編集スキルだけでコンテンツマーケティングはできないぞって話。
しわっす。(Respect:せっちん丸氏)
株式会社ブイキューブでコンテンツマーケティングを担当している山本(@taroshutaro)と申します。
Webメディアとして2年ほど働いた後、今は事業会社のマーケターとして、オウンドメディアの1人編集長をやってます。
この話は昨年の振り返りnoteでも書いておりますのでよろしければ。
そんなこんなでインハウスエディター・コンテンツマーケター2年目も終盤を迎えたわけですが、正直、なかなか苦しい2年となりました。
表題の通り、編集のスキルとコンテンツマーケティングのスキルって違うよなーと。
当たり前といえば当たり前なんですが、割と「Web編集者→コンテンツマーケター」ってキャリアは少なくないと思いますし、「コンテンツマーケティング始めたい、そうだ、ブログ書ける人を担当にしよう!」みたいな意思決定もあるあるかなと思っているので、そんな誰かの参考になればと思って久しぶりに真面目なnoteを書いてみます。
で、何が違うの?
もちろん編集者としての「コンテンツの企画・制作・公開」みたいなところは共通するものの、コンテンツマーケティングとしてメディア運営をする上ではプラスして必要な視点・スキルがあるなと感じています。
リード獲得を前提とした記事企画の立て方
結論:Webメディアには、ペルソナはあれども、カスタマージャーニーマップはなかった(気がする)
僕がWebメディアの編集をしていたときは、メディア読者のペルソナについては編集会議をはじめ至るところで議論されていましたが、カスタマージャーニーマップまで含めて記事を企画する、ということはありませんでした。
そもそも多くの広告モデルのメディアは
「読者のペルソナ = 広告のペルソナ ≠ 広告主」
って感じだと思います。
記事は読者に読んでもらうためのものであって、広告主に読んでもらうためのものではありません。
もちろん読者は広告主にとってのペルソナでもありますが、それでも現場の編集者が広告主のペルソナのカスタマージャーニーマップまで含めて記事を企画する、というケースはほぼありませんでした。それって記事広告の役割ですから。
なので通常の記事が広告主のサービス・商品ありきで企画されるなんてことはなく、ペルソナが読みたくなるであろう企画を考えます。そこに「時系列での顧客とサービス=カスタマージャーニーマップ」みたいな概念はほぼ存在しません。
※前職のferretの場合は上記3者のペルソナはほぼ同じなので、広告主との接点がメディアとなるケースもありますが、それでも現場の編集者側で記事を企画する際は、そこまで考えてませんでした。役割分担ってこともありますし、コンテンツの幅が過度に狭まるケースもありそうですし。
で、コンテンツマーケティングの場合はどうかといいますと、もちろんペルソナとカスタマージャーニーマップの両方が存在するわけです。自社サービスの見込み客を集めるのが目的ですから。
つまり、同じペルソナであっても、購入というゴールまでの時系列でのステージが存在します。そのステージをちゃんと認識していないと「ただ読まれるだけの記事」が生まれてしまいます。
コンテンツマーケティングにおいて、記事コンテンツは読者を惹きつけて、何かしらの態度変容を起こすことが目的になります。
この場合には「態度変容=読者がCJMのステージを進む」と捉えても良いかもしれません。
カスタマージャーニーマップを整理しておくことで、記事を読む読者の心情・状況(スタート)と、記事を読んだ後になっていてほしい心情・状況(ゴール)がつかみやすくなります。これが整理できると、記事内のCTAも適切なものが設計できそうです。
もちろん、全ての記事がこうした設計である必要はないと思いますが、自社サービスに関連する主要キーワード、特に検討ステージを想定した記事であれば、読後のCVRは大きく変わると思います。
おそらくこの辺りは先ほど引き合いに出した記事広告にも通ずる話なので、編集者といえども、記事広告のプロであれば習得しているスキルかもしれません。
記事広告のプロ、淡路島のホイポイカプセルに住んでいる前職の上司@jimpoooがnoteでこの辺りを解説しています。
ここが上手く整理できていないと、「PVは伸びてるのにCVが増えない」「CVは増えてるのに受注につながらない」みたいな悲惨なあるあるを生んでしまいます。
てなわけで、コンテンツマーケティングとして記事を制作するのであれば、ペルソナとともにカスタマージャーニーマップを理解・整理しておくべきですね。セールスとも認識合わせをしている方がより良いと思います。
マーケティング活動としての成果指標の設定と管理
結論:記事のPVだけじゃ指標としては弱いよね。
Webメディアでの指標ってやっぱりPVなんですよね。
この話は僕が書くよりも以下の@ShotaTajimaさんのnoteが分かりやすいと思います。
てなわけで、やっぱりWebメディアの指標ってのはPVなんです。たぶん。PVの意味を履き違えなければ。
で、じゃあコンテンツマーケティングにおいてはどうなの?といえば、やっぱりPVだけだと「事業へどれだけ貢献してるのか」「マーケティング活動の中での役割をどう果たしているのか」ってところが見えてきませんし、何よりボトルネックが見つけにくくなります。これは前述の「PVは伸びてるのにCVが増えない」みたいなケースの原因になってしまうところですね。
じゃあどうするの?って話ですが、当社の場合はHubSpot社を参考に以下のようなライフサイクルステージを定めています。
参考:https://knowledge.hubspot.com/jp/contacts/use-lifecycle-stages
オウンドメディア運営という範疇で言えば、CVポイントの属性の違いでしかないのですが、まずオウンドメディアとしてどのライフサイクルステージのコンタクトを獲得するのか、そしてそれらをどう計測していくのかを決める必要があります。これはその後のナーチャリング等、他のマーケティング活動にも関わる部分ですので、チーム内で合意を得る必要があるでしょう。そしてこれは上記のカスタマージャーニーマップとも連動している必要があります。
PVのみを主要指標として過ごしてきた私は、このライフサイクルステージをまず覚えて理解することからはじめました。そして計測できる環境、記事フォーマット、ダッシュボードの整理をしてはじめて、コンテンツマーケティングとしての成果が見えるようになりました。
記事のPVや検索順位は「見られた数」しかわかりません。「読まれた後どうなっているか」も同じくらい大事な指標です。この2指標がわかってはじめて転換率が算出できるわけですから。カスタマージャーニーマップの中で定めている顧客とのタッチポイントとしてオウンドメディアを運営しているのであれば、その役割と成果をきちんと見える化することが事業成長にとっても、自身の成果のアピールとしても必要なことではないでしょうか。
こんな事を言うと「うちは認知拡大が目的だからPVでOK」「うちはブランディングが目的だからPVでOK」的なことを言われそうなのですが、そうであるとすれば、読んだ人がどう態度変容を起こしたのか、そのヒントになる指標くらいは測ってた方が良いのではないでしょうか。簡単な手段で言えばCTAを記事文末に設置するのも手でしょう。ここまでを考えるのがコンテンツマーケティングなのかなと思っています。
おわりに
この記事は2年前の、ちょうど編集者からコンテンツマーケティングの担当者になろうとしている自分に宛てて書いてみました。
良くも悪くも、Webメディアでゴリゴリと記事コンテンツをつくっていると、いつの間にか届けること、見られることに特化してしまい、読後の読者へと目が向けられなくなることって少なくないと思っています。
ずいぶんと上から目線で偉そうなことを書いていますが、正直まだまだここに書いたことが自分でできているとは思っていません。が、インハウスエディターのキャリアとコンテンツマーケティングにおけるヒントになれば幸いです。
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