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倒され、のこぎりで切られた木

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【詩】
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#ゲイセックス

【詩】方舟はもう戻らない

そよご 冬青 風よんで そよご 赤い実 そよ吹かれ いい気になって おどったら おっちょこちょいが ころんと落ちた 沖には 方舟 もう見えない ぼくが乗るはずだった 舟 水平線で くるんとめくれ 地球の裏側 星の国 そよご 冬でも 青い葉が 消えた 赤い実 風に訊く 見えなくなった あの舟で ぼくを探している人 いるのかな 方舟に乗れなかった者 すぐに死が来るのでしょうか 来ないとおもう人 手をあげて そよごの葉陰 ふて寝をするのは ぼくとおんなじ  乗せてもらえなかった

【詩】A song for two boys

わたしは泣いたことがない 呟く彼女 泣き虫だった少年は 泣き虫だったのに 自分のことを 言い当てられた気がした 確かに抽斗を開けると いちども火を着けたことのない ロウソクが一本あった その白さ 的に当たった矢羽根がゆれる (彼女のその後はまた別の物語) 濃い眉毛 短いまつ毛 きみを挿入している時に 左目尻へと触れてみる すきだな、この黶 への字に曲がった口が呟く 「キライなんだ、泣き黒子」 堅い毛髪を両の手のひらでつつみ ぼくはもっときみへと降りていく 「泣き虫だったから

【連作詩・Butterfly】 オーガズム

Butterfly をキーワードに詩を連作しました。 今回はその1作目です。 —————————————————————————————————— 「オーガズム  ————  Your Butterfly」 一夏を 光線の十指に触れさせなかった肌 雪片の翅の六枚で 降っておいでよ 陽に灼けた 褐色の凹凸に あたっている 凸 うけとめている 凹 こすれあって 凸凹 滴るのは 樹液 てのひらの 凹 まっていた 凸 堅く結んで 凸凹 眸まで 樹液 ふたりの色で 蝶結び ひ