『子育て指南書 ウンコのおじさん』( 宮台真司、岡崎勝、尹雄大・著、ジャパンマシニスト社)
前半はけっこう冗長というか、すでにどこかで聞いたような話が多かったけれど、しだいに宮台節というか、思わずニヤリとしてしまうような文章が増えていき、そのまま最後まで突っ走るという感じでした。とてもマジメな本だと思います。
「子どもをコントロールし、カオスを全面回避し、法内に留め置きたがる」のはダメな親だという自覚から始めれば、頓馬な大人でもなんとかなる、とこの本全体を通じて励ましています。
https://www.amazon.co.jp/dp/4880493287
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不安な人は、損得勘定にめざとくなり、損得を超えた愛や正しさを示せなくなります。そんな親は、損得に拘泥する、愛や正しさの乏しい子どもを育てます。
そんな「損得親」は同感能力——相手の心を自分の心に映す力——が弱く、子どものためを思っているつもりで、自分の不安を埋め合わせる「自慰」に終始しがちです。
(38−39ページ)
僕たちの本体は、法の外にあります。法外のシンクロで、仲間かどうかわかります。仲間を守るために、法を守り、破ります。本当の正義は、法外にあります。
法内で身内の利益をコソコソ最大化する浅ましい営みとは、違います。僕が言うことが腑に落ちる人は、仲間の絆をつくるのに必要な共通感覚を弁えています。
(70ページ)
いろんな方角から親子関係のノイズになる力を働かせれば、親が子どもをコントロールしようと思ってもどうにもならない事実を、親に突きつけられます。
そうした力が働かないと、たとえ親が子どもをコントロールしようと思っていなくても、〈妄想の玉突き〉が生まれ、子どもがコントロールされてしまうのです。
母親を責めたくはありません。父親の育休取得率を見ると、他の先進国は4割以上、北欧は9割ですが、日本は3%と、恥ずかしくて口にできない数字です。
かつての地域はもうなく、親族も数が減って、母子は「ふたりさびしい」状態です。だから、母親が子どもを抱え込んでも、母親が悪いからじゃありません。
(90−91ページ)
社会のクソぶりに引っ張られて自分もクズになっちゃオシマイです。愛に見返りを求めるストーカーみたいなクズ。法外にいきり立つネトウヨみたいなクズです。
クズにならないための原則を子どもに伝えなきゃいけません。まず、多くの人が法内を社会だと思っている。でも法外の営みがある。それも含めて〈社会〉です。
社会じゃなく〈社会〉。その感覚がないと、祭りにノレず、性愛もショボい、貧相な人になります。ビジネスでエラぶっても、仲間がいないさびしい人やキモい人。
社会じゃなく〈社会〉。その感覚がないまま大人になるのは、頓馬な親のせいです。子どもをコントロールし、カオスを全面回避し、法内に留め置きたがる、ダメな親。
(124ー125ページ)
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