酒石酸

ワイン用のブドウに含まれる3つの主要な酸は、酒石酸リンゴ酸クエン酸である。
ワイン醸造においては、酢酸酪酸乳酸コハク酸も重要な役割を果たしている。

酒石酸

飽和して結晶化した酒石酸は、通常は透明だが、ワインの色に染まることもある。

酒石酸は、ワインの化学的安定性や色に大きく関わり、また最終的な味にも影響を与えるため、最も重要な酸である。大部分の植物では、この有機酸はほとんど含まれないが、ブドウ属にはかなりの濃度で含まれる。酒石酸の含有量は、ブドウの種類や土壌条件等によって異なる。パロミノは含有量が大きく、マルベックピノ・ノワールは一般的に含有量が小さい。開花期には、花に多くの酒石酸が蓄積し、その後、若い果実に移行する。果実が熟す過程において酒石酸はリンゴ酸と異なり、呼吸等で代謝されず、そのため比較的保存される[3]

ブドウ中の酒石酸の半分以上は遊離酸ではなく、大部分はカリウム酸塩として存在する。発酵中、これらの酒石酸は発酵かすやパルプ屑、沈殿したタンニンや色素に結合している。ブドウの種類や地域により差異はあるが、一般的に約半分の沈殿物はワインのアルコール混合物に溶ける。これらの酒石酸の結晶化は任意の時間に起こり、ワインボトルが割れたガラスのように見えることがあるが、無害である。ワイン中の酒石酸を結晶化させて沈殿させるために、ワインを凝固点以下の温度に置くこともある[3]


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?