2030 年の米中関係について

 私は 2030 年の国際情勢を中国が独裁体制の下で猛烈な技術革新を進め、米国産業や経済にも打撃が加わり、米国では国際協調をうたうリベラルと自国優先のナショナリズムの分断が拡大すると考える。まず 2030 年の私の考える未来図を示す。まず米国はバイデンは一期で大統領を退き、カマラ・ハリス副大統領が後継候補として戦い、当選し二期大統領を務めると考える。そして米国内では差別問題の解決や SDGs などの国際的理念などを大々的に主張するリベラルが主導権を握り、逆に保守では移民問題等でナショナリズムが刺激され、両者の分断が広がるのではないか。一方中国では習近平が終身国家主席として君臨し続け、国内政治はさらに締め付けが強くなり、またポスト習近平のレースも本格化し、強い習主席の影響力が続く。国際情勢では目前に迫る北京五輪の後に尖閣有事・台湾有事が発生しても、米国が介入することは国内の反戦感情や他国の戦争に巻き込まれたくないために、可能性は低いのではないか。その根拠に香港での大規模なデモの際も米国政府は声明などで対処し具体的な行動には出ていない。また議会や政府の声として中国への非難はなされるが、それにどれだけ国民が共鳴しているかは未知数である。経済成長を続け、米国をも追い越す中国が相手となると、政府が敵対姿勢を取りたいと考えても市民がそれにブレーキを掛けることも考えられる。まさに安全保障でも経済においても中国の相対的な力が増してくるのではないか。
 そんな米中関係の未来図を描く要因は「内政不干渉」という現在の国際社会の原則である。現代は情報と通信の大融合時代であり、国際社会が価値観を共有することが容易になりつつあり、多くの国で基本的人権などの分野でコンセンサスを得やすくなった。しかし、現状は最終的には内政不干渉で、言論のレベルで終始してしまう場合が多い。経済制裁などの措置も行われるが、国民への圧政を強いる独裁国家であった場合にはかえって国民の生活を苦しめる可能性がある等、国際社会の抱える大きなジレンマとして存在している。アナーキーな国際社会において内政不干渉の次元や項目、限界についての議論を行うことで現在の中国の人権問題などの本質的な解決を国際社会で達成することも可能ではないか。米国頼みになっている中国の人権問題とそれに起因する独裁体制、自由が制限され、拡張主義がとられる中国の問題の数々に、国際社会全体が当事者意識と危機感をもって取り組んでいくことが必要ではないかと考える。

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