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倒され、のこぎりで切られた木

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【詩】
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#頭のおかしな人

【詩】インチキ ランチ

給食はきらい にんじん きらいじゃないよ ブロッコリーとも 仲良くやれる 牛乳飲めるし おさかな平気  でも 給食 キライ 真っ直ぐな線路が好き ぼくは生まれたときすでに  三十歳だったのだろう、ね 給食たべ終わるの すごくきらい 風船はじけたみたいに  クラスメイトが 遊び出す 遊ぶの きらい 自由時間 きらい 「好きなことしていいよ」 好きなことって何? ぼくには無いよ 給食たべている間 とてもきらい モノを噛んでいると 聴こえてくる あのヒトとあのヒトの ののしりあう

【詩】絶海の囚人

目醒めれば 絶海の囚人であった 樹々はなく 草もなく 屋根もない 荒れた岩肌だけの孤島に 置き去りにされていた 見上げれば 微動だにしない太陽 夜は来ず 月もなく星もない 空と海とが 青々とした口を開く 灼熱のいがみ合いに 延々と眼を焼いた 千万年と続く青と青との争いに 放り込まれる刑罰なのか 両手で顔を覆い 岩肌に縮こまっても 目裏に押し付けられるのは 真青なる焼鏝 聞き覚えのない声が 番号を発し それが僕のことのようだと 目を開けば 絶海を背にして 真っ白なキャンバ