ワイン生産国の再まとめ

[ワイン生産量]
2020年の世界のワイン生産量は、前年(2019年)から1%と微増の2億6000万hlと予想される。

極端に少なかった2017年、そして豊作だった2018年という大きく変動した2年を経て、2020年の生産量は、2019年とほぼ同じで、平年をわずかに下回る。

三大生産国の状況をみると、第一位はイタリアで、対前年3%増の4,910万hl。第二位はフランスで、対前年11%増の4,660万hl、第三位はスペインで、対前年21%増の4,070万hl。この三か国の合計生産量は、全世界のワイン生産量の約52.5%を占めた。

コロナの感染拡大により、全世界での需要減少が見込まれたため、イタリア、フランス、スペインの各産地団体は、醸造する数量を前年よりも抑えようとしたものの、天候に恵まれたために、前年を上回る収穫量となった。

アメリカは、第四位で2,280万hlであった。前年に対し11%減となるが、悪天候やカリフォルニアでの山火事による収穫量が減少や、煙害により一部のぶどうが収穫できなかったことが影響した。また、ぶどうとワインの供給過剰への対応も影響した。

南米では、アルゼンチンが第五位で、対前年17%減の1,080万hl、チリは第八位で、対前年13%減の1,030万hlであった。両国ともにエル・ニーニョの影響で降雨量が過剰であったことが影響した。過去5年平均に対しても、アルゼンチンは13%減、チリは10%減となった。

オーストラリアは第六位で、対前年11%減の1,060万hl。3年連続で収穫量は減少しており、過去10年で最低となった。

南アフリカは第七位で、対前年7%増の1,040万hlであった。2016、2017、2018年と3年連続で、干ばつの影響を受け収穫量が落ちていたが、干ばつ前のレベルに戻りつつある。

最後に、第十位の中国は、対前年16%減の660万hlで、4年連続で大きく減少した。おそらくは、中国のワイン業界が直面している構造的な問題(難しい天候条件、技術的な制約、全般的な生産性の低さ)に起因していると思われる。

[ワイン消費量]
2020年の全世界のワイン消費量は、前年から3%減の2億3,400万hlと予測される。これは、2002年以来、最低となる。

コロナの感染拡大が、世界の様々な国のワインの消費活動に影響を及ぼしている。

第一位のアメリカは、2019年とほぼ同レベルの3,300万hlとなった。これはあまり厳しくないロックダウンと、eコマースの拡大による。

第二位のフランスは2,470万hlで、2019年とほぼ同じであるが、過去5年平均に対して7.8%減となった。

第三位のイタリアは、過去10年で最高の2,450万hlを記録。2019年に対し7.5%増、過去5年平均に対しては10%増となった。

第四位のドイツは、2019年に対し0.2%増の1,980万hlとなった。

EU域外では、第五位の英国が、対前年2.2%増の1,330万hl、第七位のロシアは、3%増の1,030万hlとなった。

第八位のスペインは、前年に対し6.8%減の960万hl。第九位のアルゼンチンは、対前年6.5%増の940万hl。

第十位のオーストラリアは570万hlで、前年に対し3.7%減だが、過去5年平均とほぼ同レベルであった。

中国は、対前年17.4%減の1,240万hlで、第六位のワイン消費国であった。これは、2020年の第一四半期の厳しいロックダウンの影響が大きい。しかし、3年連続して消費量が減少していることを考えると、今世紀の初めに始まったワイン消費の急速な拡大が終焉を迎えたとみられる。

その他、南アフリカは、対前年19.4%減の310万hlで、過去20年で最低となった。過去5年平均に対しても26.7%減となった。コロナの感染拡大の影響で、14週間にわたり、国内でのアルコール販売が禁止されたことが影響している。

また日本は、アジアで第二位の消費国で、対前年0.8%減と微減の350万hlで、7年連続して安定した消費レベルである。

[2021年の収穫量予測]

南半球の2021年の第一回の収穫量の予測では、アルゼンチンを除き、その他の大半の国では、収穫量が増加するとみられる。

なおOIVには、2021年1月1日現在、48カ国が加盟している。

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