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倒され、のこぎりで切られた木

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【詩】
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【詩】ラムネスカイ,マカロンガーデン

♬ 1 トリカブト蜜もこぼさず摘むなら満月の 宇宙遊泳ミルキーウェイにぬれたその顔の (涙ではさらさらなく) しずく滴るまぶたを瞑る満月の 高きへかざせば花序の列 濃紫の高慢だとか薄むらさきの蠱惑とか 一秒きざみに塗り替えちまう満月の ばかに明るい夜がいい という作戦会議は ボクとキミのあいだでの 論を俟たない自明の理 ジャックナイフとステップ踏むなら理科室の その蔓草がセクシーな蛇へと戻る鉄柵を (星々はGOのウィンクを) 一足飛びなら夜這い星の弧をえがき   動脈静脈交

【詩】海風へ、生まれる。

抱卵の姿勢なら 燕 卵の上に水平にその身を置いて それは 抱くというより 水平線の水平を 文字通り卵上に保ち この季節は だから 燕は 一艘の船となる おのが卵の中にも 海が眠ると 海をわたった燕は 知っている 吊革の下が一時の アサイラム わたることが出来ない 空の為 地下鉄のトンネルの闇は 車窓をたよりない鏡にかえて 人ごみを歩くのが苦手なのに 人ごみを歩くのは得意そうな 顔 映し出さないのは 虚/実 どちら 身体の中を 光が 走り抜け 昔むかし 豊蘆原瑞穂国の葦の群

【詩】A song for two boys

わたしは泣いたことがない 呟く彼女 泣き虫だった少年は 泣き虫だったのに 自分のことを 言い当てられた気がした 確かに抽斗を開けると いちども火を着けたことのない ロウソクが一本あった その白さ 的に当たった矢羽根がゆれる (彼女のその後はまた別の物語) 濃い眉毛 短いまつ毛 きみを挿入している時に 左目尻へと触れてみる すきだな、この黶 への字に曲がった口が呟く 「キライなんだ、泣き黒子」 堅い毛髪を両の手のひらでつつみ ぼくはもっときみへと降りていく 「泣き虫だったから

【連作詩・Butterfly】 オーガズム

Butterfly をキーワードに詩を連作しました。 今回はその1作目です。 —————————————————————————————————— 「オーガズム  ————  Your Butterfly」 一夏を 光線の十指に触れさせなかった肌 雪片の翅の六枚で 降っておいでよ 陽に灼けた 褐色の凹凸に あたっている 凸 うけとめている 凹 こすれあって 凸凹 滴るのは 樹液 てのひらの 凹 まっていた 凸 堅く結んで 凸凹 眸まで 樹液 ふたりの色で 蝶結び ひ

【詩】Lobin,kiss,lobin

❅       ラグーンにその影宿す十字架星になれなくとも              クックロビンよ。       こいむらさき匂いやかなJewelry box・すなわち東経140度の空中天鵞絨庭園、    紅玉のberry畑と曹灰長石の細き流れをこえたその東南東より2度南、蔦型にくりぬいたチョコレート草からまる白砂糖細工の日時計のきっ先に、     いまだ三つ葉クローバーの足輪よりほか装飾の類まきつけたことのない脚をかけ、       ブリキ製の風切り羽を