天才 田中角栄
今日は私が先日読み終えた石原慎太郎さんの著書、
「天才」を読み終えて、田中角栄に関して書いてみたいと考えたので、
今日は私の大学での学びとも絡めて書いていきます。
視点は全て田中角栄本人!
この本は全て田中角栄の視点で書かれています。
また、著者である石原慎太郎氏も田中角栄の視点で登場します。
田中角栄の生誕からその死去までを一貫して、彼の視点で描かれていることから彼の性格、石原氏の「田中角栄像」を感じることができる。
物語の始まりの言葉
この小説は以下の言葉で始まる。
俺はいつか必ず故郷から東京に出てこの身を立てるつもりでいた。
この一言から田中の自意識の高さ、権力欲、絶大な自信がさらりとした文の中から毅然と感じられる。
田中が権力闘爭を勝ち抜くために、金権政治と批判されながらも、やれることは何でもやるという強い決意を基に政治の世界に飛び込み、そしてそれだけに満足せずにどんどんどんどん上り詰めていく様のスタートとして、物語はこの言葉から始まるのだ。
ここからは田中の政治における遺産についてまとめていきます
日中国交正常化
田中角栄の功績として一番に語られるのが、日中国交正常化。
しかしその解決には決して低くないハードルが存在していた。
日中復交三原則
終戦以来日本は台湾の蔣介石政府を正当な中華民国として認め、国際連合の常任理事国も最初は現在の台湾でした。
そのため、日本は台湾政府との間で日華平和条約を締結していました。
日華平和条約とは、
日本と中華民国(台湾国民政府)との間で両国間における第二次世界大戦の戦争状態を終了させるために締結された条約である。(Wikipediaより引用)
日本政府はこの条約に基づき中華民国を唯一の合法な中国政府としてきました。
しかし、アメリカと中国が急接近をしました。
当時中国とソヴィエトとの間には国境をめぐる紛争があり、
その分野において中国はアメリカに接近せざるを得なかったのです。
さらにアメリカの宇宙開発技術への劣等感が中国にアメリカとの国交樹立を決意させたと、石原氏はこの本の中で説明します。
一方のアメリカも当初は反共の理念から台湾政府を支持してきました。しかし、突然ニクソン大統領は中国を訪れ、米中共同宣言を行ったのです。
これらの米中の接近は完全に日本の頭越しに行われていました。
そこで日本は大(中華人民共和国)をとるか、小(中華民国)を取るかの判断を迫られることになるのです。
遥か太平洋を隔てて急接近したアメリカと中国。
唯一の同盟国のアメリカが国交を結んだのであれば、隣国である日本も当然無視し続けることは出来ませんでした。
当時自民党内では反共主義者の間で、台湾政府を支持し、中国(北京政府)との国交正常化に断固反対する勢力がいました。
そんな台湾政府との課題を抱えた中、中国側には国交を結ぶための条件がありました。北京政府は公明党の訪中団にその条件を提示しました。
それが日中復交三原則です。
それは以下の三つのものでした。
①中華人民共和国を唯一合法とする一つの中国の原則を認めること。
②台湾は中国の一省であり、台湾問題は中国の内政問題であること。
③「日台条約」は不法であり、破棄されねばならないこと。
これに関して当時の大平外務の発言は以下のようなものでした。
・日華平和条約は国会の議決をもって批准されたものであって、中国政府の見解をそのまま受け入れれば、国民と国会を欺いてきたことになるので、日華平和条約は国交正常化をもってその役目を終えたという理解を中国側に求める。
・日米関係が日台断交後に損なわれないことを求める。
というわけで、日本と中国は田中角栄総理の時に国交正常化、
のちに日中平和友好条約が締結され、パンダが来ることになったのです。
その後、田中角栄はロッキード事件で逮捕されます。
田中はそれからその生涯を終えるまで自らの潔白を証明すべく、果敢に裁判に挑みました。しかし、それにより田中は自民党内での権力闘争に本腰を入れることができなくなったのです。そして遂に田中は脳梗塞で倒れ話すこともできなくなってしまいます。本の中では石原氏なりの田中の脳内の叫びが記されています。しかしその真相は誰にもわかりません。田中はその時何を思っていたのでしょうか。
何に満足し、何を悔やんでいたのでしょうか。
全てを手にしたようにも思える彼の目が何をとらえていたのでしょうか。
私は気になってしょうがないのです。
そして父に代わり娘であった田中真紀子氏が出馬します。
その後は娘婿の田中直紀氏が田中角栄の事実上の政治家引退を表明します。
ちなみに、この田中直紀氏は民主党政権で防衛大臣を務めました。
当時野党であった自民党の石破茂衆議との論戦は話題になり、ネットにも多数動画が上がっています。
終わりに
ロッキード事件に関しては後日また詳しくまとめたいと思っています。
ただし、ざっくりといえば「アメリカの陰謀」ということなのでしょうか。
日本の名政治家を失脚させたのは超大国、アメリカ。
彼らしいドラマチックな終焉ともいえるのではないでしょうか。
現在、米中は日本の頭越しに対立を深めています。
当時とは真逆の構図になっているわけです。
そして中国もかつてのそれとは比べ物にならない超大国になったのです。
一方台湾とは未だに国交はないものの、民間レベルでの交流が続いています。
近年、中国が香港や台湾に圧力を強めています。
日本がとるべき立場はなんでしょうか。
そしてそのために改めなければならないこと、必要なことはなんでしょうか。
理想に基づくのではなく、現実に基づいた問題解決、課題設定がこの国を救うことは間違いないでしょう。いまこそ歴史を学び、今の国際的日本の位置、力を認識しましょう
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