新梢が伸びすぎない乾燥地の株仕立、ゴブレ。

新梢とは、、、
今年伸びた(当年枝)。新梢の伸び方で、樹勢がはっきり分かる。

新梢を除去する作業があるらしい。

なぜ副梢は除去すべきなのか?
副梢を除去すべき一番の理由は、エネルギーの無駄使いを防止することにあります。

一般に一本のぶどうの樹から伸ばす枝の数は剪定の時に予め決められています。ところが、副梢をそのままにしてしまうと、この予定された数以上の枝が伸びることとなります。このような状況は様々な部分に影響を及ぼしますが、一番大きな影響は果実の熟度や凝縮度に現れます。

仮に副梢がそのまま伸びた場合、当然そこにもぶどうの実がなります。その一方で、ぶどうの樹が地面から吸い上げることの出来る水分や栄養分の量にはある一定の限度があります。このため、ぶどうの実の数が増えるということは、単純にこれらの母数を割る数が増えるということを意味しており、収穫時のぶどうの実への凝縮度が低下することになります。

また、ぶどうの実がなる前の、枝が伸びることに対しても水や栄養は必要とされます。そうして副梢が伸びた結果、全体のぶどうの品質を落とすことにつながるのですから、これはエネルギーの無駄遣い以外の何ものでもないのです。

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副梢の芽が新梢の芽のスペアとして使われる場合もあるらしい。

副梢にも使い途がある
基本的には邪魔者扱いされる副梢ですが、ある一点においてその存在が認められる場合があります。これは厳密に言えば芽吹いて副梢として伸びる前のことなのですが、副梢の芽が新梢の芽のスペアとして使われる場合がそれに当たります。
春先、芽が柔らかくなってきている一方でまだ芽吹いていないというタイミングで気温が氷点下まで下がるようなことがあると、芽がダメージを受けてしまい、発芽せずに枯れてしまうことがあります。雹などによって直接の被害を受けた場合も同様です。

このような場合、予定していた新梢を得ることが出来なくなってしまうため、その芽の代替として副梢の芽を伸ばすことで収穫の減少を避けるようにするのです。

ただ、もともと副梢だった芽から育った枝は成長が悪い場合もあり、完全な代替としては使えないこともままあります。最近は冬から春先にかけての気温が高くなっており、ぶどうの芽吹きが早くなっているため、相対的に冷害のリスクが高まる傾向にあります(関連記事参照)。当然、副梢の成長が多少悪いとはいっても、無いよりはあった方がいいのは事実なので、栽培家はまだ芽吹く前に副梢の芽を見つけても、万が一の時のための保険としてその時には手を出さず、実際に芽吹いてから除去して回るのです。

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話は飛んで、乾燥地では新梢があまり伸びないらしい。南フランス、スペイン、ポルトガルなどだ。そこではゴブレという株仕立ての仕立て方をするようだ。

この仕立てでは、地面から近くに果実がなるので、地面の温度の影響を受けやすく、砂地や岩、粘土、石灰岩など土壌によって、熟しかたも変わってきます。

この地域では砂交じりの粘土質土壌なので、熟すスピードも速く、日々ブドウの熟成が進んでいくので、収穫は時間との勝負だそうです。

パラジャパン


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