、組織としてのチームワーク力がなければ実現することができません。これらの知識を身につけることで、関係する人たちと共通の認識ができ、全体観を持てるようになっていただきたいと思います。
本書が新しい仕事へチャレンジするきっかけになれば幸いです。
著者記す
書籍目次
第1章 ERPの基礎知識
1-1 ERPとは
1-2 ERPの対象業務と組織
1-3 ERPシステムが提供するもの
1-4 ERPシステムの必要性
1-5 ERPシステムの進化
1-6 ERPが目指す方向
コラム 様々な言語、通貨も使える
第2章 SAPの基礎知識
2-1 SAP社とは
2-2 SAP社のERPパッケージの種類
2-3 SAP社のERPパッケージのコンセプト
2-4 データベースの進化
コラム RPAの活用について
2-5 S/4HANAの種類
2-6 S/4HANAで変わったこと
2-7 S/4HANAの全体像
2-8 S/4HANAの周辺アプリケーション
2-9 ERPパッケージの構成
2-10 ERPパッケージの導入手順
2-11 Unicode
コラム ERPシステムでは自動仕訳は必須
2-12 移行方法
第3章 ERPプロジェクトの進め方を学ぼう
3-1 プロジェクトの進め方(1) 全体の工程
3-2 プロジェクトの進め方(2) スケジュール管理
コラム プロセスを管理する
3-3 プロジェクトの進め方(3) 工程とスケジュールの例
3-4 プロジェクトの進め方(4) 要件定義の進め方
第4章 ERPの開発の仕組みを理解しよう
4-1 ERPシステムを動かすために必要なもの
4-2 開発(1) Add-onの方法
4-3 開発(2) Fiori
4-4 開発(3) ABAP
4-5 開発(4) データベース/SAP HANA
4-6 サーバー機
4-7 SAP GUIによるメニューの作り方
4-8 ABAP開発(1) 基本設計書
4-9 ABAP開発(2) 詳細設計書
4-10 ABAP開発(3) ABAPコーディング例
第5章 社会のインフラの仕組みを知っておこう
5-1 会社組織とは(1) 儲けることと納税義務
5-2 会社組織とは(2) キャッシュを増やすこと
5-3 会社の仕組み
5-4 会社の中の要素と外の人たちの関係
5-5 銀行の役割
5-6 消費税の仕組み
第6章 会社の基本となる業務を理解しよう
6-1 会社全体の仕事の仕組み
6-2 購買・在庫業務の仕組み
6-3 生産(製造)業務の仕組み
6-4 工事・建築業務の仕組み
6-5 販売業務の仕組み
6-6 人事管理業務の仕組み
6-7 会計業務の仕組み
第7章 ERPの運用に必要な業務知識を身に付けよう
7-1 会計帳簿の仕組み
7-2 ツケで売った代金の管理の仕組み
7-3 ツケで買った代金の管理の仕組み
7-4 在庫補充の仕組み
コラム 変更履歴管理について
第8章 ERPの使いこなしのためのヒント
8-1 業務処理を複数のシステムで処理している場合の問題点
8-2 プロセスをデザインする時のポイント
8-3 バッチ処理は少ないほうが良い
8-4 お客様に納期を伝える仕組み
8-5 入金予定日、支払予定日
コラム 請求金額と入金金額が異なる時
コラム 透過テーブルについて
第9章 ERPの保守作業
9-1 保守の手順
9-2 ユーザーの管理
第10章 S/4HANAのオペレーション方法を身に付けよう
10-1 お気に入りの使い方
10-2 SAP GUIの使い方
10-3 Launchpadの使い方
コラム 会計伝票番号について
10-4 卸売業における全体業務フローと各業務プロセス
10-5 購買・在庫業務のオペレーション例
10-6 販売業務のオペレーション例
10-7 会計業務のオペレーション例
第11章 SAPについてのQ&A
11-1 ECCとS/4HANAの違い
コラム ドリルダウン機能について
11-2 ECCからS/4HANAへのバージョンアップ方法
11-3 財務会計と管理会計の違い
コラム 会計監査人もSAPを使う
11-4 仕入れと売上原価、製造原価の違い
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?