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1960年代以降の“作家の映画”100選

 私がここで連載している「“作家の映画”を読解する」シリーズの記事は、批評でも論文でもありません。具体的な作品の細かな分析を通じて、一般読者に映画芸術の魅力を知ってもらうことを意図したものです。あえて名付けるとすれば、「詳解」でしょうか。
 連載を始めた当初から、最低でも100本分くらいは同じ水準で書きつづけるつもりでいました。これまで一作品当たりの分量が1万字前後以上、四百字詰め原稿用紙換算で25枚以上ですので、100本同じ調子で続ければ2500枚分になります。
 100本をどんな基準で選ぶのかに関しては、現代の観客にとって古びていない長編劇映画という、かなり漠然とした考えしかありませんでした。執筆のために様々な作品を観直すうち、分析対象とする作品に制作年代によって制限を設けることを思いつきました。1960年代以降の作品に絞り込むことにしたのです。現代の映画作家たちに対する直接的な影響力という点でも、現役で活躍中の作家たちがデビューした時期を考えても、1960年が一つの区切りになると考えたからです。それが本稿の記事名の意味です。
 この基準を適用すると、既に発表した記事のうち以下の作品に関する16本の記事が該当することになります。

『ジョーカー』(2019)
『トゥモロー・ワールド』(2006)
『冬の街』(2002)
『ストーカー』(79)
『ビデオドローム』(83)
『読まれなかった小説』(2018)
『マルホランド・ドライブ』(2001)
『鏡』(75)
『アンドレイ・ルブリョフ』(69)
『バリー・リンドン』(75)
『牯嶺街少年殺人事件』(91)
『赤い砂漠』(64)
『ラルジャン』(83)
『ガタカ』(97)
『スリー・ビルボード』(2017)
『乱』(85)

 これらの作品のほとんどは、本稿の執筆時点で、日本および海外の動画配信サイト(Youtubeの「モスフィルム」公式チャンネルを含む)において、日本語または英語字幕付きで観賞できます。廉価なDVDソフトが販売されている作品もあります。N.B. ジェイランの『冬の街』だけが例外です。
 残りの84本も、比較的容易に観ることができる作品を中心に選ぶことになると思います。




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